音楽ナタリー Power Push - back number
次に行くために導き出した答え
back numberが11月16日にニューシングル「ハッピーエンド」をリリースした。表題曲は「僕の名前を」(2016年5月発売)に続く、失恋をテーマにしたバラードナンバー。映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の主題歌として書き下ろされたこの楽曲は、昨年11月に発表されたヒット曲「クリスマスソング」と同様に小林武史がアレンジを手がけた。
音楽ナタリーでは今回もメンバー全員にインタビュー。2016年6月から行われた初のアリーナツアーの手応え、シングル「ハッピーエンド」の制作、現在のバンドの状況などについて聞いた。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 今村敏彦
“自分たちなりのいいライブ”の追求できたアリーナツアー
──前回取材させてもらったのは、シングル「僕の名前を」(2016年5月発売)のリリースのタイミングでした(参照:back number「僕の名前を」インタビュー)。その後は初のアリーナツアーがありましたが、手応えはどうでした?
清水依与吏(Vo, G) やっぱり会場が大きかったし、「普段のライブと同じことをやっていてはダメだな」と思いましたね。最終的にはライブハウスやホールと同じような距離感で観てもらいたかったから、そのためにはいろいろなことに気を付けてやらないといけないなと。それは今年1月から4月にかけて開催したホールツアーのときから想定しながらやっていました。
小島和也(B) 幕張の会場でスタッフにキックボードを借りて、客席の一番後ろまで行ってみたんですけど、最初は「この距離か……」という不安な気持ちになりました。ただ今までやってきたことをやるしかないですし、ライブの最中もメンバーで顔を見合わせられるような距離でやれたので、結果的にはいいライブになったと思います。
栗原寿(Dr) アリーナのライブは1本1本、消費するエネルギーや熱量がホールとは全然違ってましたね。後ろのほうのお客さんの顔までは見えないくらいの距離じゃないですか。そこに向かって今までのライブと同じように届けるためには、気力も体力もさらに必要なので。ハードでしたね。
──僕も幕張公演を観させてもらいましたが、ステージ上でのメンバーの関係性、楽曲がダイレクトに伝わってくる感覚を含めて、ライブハウスやホールでの公演と比べても遜色がないくらいにback numberのバンド感が生々しく感じられるライブだったと思います。
清水 ありがとうございます。結局は“自分たちなりのいいライブ”というものを見つけて、それを掘り下げるしかないと思うんですよ。最終的には楽曲を伝えることが一番大事なので、照明やセットリストを含めて、そこに焦点を絞っていかないと。散漫になってしまうとよくないし、そういうところはメンバー間でも以前より話すようになりましたね。
──オーディエンスの年齢層もさらに広がってますよね。
清水 アリーナツアーは特にそうでしたね。
小島 「こういう人に聴いてほしい」と意識したことはないんですけど、今はいろんな年齢の方に聴いてもらえるようになって。
清水 もともとは「いろんな人に届いたらうれしいな」くらいの気持ちでしたからね(笑)。実際にそうなりつつあるのはうれしいですよ、やっぱり。
「ハッピーエンド」は楽しみながら作れた
──アリーナツアーのあと、休みはあったんですか?
清水 休みがある予定だったんですけど、今回のシングル(「ハッピーエンド」)の制作が入ったのでなくなりました。僕以外の2人はたぶん、タヒチとかに旅行してると思いますよ(笑)。
栗原 行ってないよ(笑)。
小島 実家で何日か過ごしたくらいですね。
清水 そうか(笑)。今回のようなお話(「ハッピーエンド」は映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」主題歌)をいただけるのはありがたいし、まだまだ休んでる場合じゃないですからね。
──「ハッピーエンド」は失恋をテーマにしたバラードですが、最初はどんなイメージで作り始めたんですか?
清水 「ハッピーエンド」のもとになる楽曲はツアー中に作ったんですけど、まずは映画の原作を読んで、主人公の女の子のメンタリティ、意識みたいなものを自分に入れてから、曲を書いて。とにかく優しい人しか出てこない話なんですよ。その中でいろいろな気持ちの食い違いが生まれるっていう。特に失恋がテーマになっているストーリーではないんですけど、あの原作を読んで、この曲が出てきたということは、たぶん僕自身が歌いたかったんでしょうね。
──「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」のストーリーと清水さん自身のモードがうまく重なったというか。
清水 そうですね。映画から離れすぎず、自分の書きたいことが書けたんじゃないかなって。ストレートに映画に寄り添って「ピッタリだね」というよりは、もっと別のところで交じり合う感じで作りたかったんです。以前だったら、この映画の主題歌として失恋の歌は書かなかったと思うし……。だから映画の制作陣やスタッフの方々が曲に対して「いい感じですね」と言ってくれたときはビックリしましたね。通るとは思ってなかったから(笑)。
──前回のインタビューのときに「何かテーマを与えられたとき、自分の中で複数の精鋭たちが会議して、それを自分の意見としてバン!と出す」という話をされていましたが、今回も同じような感じだったんですか?
清水 うん。今回はそれを滞りなくやれました。なんて言うか、自分自身の気分もよかったんですよね。ツアーをやり切ってスッキリしていたのかもしれないし、シングルを制作しているときも「そうそう。今、俺はこういうことをやりたいんだよな」という感じだったので。求めてもらえることと自分たちがやりたいことが合致していたというか。僕の人生の経験上、やりたいことをそのままやってパワフルなものができるとは限らないし、ストレスフルな状況で作ったものに対して評価がもらえることもあるんですけど、今回は楽しみながらやれました。
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- ニューシングル「ハッピーエンド」 / 2016年11月16日発売 / UNIVERSAL SIGMA
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1620円 / UMCK-9878
- 通常盤 [CD] / 1080円 / UMCK-5616
CD収録曲
- ハッピーエンド
- 君の恋人になったら
- 魔女と僕
- ハッピーエンド(instrumental)
- 君の恋人になったら(instrumental)
- 魔女と僕(instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
- 「ハッピーエンド」music video
- 「ハッピーエンド」making of studio recording & music video & photo session
- 「ツアー2016"ミラーボールとシャンデリア"」幕張メッセ公演ダイジェスト映像
- ベストアルバム「アンコール」 / 2016年12月28日発売 / UNIVERSAL SIGMA
- 初回限定盤A
- 「アンコール」初回限定盤A
- 初回限定盤A [CD2枚組+Blu-ray+フォトブック] / 8424円 / UMCK-9885
- 初回限定盤A [CD2枚組+DVD2枚組+フォトブック] / 7344円 / UMCK-9886
- 初回限定盤B
- 「アンコール」初回限定盤B
- 初回限定盤B [CD2枚組+Blu-ray] / 7020円 / UMCK-9887
- 初回限定盤B [CD2枚組+DVD] / 5940円 / UMCK-9888
- 通常盤
- 「アンコール」通常盤
- 通常盤 [CD2枚組] / 3780円 / UMCK-1560~1
DISC 1
- 高嶺の花子さん
- 花束
- ハッピーエンド
- クリスマスソング
- はなびら
- 黒い猫の歌
- fish
- 君がドアを閉めた後
- 青い春
- 光の街
- stay with me
- MOTTO
- 恋
- 世田谷ラブストーリー
- 半透明人間
- 日曜日
DISC 2
- 春を歌にして
- 僕の名前を
- SISTER
- 助演女優症
- 繋いだ手から
- エンディング
- そのドレスちょっと待った
- わたがし
- 電車の窓から
- ヒロイン
- 幸せ
- アップルパイ
- 003
- 手紙
- 思い出せなくなるその日まで
- スーパースターになったら
back number(バックナンバー)
2004年に清水依与吏(Vo, G)を中心に群馬県で結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、2007年に小島和也(B, Cho)と栗原寿(Dr)を加えた現在の編成に。2009年に発売した初のミニアルバム「逃した魚」は大手レコード店で絶賛され、全国的に話題となる。2010年にフルアルバム「あとのまつり」を発表し、美しいメロディに切ない歌詞を乗せるというスタイルを確立。2011年4月にシングル「はなびら」でメジャーデビューした。2013年には東京・日本武道館でワンマンライブを成功させ、その後もコンスタントに作品を発表。2015年12月に5thアルバム「シャンデリア」をリリースしたのち、2016年1月からはアリーナ公演を含む32カ所39公演という自身最大規模のツアーを実施。11月にシングル「ハッピーエンド」を、12月にキャリア初のベストアルバム「アンコール」をリリースする。2017年2月から全国ツアー「back number "All Our Yesterdays Tour 2017"」を開催する。