音楽ナタリー PowerPush - BAGDAD CAFE THE Trench Town

全員が主人公 新生BAGDADの向かう先

番長の幼なじみ、NHK

──NHKさんはBAGDAD RIDDIM SECTIONから参加してますが、BAGDAD CAFE THE Trench Townをやるにあたって意識したことはありますか?

NHK(B)

NHK(B) 今まであったBAGDADらしさとか “BAGDADイズム”っていうのも残しつつ、これからの新生BAGDADグルーヴみたいなものを自分なりに出せたらいいなって思いつつ、レコーディングに臨みました。僕は昔からメンバーを知ってるし、昔のアルバムもずっと聴いてきたんで、以前からのBAGDADらしさっていうのは理解してるつもりだったから、それを崩さずに新しさを出せるようにって。

──NHKさんが参加したことで変化はありましたか?

番長 これまでずっと同じメンバーでやってきたから、普通ならシンプルに答えが出ることも、異常に回り道をしてたどり着くような場面が多々あった。だけどNHKからの意見で、シンプルな解決法に気付くこともありましたね。僕とNHKはドラムとベースなんですけど、もともと幼なじみで別のバンドを一緒にやったりしてたんですよ。高校生の頃なんか、ドラムとベースの息を合わせるために、本当に一緒に息を吸う練習とかしてましたからね(笑)。

──息を合わせるって、そういうことじゃないでしょう(笑)。

番長 「呼吸はリズムだ」ってなんかの本に書いてあってな。一緒に演奏しながら「お前、今息吐いてる?」って確認したり。まあ、突き詰めたらそうなんかもしれへんけど、そんなバカらしいことを真剣にやってて。

──ある意味“運命のリズム隊”ですね。

mai もともと2人は仲良しやし、リズム隊としてもいい感じだったから、私らも安心した。これが本当にはじめましてやと、そこから入らないといけないですけど、そこは端折れてるし。

番長 高校生の頃、一緒にバンドをやってたけど、それ以来あんまりやってなかったんですよね。高校のときに「ツアー行きたいな」とか「フェス出たい」とか夢を語り合ってたんで、それがここにきて実現できてるっていう。ステージで演奏してふと見るとすぐそばでこいつがベース弾いてて、ステージ上から同じ景色を見てるのは面白いなって思いますね。

NHK 「結局一緒にやんのかい!」っていう。

mai 元サヤやね(笑)。

BAGDAD流のレゲエを突き詰めたい

──レゲエにおいてドラムとベースのコンビネーションって大事だと思うんです。新生BAGDADのグルーヴへのこだわりってどんなところにありますか?

番長(Dr)

番長 個人的なこだわりで言えば、僕は派手でいたいんですよね。シンプルなレゲエもすごくいいんですけど、エンタテインメント性の強い音楽であってもいいと思う。俺からしたらロックスターみたいなレゲエのリズム隊もありだし、そういうところを足していきたいな。

──それは最初のほうに出ていた、メンバー全員が主人公であるっていうところにもつながりますよね。歌だけじゃなく、ビートも主人公であると。

mai BAGDAD RIDDIM SECTIONがあったおかげで、みんながちょっとフロントマンを味わった感じがある。番長がMCやるなんて昔は考えられへんかったもん。

──歌の捉え方とか、バンドとの関わり方や意識も変化してきたというか。それはmaiさんだけじゃなく、メンバー皆さんも年齢を重ねてきて、生活と音楽の関わり方も自然になってきているのかもしれないし、そこから生まれる表現っていうのが、今のBAGDAD CAFE the trench townの音楽に映し出されているような印象も受けました。

番長 そうですね。バンドとしても、ジャマイカンミュージックの追究はずっとしてたんです。その上で、自分らしか出されへん音っていうのを見据えていけるようになったというか。過去のレゲエの素晴らしいミュージシャンたちが出していた音を真似るんじゃなくて、自分らにしかできひん、BAGDAD流のレゲエっていうのを突き詰めていきたいって思うんです。それがここにきて、ちゃんとできてきたかなって。今の俺たちはこの音。次に出すときは、また全然違うかもしれないけど、レゲエの枠でありつつ新しい音楽を模索していきたいですよね。

ニューアルバム「EVERLONG」2014年9月17日発売 / 2300円 / apple of my eye / AOME-0006 / Amazon.co.jp
BAGDAD CAFE THE trench town「EVERLONG」
収録曲
  1. Feel&Go
  2. Make Your Fire
  3. Birthday
  4. 夢をかぞえて
  5. THIS WAY
  6. HIGH PRESSURE
  7. Anything Goes
  8. DUBthing Goes(Sadam Dub by Mad Professor)
  9. EVERLONG
  10. Feel&Go(LIVE @MEETS THE REGGAE 2014)
BAGDAD CAFE THE Trench Town
(バグダッドカフェザトレンチタウン)

レゲエを愛するナニワのソウルロッカーズ。2001年に大阪を拠点に活動をスタートさせ、2003年8月にリリースした1stアルバム「Love Sunset」が地元FM局でヘビーローテーションされるなどして注目を集める。2005年9月に3rdアルバム「MOVIN' ON」でメジャーデビューを果たし、数多くの野外フェスにも出演。2006年8月発売の4thアルバム「GOOD TIMES」は、オーセンティックなラヴァーズロックサウンドを追求し話題を呼んだ。2010年にリードシンガーのmaiが脱退するも男性メンバーのみで構成されたBAGDAD RIDDIM SECTIONが始動し、フレキシブルな活動を展開。2013年にmaiが復帰したタイミングでRANとBigmomの女性ボーカル陣が再び合流しBAGDAD CAFE THE Trench Townとして再スタートを切った。2014年9月に約5年ぶりとなるニューアルバム「EVERLONG」をリリース。