BABYMETALが9月29日にBlu-ray / DVD / ライブアルバム「10 BABYMETAL BUDOKAN」をリリースする。
「10 BABYMETAL BUDOKAN」は、BABYMETAL結成10周年イヤーのフィナーレを飾るべく2021年1月から4月にかけて東京・日本武道館にて全10公演行われたワンマンライブのうち、4月公演から選りすぐりのアクトを収録した映像作品。10月10日をもってLEGEND(ライブ)を封印するBABYMETALの最新のステージが記録されている。Blu-ray初回生産限定盤には1月の公演の模様もパッケージされており、4カ月という短い期間の中でより進化した彼女たちのパフォーマンスや演出を見比べることもできる。
音楽ナタリーの特集では、現地を訪れたライターの森朋之にレビューを依頼。10年の歴史を感じるステージを今一度写真とテキストで振り返ってみたい。
文 / 森朋之撮影 / Taku Fujii、Taichi Nishimaki、Takeshi Yao
2020年の10月10日から始まったBABYMETALの結成10周年イヤー。そのフィナーレを飾る日本武道館10公演ワンマンライブ「10 BABYMETAL BUDOKAN」の模様を収めたライブ映像作品が「10 BABYMETAL BUDOKAN」だ。
“新しいメタルの誕生”をコンセプトに掲げ、2010年に始動したBABYMETAL。「Sonisphere Festival UK」「SUMMER SONIC」「FUJI ROCK FESTIVAL」など国内外の大型フェスに次々と出演を果たし、欧米を中心とした海外ツアー、東京ドーム、ウェンブリーアリーナでのワンマンライブを行うなど、今や世界的な人気を持ったグループとなった。ファンの間で“聖地”と称される日本武道館での10公演は、“METAL RESISTANCE”(BABYMETALがキツネ様から与えられた使命)を軸にした彼女たちの軌跡を象徴すると同時に、現時点での集大成と呼ぶべきステージと言えるだろう。
初回生産限定盤、通常盤に共通で収録される「DOOMSDAY - Ⅸ & Ⅹ」は、2021年4月14日、15日に行われたファイナル公演。ライブの幕開けは武道館公演に至るまでのプロセスを描いた映像で、ディストピアと化した世界においての“メタルの魂”、“メタルの叫び”の復活への決意を示したのち、BABYMETALが登場し、「BABYMETAL DEATH - Shin Ver. -」でパフォーマンスがスタートした。アリーナ部分に客席はなく、そこに360°開放した巨大なステージを設置。1階席、2階席の観客同士の距離も取られ、マスクの上にオリジナルのフェイスマスク“Savior Mask”の着用が義務付けられるなど、感染対策も万全だった。
ライブ前半で彼女たちは「イジメ、ダメ、ゼッタイ」「ギミチョコ!!」「ド・キ・ド・キ☆モーニング」など初期の代表曲を続けざまに披露。現代的なヘヴィメタルとJ-POPを結び付けた楽曲、超高度な演奏テクニックと最上級のヘヴィネスを放つ“神バンド”の演奏は、まさに唯一無二だと思う。
中盤の見どころは、メンバーの個性豊かなステージングだ。「GJ!」ではMOAMETALがキッズダンサー4人を従えたパフォーマンスを展開。“三三七拍子”のハンドクラップが鳴り響き、ステージを取り囲んだ観客との熱い一体感を生み出した。東西南北の客席を「もっともっと!」「ぜんぜん足りない!!」と笑顔で煽るMOAMETAL、そして声が出せない状況の中、腕を突き上げ、手拍子を送り続けるオーディエンスの姿も印象的だ。“メタルの鍵盤”の映像、幻想的なレーザーとスモークの中で演奏された「NO RAIN, NO RAINBOW」では、SU-METALが壮大なメロディを歌い上げた。この曲は2016年発売の2ndアルバム「METAL RESISTANCE」に収録されているが、「絶望さえも光になる 悲しい雨が 虹をかけるよ」というフレーズは、2021年の状況と重なり、さらに強いメッセージを放っていた。
童謡「さくらさくら」のメロディをモチーフにした「メギツネ」は、祭囃子的なリズムと轟音ヘヴィメタルを融合した代表曲。SU-METALが“ウェーブヘドバン”(ウェーブしながら両腕と頭を縦に振る)を要求し、会場のムードはさらに高揚した。「KARATE」ではメンバーが正拳突きを取り入れたダンスを披露し、「戦うんだ 拳をもっと 心をもっと」という勇壮な歌を盛り立てる。和テイストを取り入れた楽曲とパフォーマンスも、BABYMETALが世界的な人気を得た理由のひとつだろう。
本編ラストはBABYMETALのアンセム「ヘドバンギャー!!」。力強さとしなやかさを併せ持ったビート、緻密にしてダイナミックなギターが共鳴する中、BABYMETALが繰り広げるのは黒髪を振り乱し、美しくも激しいステージング。そして、“土下座ヘドバン”で盛り上がる観客が生み出す熱気は間違いなく、この記念すべきライブのクライマックスだった。
アンコールは、“ひとつになる”というメッセージを刻んだ「THE ONE」から。さらに10年間に及んだ“METAL RESISTANCE”の終わりを告げる映像とともに「Road of Resistance」が披露され、会場には大きな感動が生み出された。エンディングでは、“METAL RESISTANCE”全10章の紋章を刻印した銅鑼がステージの周りに置かれ、SU-METALが1つひとつ鳴らしていく。そして彼女が最後の1つを爆発音とともに打ち鳴らした瞬間、「10 BABYMETAL BUDOKAN」は終演。「私たちの挑戦を応援し続けてくれた世界中のファンの皆さん、そして武道館に集まってくださった皆さん、本当にありがとうございます!」というSU-METALの日本語のメッセージも強く心に残った。
この映像を通じて実感できたのは、SU-METAL、MOAMETALの成長ぶり。ヘヴィメタル、J-POP、ヒップホップ、童謡などが混ざり合う難易度の高い楽曲を歌いこなし、BABYMETALのメッセージを伝えるSU-METAL。10年間、ダンスと真摯に向き合い、ダンサーとしての実力を身に付けたMOAMETAL。本作を観れば、2人の進化こそがBABYMETALが世界的な成功を収めた最大の理由だったことを感じてもらえるはずだ。
Blu-ray初回生産限定盤には、1月19、20日に行われた「DOOMSDAY – I & II」の模様も収録。キツネ様の神事をイメージさせるオープニング「IN THE NAME OF」、メンバーが手をつないでロシア民謡風のダンスを踊る「Oh! MAJINAI (feat. Joakim Brodén)」、SU-METALの美しいロングトーンが印象的な「Starlight」など、本編に収められていない楽曲も堪能できる。ラストの「イジメ、ダメ、ゼッタイ」における、楽曲のメッセージをまっすぐに届けようとするパフォーマンスも大きな見どころだ。
BABYMETAL「【ベビネットDA DA DA】10 BABYMETAL BUDOKAN編」
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ベビネットがお勧めするとっておきのアイテムとして、同日発売のBlu-ray / DVD / ライブアルバム「10 BABYMETAL BUDOKAN」をピックアップし、ダイジェスト映像とともに作品の見どころや聴きどころを紹介する。「ベビネットDA DA DA」限定特典やスペシャルアイテムの紹介も予定している。
配信日時:2021年9月29日(水)21:00~
10 BABYMETAL BUDOKAN - EXHIBITION -
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期間:2021年9月28日(火)~10月10日(日)
会場:東京都 タワーレコード渋谷店8F SpaceHACHIKAI
営業時間:12:00~20:00(19:30最終入場)
※9月28日(火)は16:00~20:00入場料金:前売1500円 / 当日1500円
- BABYMETAL(ベビーメタル)
- 2010年に結成された、SU-METAL(Vo, Dance)とMOAMETAL(Scream, Dance)からなるメタルダンスユニット。2014年3月に東京・日本武道館単独公演を2DAYS開催し、女性アーティスト史上最年少記録を樹立した。1stアルバム「BABYMETAL」は全米ビルボード総合チャートにランクイン。同年夏からは初のワールドツアーを行い、イギリスの大型フェス「Sonisphere Festival UK」ではメインステージで6万5000人の観衆を集めた。アメリカではレディー・ガガの北米ツアー5公演のサポートアクトを務めるなど、初のワールドツアーにして世界中に爪痕を残す。2016年4月に2ndアルバム「METAL RESISTANCE」をリリースし、全米ビルボードチャートTOP40に日本人アーティストとして53年ぶりにランクイン。同月にはイギリス・ウェンブリーアリーナにて日本人初となるワンマンライブを開催し、9月にはワールドツアーファイナルにあたる東京・東京ドーム2DAYS公演で計11万人を動員した。2019年10月に3rdアルバム「METAL GALAXY」を発表し、そのリリースを記念したワールドツアー「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN」の追加公演として2020年1月25、26日に千葉・幕張メッセ国際展示場で単独公演「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW LEGEND - METAL GALAXY - 」を開催した。結成10周年を迎える2020年12月に初のベストアルバム「10 BABYMETAL YEARS」をリリース。2021年1月から4月にかけて「10 BABYMETAL BUDOKAN」と銘打った東京・日本武道館ワンマンライブを10公演開催した。