イギリスとアメリカの違い
──では、ロンドンはどうでしたか?
MISA お給仕はもちろん熱かったし、ソールドアウトしたのでよかったです。
──ロンドンでのお給仕は3回目ですよね。600人キャパの会場をソールドさせたのはすごいです。
彩姫 行くごとにキャパが大きくなってるので、次はもっと大きくなるのかな?
──イギリスとアメリカの違いって感じますか?
彩姫 盛り上がる曲が違いますね。アメリカは「Thrill」とか「DOMINATION」みたいな激しい曲が好きで、イギリスは「DICE」とかメンバーそれぞれの見どころが多い曲が好きです。
小鳩 お給仕のときだけソロ回しをする曲があるんですけど、そういう場面ではヨーロッパのほうが盛り上がりますっぽ。
──イギリスの人は音楽そのものを楽しんでいて、アメリカの人はエンタメの1つとしてライブの雰囲気を楽しんでるイメージがあるんですが。
彩姫 そうですね。アメリカでは私たちの見た目とBAND-MAIDがいる空間を楽しんでくれている感じはしました。
──ああ、やっぱりそうなんですね。今回も海外ツアーを通じていい経験ができたと思うんですが、アムステルダム、ロンドン、パリの3日連続お給仕はさすがにつらくなかったですか?
小鳩 なかなか大変でしたけど、楽しくやれましたっぽ。合間合間で観光もできたし、現地の地下鉄に乗ってみたり、時間がない中でも楽しめましたっぽ。
彩姫 時間がないなりにリフレッシュできるタイミングを見つけられたので、そのおかげで乗り切れたと思います。
──海外ツアーでの過ごし方が徐々に身についてきてるんですね。
小鳩 でも、「もっと体力は付けたいね」っていう話にはなりましたっぽ。
彩姫 もっと体を強くしないと。
みんなを忙しくしたのは私のせいだよね?
──では、シングルの話をお聞きします。今回なぜ「glory」と「Bubble」の2作品を同時リリースすることになったんでしょうか。
小鳩 自分たちもこんなことになるとは思ってなかったんですけど、ありがたい話が続きまして。まずは、「『遊☆戯☆王VRAINS』のエンディングテーマに決定しました!」っていうところから「glory」の制作に入って、秋の海外ツアーが始まる直前ぐらいに、「実はドラマの主題歌も決定しました!」「わーっ! うれしいっぽー!……でも、そのドラマはいつから始まるっぽ……?」っていうことで(ABCテレビ制作「パーフェクトクライム」。1月放送開始)、海外ツアーに出る直前に制作を始めて、ツアー中に歌詞を書いたりして、ツアーから戻ってきてすぐにレコーディングに入りましたっぽ。
──ということは、11月末に録ったということですか?
KANAMI そうですそうです。アレンジや歌詞はワールドツアー中に各自で進めて、帰ってきて2日後にレコーディングに入りました。
──半端じゃないスケジュール! これまでも国内ツアーから帰ってきた次の日にレコーディング、なんてこともありましたけど、今やそれすら楽に思えるレベルですね。
小鳩 あはは!(笑) 海外にグレードアップしましたっぽ! 次はどうなるっぽ?
彩姫 海外で録ることになったり。
AKANE カッコいい! やりたい!
──どちらの曲も、タイアップがついてるということは、先方からの注文がそれなりにあったんじゃないですか?
小鳩 意外とそこは好きなようにやらせていただけましたっぽ。
彩姫 逆に「Bubble」はこっちから提案したもんね。
KANAMI そうです。「パーフェクトクライム」のタイアップが急遽決まったということで、最初は「録り溜めてた曲から選びましょうか」っていうお話だったんですけど、「パーフェクトクライム」は原作のマンガを読んだことがあったので、作品の内容を考えるとその頃ちょうど作ってたデモのほうがドラマに合うと思ったんです。なので、ドラマ側にそう提案したらOKが出て……って考えると、みんなを忙しくしたのは私のせいだよね?(笑) 今、話してて気付いた!
彩姫 みんな、犯人は君だってすでに知ってるから。
KANAMI そうでした! すみませんでした!
──でも、よかれと思ってやったことですからね。
KANAMI そうなんです。もともと大人っぽい感じに作ろうと思ってた曲だったので。
「ああしなきゃこうしなきゃ」から「そこまでしなくてもいいんじゃないか」へ
──ところで、最近のBAND-MAIDは曲作りに対するアプローチが変わっていませんか? これまでは力で押すタイプのアレンジが多かった気がするんですが。
KANAMI ふふふ(笑)。以前まで「これも入れようあれも入れよう」って感じで音数を増やしていたところはありますね。
小鳩 「start over」の頃から音を抜くことを始めたっぽね。
──そうそう。これまでは自分たちにできることをとにかく詰め込んでいる印象だったんですよ。だけど最近は、楽曲に対するベストなアプローチをしっかり探っているように感じるんですよね。
KANAMI ああ、そう言っていただけるのはうれしいです。昔の自分はとにかくカッコよく見せたい、ギャップを作りたいっていう気持ちが強かったので、アレンジを激しくしたり、展開を複雑にしてたと思うんです。だけど言われてみると、最近はいかに多くの人に聴いてもらうかっていうことを考えながら作ってると思います。
──そして、「glory」「Bubble」は共にアレンジがとても繊細です。
KANAMI 以前は音がぶつかっても気にしなかったんですけど(笑)、今は制作方法が変わってきていて。例えば、MISAにベースの演奏データを送ってもらって、それを聴いたうえで新たな注文をするっていう。ドラムもMIDIデータでアレンジを送ってもらって良し悪しを判断したり。このやり方だと、私の手元に曲全体のデータがあるので、音がぶつかったらすぐにわかるし、そのデータを基に上モノを足すことができるので、そのおかげで変な音が入らなくなったんだと思います。
──なるほど。
MISA 私は最近新しいデスクトップのパソコンを買ったので、データのやり取りがすごく楽になりました。
AKANE ドラムに関しては、今まで生ドラムに触れる時間がスタジオしかなかったので、KANAMIからデモが届いてもアレンジするには実際にドラムを叩く必要があったし、しかも頭で想像していたのと実際に叩いたもので印象が違ったりすることがあったりして、その分時間がものすごくかかってたんですよ。だけど今は思い浮かんだフレーズをその場で打ち込むことができるので、「あ、これは合わないかも」っていう判断がすごく早くなって時間が短縮できるようになった分、曲について考える時間が増えました。
MISA パソコンは便利だよね。
──制作環境の変化も音の詰め込みが少なくなった一因なんですね。結果として個々の演奏が聴きやすくなって、アンサンブルがより楽しめるようになったと思います。
KANAMI ああ、うれしいです。
──激しいサウンドと緻密なアレンジを両軸で鳴らせるようになったのは、BAND-MAIDの新たな武器になりますね。
小鳩 確かに。この1年で曲の振り幅もお給仕の振り幅もすごく大きくなったと思うっぽ。
彩姫 気持ちも以前とは違いますね。「WORLD DOMINATION」を作っていたときは、「これがBAND-MAIDだ!」と言えるものを見せないといけないって気持ちが強かったんですけど、結果として作品の反応がよかったので、それ以降はいい意味で肩の力が抜けて、このシングルに対しても必死感がないと言うか、余裕を持って「今回はこういうBAND-MAIDを見せていこう」って感じで臨めました。
──今思うと、以前は音の隙間が生まれるのが怖かったのかなって。
KANAMI 「WORLD DOMINATION」まではさいちゃんに「ここはもっと(隙間を)埋めよう」って言われることが多かったんですけど、最近は曲に対して何かを言われることが少なくなって。
小鳩 「ああしなきゃこうしなきゃ」って思ってたのが、「そこまでしなくてもいいんじゃないか」に変わったんだと思いますっぽ。
彩姫 大人になった。
小鳩 成長したっぽ!
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