大人っぽいヤツやろうよ

──ちなみに皆さんはおいくつなんでしたっけ？

小島　29歳と30歳です。

清水　最近やたら言ってるんですよ。「大人っぽいヤツやろうよ」とかって。まあ30という年齢にとって何が“大人っぽい”のかはわからないけど、「若々しくないのをやろうよ」みたいなことはよく言ってるんです。特に「ラブストーリー」の制作のあたりから、それはすごい気にしてる。たぶん曲作りやレコーディングに関してちょっと1周した気分になっているってこともあると思うんですけど。

──1周と言いますと？

清水　ある程度自分たちが得意な手法はやり切った感があって。それで曲の傾向が似てるものも出てき始めているんです。それをなんとかしたいというか、例えばカップリングの「アップルパイ」は、2013年発売の「スーパースター」というアルバムに入っている「リッツパーティー」という曲と同じ時期に作ったので、ほぼ同じような演奏だったんですね。でも今回新たに録るにあたって、「ギターのフレーズを変えてみよう」とか「もうちょっとリズムを遅くしてみよう」とか、30歳周辺の今の俺らだからこそ演奏できるアレンジにしたいってことを考えて。

小島　「ヒロイン」と「アーバンライフ」は全然違う曲で、さらに「アップルパイ」もこの2曲とまた違うんですよね。レコーディング最終日にシングルを通して聴いたとき、我ながら「すごいシングルだなあ」と思って。「ヒロイン」に出てくる男女はかわいいというか少年少女の雰囲気がありますけど、「アップルパイ」に出てくる人物は、歌詞の内容的にも自分たちのお父さんお母さん世代の雰囲気がありますからね。

──確かに「アップルパイ」の歌詞には「愛に飽きちゃって」とか「ちょっと冷めてる」なんてフレーズも出てきますしね（笑）。さて、3月からは全国ツアー「アーバンライブツアー2015 supported by uP!!!」がスタートします。

清水　「アーバンライフ」という曲があるので、ツアータイトルはそれに引っかけてるのかと思われるかもしれませんが、特にそういう意味ではないんです。アルバムを引っさげてのツアーだったらいろいろとコンセプトも立てて舞台セットも演出も考えますけど、今回はライブハウスツアーということで、体と体のぶつかり合いだし、お客さんも近いですし、とにかく一生懸命やればいいんじゃないかと思ってます。なぜこのツアータイトルが「アーバンライブツアー」という名前だったのかは、終わったあとでわかればいいんじゃないかな。あと今回、初めて沖縄で単独でやらせていただくんですよ。「ヒロイン」は雪と関係なくても喜んでもらえる曲だと思うし、そもそも“ヒロイン”は、雪が降らない場所にもいる。だからほかの会場同様、沖縄でもぜひライブを成功させたいです。

2015年は「いい曲を作りたい！」

──最後に2015年の抱負をお願いします。

清水　「いい曲を作りたい！」です。2014年はシングル2枚とアルバム1枚リリ－スしたんですが、今年も数多くの作品を出せたらいいなと思ってます。あと、先ほど言った“大人っぽい”という話にもつながるかもしれませんが、新しいことをやりたいです。音楽的なことで、これまで自分たちがやったことないようなことを少しずつでもやっていきたい。同じことをずっとやっているのも飽きちゃうし、自分たちが本当にいいと思っているものじゃなければ、他人様にお聞かせすることもできませんしね……こんなこと考えているの俺だけ？

小島　いや、そんなことないよ。今までだって新しいことをやろうとしているからこそ、新たな気持ちでシングルが切れているだろうから。今回のシングルの3曲も、何年か前だったら全然違う形になっていたと思います。これができたのも今だからだし。

栗原　 バンドマン的にも健全な音楽生活というか、いっぱい3人で悩んで、それぞれの楽器と向き合えればいいと思います。もちろん同じことをずっとやっているんじゃなくて、「本当にこれでいいのか？」って常に自問自答することを止めずに。最近はみんなでスタジオ入っているときも、前にはなかった論点で話ができていたりするんです。今年はそういう部分をさらに突き詰めていけたらいいなと思います。

清水　「ヒロイン」が作れたことで、見える景色もずいぶん変わったなと思っていて。小林さんと一緒にやらせていただいたってこともあるし、今回の制作では正直処理できないくらいの情報というか、これまでにない要素が自分の中に入ってきて。それをちゃんと噛砕いて理解して実践していくのが今年なんでしょうね。そうすることで、レコーディングへの姿勢はもちろん、ステージに立つ覚悟も違ってくるだろうし。