1枚を通して自分たちの今の精神状況を表したい

──3曲目「アイアムノットイナフ」は、3人の音のグルーヴ感がまずカッコいいなと思いました。疾走感があって、前の2曲とはガラッと印象が変わりますね。

清水　これは完全にメロディが先で、そこでやりたいことを全部やってしまったが故に歌詞がすごく大変だった……という曲です（笑）。テンポに関しては、最初からなんとなく速い、ノリのいい曲を目指してましたね。

栗原　最近は4つ打ちの曲が多かったし、今までビートで攻める感じの曲ってあまりなかったなと思って。だからこの曲は、最近出していなかった僕らの新たな一面が出てると思います。個人的にも、かなり気に入ってますね。

小島　僕は好きな曲ではあるんですけど……レコーディングには結構苦労しました。ある1小節がドラムの音となかなか合わなくて、そこは60回くらい弾きました。

──清水さんも先程歌詞に苦労したとおっしゃってましたが、どんな部分に？

清水　そもそもこれは「日曜日」とのバランスを取るために書いた曲でもあるんです。

──「日曜日」と「アイアムノットイナフ」はすごく対照的な世界観ですよね。

清水　はい。つまり、「日曜日」であれだけ現状の肯定をしてしまったから、一方で否定もしておかないと1枚のシングルとしてバランスがおかしくなるなと思ったんです。正直、僕の中では現状に満足してるようでしていない部分もあるし、28歳で「日曜日」のようなことを言い切ってしまうのは少し時期尚早かなというか。

──なるほど。それで「アイアムノットイナフ」には、自分はまだ満たされてないといった心情が描かれているんですね。

清水　やっぱり二面性はありますから。「幸せは常に自分の隣にある」って現状を肯定したい自分と、「幸せはここにはないから、もっと現状を否定することでそれを追い求めたい」っていう自分が。前者だけだと、どうしてもきれいすぎるんですよね。

──アルバムに限らず、シングルでも毎回そんなふうに全体のバランスを見て選曲してるんですか？

清水　そうですね。1枚を通して自分たちの今の精神状況を表したいなと思ってます。極端な言い方ですけど、昨今、シングルなんて本当に好きな人にしか手に取らないじゃないですか？ back numberの新曲を待ってくださってる、本当に興味のある方が買ってくれてると思うので、そういう方くらいには自分たちの今の精神バランスは正確にお届けしたいんです。当たり前のことですけど、カップリングも含めて1曲も手は抜いていないので。

夏フェスでは僕らを初めて観る人も取り込みたい

──初のドラマ主題歌に起用された今回のシングルを通して、今後、back numberの音楽に触れる方がさらに増えそうな気がします。また、そんな勢いに乗って今夏は各地の夏フェスへの出演も決定済み。意気込みはいかがですか？

清水　まずは体が資本なので、夏バテに気をつけながら（笑）。ライブは先日のワンマンツアーで掴んだものを生かして、いいステージを見せられたらと思います。あとフェスということで、僕らのことを知らない人、初めて観る人も会場にたくさんいると思うんですよ。でもそういう人たちをも一度で取り込んでしまうような、自分たちらしいライブができたらいいですね。

小島　夏フェスは去年初めて出させてもらって、今年が2年目。前年の経験を生かして、とにかく楽しみながらやれたらいいなと思います。

栗原　僕はまず、今年も（フェスに）呼んでいただけたってことが本当にうれしくて。お客さんにいいステージを見せるのはもちろん、スタッフの方にも毎年声をかけたいなって思ってもらえるようにバンドになるべく、これからもがんばっていきたいです。

「日曜日」（Short ver.）