「新メンバー、もしかして男ですか？」

──そうしてかっちゃんが脱退した1カ月後、今度は望月みゆさんの加入が急遽発表されました。

私はかっちゃんが辞めたタイミングよりも、みゆちぃが加入したときのほうが実は不安でした。というのも、私はあらゆることについて「どうすれば面白くなるか、何をやれば盛り上がるか」ってことばっかり考えてたから。みゆちぃはそういうイベントみたいなことが何もなくスッと入ってきたので「えっ？ それで大丈夫なの？」って驚いたんです。でもファンの皆さんは意外とすぐに受け入れてくれたから安心しました。

──みさこさんがみゆちぃさんと初めて会ったのはいつですか？

ちゃんと話したのは「雪降る夜にキスして」のレコーディングですね。その前から“踊ってみた”動画を投稿してる子だとか情報だけは聞いてたんですけど、私は勝手にすごいインパクトがある人が来るって予想してたから、普通にかわいい子で逆にビックリして。「なんか裏があるんじゃないか？」って疑いすぎて、「もしかして男ですか？」って聞いたんですよ。「次はそういうドッキリか？」って（笑）。

──その後もメンバーの変動は続いて、今度は水玉らむねさんが脱退しました。

らむてぃんはもともとアイドルをやりたかったんですけど、バンもん！の活動ってどちらかというとバンド的で、セルフプロデュースする部分が大きいから自分たちで動かないと何も進まないんですよ。たぶん、そういうことをごちゃごちゃ考えないで、まっすぐアイドルの活動に打ち込みたかったんだと思います。そこでのすれ違いはずっと気付いてたので、辞めるって聞いたときに驚きはしなかった。

──かっちゃん脱退後はらむねさんがグループを引っ張るリーダー的なポジションだったように見えたので、彼女の脱退も一大事だったのでは。

はい。らむてぃんはトークが得意だからMCを仕切ってたし、何よりすごく人気があったんで、らむてぃんが好きだからバンもん！も応援してくれてるっていう人がかなり多かったんです。辞めたら困ることはいっぱい出てくるだろうなと思ってました。

まだ何もできてないから、こんなとこで絶対辞めたくない

──最初からいたメンバーが自分1人になって、自分の意思とは関係なく新メンバーが次々と入って、しかもそのメンバーもどんどん移り変わっていく中で、もし僕がみさこさんだったらきっと自分だけ置いてけぼりにされてる感覚になっていたんじゃないかなと思います。

いや、それはあんまり思わなかったですね。私ってもともと、流されるのが好きなんです。

──それ、昔からよく言いますよね（笑）。

あー、次はこんなことが起きるんだー、って思いながら流れに身を任せて、それを楽しむのが自分の人生だと思ってるので（笑）。

──かっちゃんやらむねさんが脱退したように、みさこさんも辞めたいと思ったことはあります？

いやー、ないですね。私って、もう辞めていいなと思うのは何かを成し遂げられたときだけなんで。バンもん！ではまだ何もできてないから、こんなとこで絶対辞めたくないってホントに思ってて。それはダサすぎるっていうか、何のために始めたんだって話で（笑）。だからまだがんばりたいです。私にとって辞めるタイミングは期間の問題じゃなくて、自分に力が付いたかどうかなんです。

──らむねさんが脱退した頃は、unBORDEから離れてインディーズになることが決まったり、バンもん！にとっては厳しい時期だったんだろうなと思います。

でも私は、アウェイであるほど「やってやるぞ！」っていう気持ちが湧いてくるタイプだし、バンもん！に関してはむしろそれを望んで活動してきた部分があったから、モチベーションは高まってましたね。絶対に逆境ってチャンスだと思うから。自分は今、跳び箱の踏み込み台みたいなポイントにいると思ってて、そこからちゃんと飛べるかどうかは自分次第だって思ってました。

──結成当初と今を比べて、バンもん！に対する意識は変わりましたか？

今、めっちゃ売れたいです。売れなきゃダメだと思ってる。昔は「自分の歌で世の中を変えてやろう」だなんて思ってなかったんですけど、今は変えたいですね。

だったらもう解散でもいいかなって思ってます

──現時点での一番新しいメンバー、甘夏ゆずさんと天照大桃子さんはそれまでと違って、メンバー自ら選考に関わってるんですよね。

そうです。らむてぃんが抜ける前くらいから、これから新しく加入する人はメンバー全員でちゃんと選びたいってみんなで話してて。新メンバーが入るなら強力な子にきてほしいなと思ってたし。

──どういう基準で新メンバーを選んだんですか？

私はとにかくステージパフォーマンスのクオリティを上げたかったんです。あと、みんなが思ってたのは「もう辞めないでほしい」ってこと。将来解散するときが来るまで一緒に長く続けてくれる子が入ってほしい、っていうのはメンバーの総意でした。募集してたのは1人だけだったんですけど、すごい強力な2人がきたんで。

──じゃあどっちも入れちゃおう、ってことにしたんですね（笑）。で、この2人が入ったタイミングでみさこさんはリーダーに就任しましたが、みさこさんは立ち上げメンバーだから「えっ？ 今までリーダーじゃなかったの？」と思っていた人もきっと多かったのでは。なぜそれまでリーダーにならなかったんですか？

自信がなかった（笑）。というか、周りの力が大きすぎて私に出る幕はないんじゃないかって思ってた。バンもん！はずっと「まとまりがない」って言われてて、私自身それを感じてたんですけど、私はそこから逃げ続けてたんです。でも新メンバーが2人入ったとき「こんなすごいグループを物にしないのはもったいない」って思って、まとめ役になりたいってやっと思えたんですよ。MCも下手だし、空気読めない人だけど、そういうリーダーが1人ぐらいいてもいいかなって（笑）。

──今の自分はバンもん！のリーダーになれていると思いますか？

どうかな。私はセンターに立ちたい人間じゃないんです。バンもん！を始めるって話になったときも、スタッフから「だったらフロントマンだろ」って言われたんだけど、そういうタイプじゃないからって言ってツインドラム編成にしてもらったし。私のリーダーとしての役割は、みんなを先導して引っ張るっていうより、中継ぎ役というか。

──でも、それもリーダーの大切な仕事ですよね。

ドラマーって基本的に、前に出て目立つのがあんまり好きじゃないと思うんですよ。だったらそもそもドラムを選ばないし。盛り上げ役としての個性は出るけど、自分が一番目立っちゃいけないパートだと思う。バンもん！でも私はそういうスタンスでリーダーをやっていきたいと思ってます。

──先ほど「こんなすごいグループを物にしないのはもったいない」と言っていましたが、もし今後この6人のうち誰かが抜けることになったらどうしますか？

だったらもう解散でもいいかなって思ってます。それくらい、ホントにいいメンツだなって思ってます。