ナタリー PowerPush - GREAT HUNTING 15周年記念オーディション「BAND ON THE RUN」

名門新人発掘部によるバンドオーディション徹底解剖

The SALOVERS 古舘佑太郎インタビュー

気付いたら引きずりこまれてた(笑)

──The SALOVERSは2009年に開催された「閃光ライオット」で審査員特別賞を受賞してましたよね。大会に出ていたということは、この頃はまだGREAT HUNTINGと契約を結んでいなかったんでしょうか?

この頃からGREAT HUNTINGの人とは仲良くさせてもらってたんですが、まだ契約とかは一切してなかったんです。当時はほかの会社とどっちにしようかなみたいな時期でしたね。

──GREAT HUNTINGの人と関わりを持ったのはいつ頃だったんですか?

バンドでオリジナルをやり始めて1年くらいだから、17歳の頃ですかね。下北沢GARAGEでライブをやったときに加茂さんが観に来てくれて、バンドのホームページにメールを送ってくれたのがきっかけです。とはいえ当時僕らはまだ高校2年だったんで、本格的にレーベルと組んでやるというより「このライブあるから観に来なよ」って言われたりして遊びに行く、みたいな関係でした。

──先ほど「ほかの会社とどっちにしようか迷ってた」とおっしゃってましたが、その後はGREAT HUNTINGと契約するわけですよね。その決め手はなんだったんでしょうか?

気付いたら引きずりこまれてたって感じなんです(笑)。当時僕らがよく出てたライブハウスにグレハンチームがよく来ていて。ちょうど2008~9年って、10代のバンドがすごく盛り上がってた時期なんですよ。10代限定のイベントとかオーディションがそれはもういっぱいあって、若手バンド争奪戦みたいになってた頃でした。そんな中、いろいろ声はかけられたんですが、僕らの一番近くにいたのがグレハンだったんです。まだ高校生ですから、あまり難しく考えずに相性がよさそうなところを選んだ結果ですね。

基本的にはのびのびと

──GREAT HUNTINGを選んだ後はメジャーデビューを目指して動き出すわけですが、バンドの育成期間にはどういう活動をしていましたか?

とりあえず「育成金」って名目で30万円もらったんですよ。そのお金でスタジオ入ったり、ライブをやったり。で、ライブをするとグレハンの人が観に来てくれて「よくなったね」とか「こうだったね」みたいな話をしていました。

The SALOVERS

──高校の同級生同士でやっていた頃と違って、大人から意見をもらってバンドに変化は起こりましたか?

高校生の頃ってどうしても自分の価値観が優先で柔軟性が足りなかったりするので、当時の僕も「人の意見は絶対聞かねえ」みたいに思ってたんです。でも、グレハンの人とバンドの曲とか方向性に対する衝突はなかったですね。基本的にはのびのびとやりたいようにやらせてもらってました。

──そうだったんですね。Base Ball Bearの堀之内さんにインタビューしたとき「加茂さんに大人のマナーを教わった」とおっしゃってましたが、The SALOVERSはバンドの音以外の部分で何か言われたことはありますか?

未成年だったから「酒を飲むな」とか「タバコ吸うな」っていう、そういうことはよく言われてましたね(笑)。あと、1回だけ曲のタイトルでもめたことがあるんです。もともと歌い出しの言葉をそのまま仮タイトルにしてたんですけど、僕が歌詞に出てこない言葉を本タイトルにしようとしたら反対されて、渋谷で話し合ったことがあります。

──それは結局どうなったんですか?

結局僕が譲りました。理由はあんまり覚えていないんですけど、僕は面白半分でタイトルを付けるみたいなところがあったから、そんなに言うんだったらそっちのほうがいいのかなって思ったくらいですね。

勝因はナンバーガールと似たマインド

──古舘さんが「バンド一本で食っていこう」と心に決めたのはいつ頃でしたか?

僕はもう声をかけてもらった高校のときからです。それまでは「文化祭でいいライブをしよう」みたいなことしか考えてなかったんですけど、声をかけてもらってからはやっぱり本気になりましたね。高校生とか大学生って、いろんなことがあっていろいろ目移りする時期だと思うんですよ。でも僕はバンド以外のことがあんまり目に入らなくなったんです。

──加茂さんはインタビューで「デモテープを聴いて、当たりのバンドに巡り会う確率は3000分の1」とおっしゃってました。The SALOVERSはその“当たり”のバンドだったわけですが、その勝因はなんだったんでしょうか?

単純に当時10代のバンドがアツい時代だったっていうのが大きいと思ってます。5年も経てばトレンドってすぐ変わってしまうじゃないですか。だから今だったら全然引っかからないんじゃないかな。

──シーン全体に活気がある中でも、The SALOVERSが頭1つ抜きんでいたからこそ、加茂さんに声をかけられたんだと思いますが。

そうですね……。1つ思い当たるのは、僕らは無意識だったんですけど当時ナンバーガールとすごい似てるねってよく言われていて。バンドって意識しなくても音が似てしまうことってあると思うんです。それが僕らはナンバーガールで、それが加茂さんたちのチームから出たバンドだった。だから同じようなマインドを感じてもらったのかもしれないですね。

──そういえばThe SALOVERSのインディーズ1枚目はナンバーガールの中尾憲太郎さんプロデュースですよね。

グレハンの人が中尾さんに「The SALOVERS観に来てください」って声かけてくれたみたいなんですよ。そうしたら中尾さんが気に入ってくれて、スタジオにも来てくれて。GREAT HUNTINGにはそういうきっかけを作ってもらってましたね。

GREAT HUNTING 15周年記念オーディション「BAND ON THE RUN」
<応募条件>
12月14日に東京・原宿アストロホールで行われるライブ審査に参加可能であること。バンドであれば、音楽性、編成、年齢は問いません。
<審査員>
亀田誠治 / 木村豊 / 島田大介
<審査スケジュール>
2014年12月1日:応募締切(12月1日必着)
2014年12月8日:ファイナリスト発表
2014年12月14日:東京・原宿アストロホールにて最終ライブ審査
2015年2~4月:レコーディング、ビジュアル&ビデオ作成
The SALOVERS(ザサラバーズ)

2008年、高校の同級生だった古舘佑太郎(Vo, G)、藤川雄太(Dr)、藤井清也(G)、小林亮平(B)の4人で結成。2010年に「FUJI ROCK FESTIVAL '10」ROOKIE A GOGOステージに出演し、一躍注目を集める。同年9月に1stアルバム「C'mon Dresden」を発表し、直後よりさまざまなライブイベントに参加。2011年5月にリリースした2ndアルバム「バンドを始めた頃」では、10代ならではの感性に満ちたサウンドで高い評価を獲得した。2012年9月、アルバム「珍文完聞 - Chin Bung Kan Bung-」を発表しメジャーデビューを果たす。2014年8月には配信限定音源「喉が嗄れるまで」をリリースした。


2014年11月14日更新