ナタリー PowerPush - BABYMETAL
ピエール中野とド・キ・ド・キ☆パフォーマンス研究会
BABYMETALがロックシーンの先輩アーティストたちからさまざまなことを学ぶ対談企画。第1弾ではSuGのフロントマン・武瑠とSU-METAL(Vo, Dance)によるディープな対談が行われた。今回掲載する第2弾では、ゲストとして凛として時雨のドラマー・ピエール中野が登場し、BABYMETALの3人と新鮮なトークを展開。ステージ上でのパフォーマンスや楽器の練習方法、さらにはメタルの基本など、この組み合わせならではの会話を楽しんでもらいたい。
取材・文 / 西廣智一 撮影 / 佐藤類
ヘヴィメタルのいい部分をきちんと取り入れている
──ピエールさんは最初どういうきっかけでBABYMETALを知ったんですか?
ピエール中野 音楽好きの人やバンドマンから「BABYMETAL、カッコいいから観たほうがいいよ」ってよく言われてたんですよ。で、最初に観たのが「ヘドバンギャー!!」のPV。まず曲のアレンジが細かく詰められていて、楽曲のレベルが高いと思いました。そもそもアイドルソングってクオリティが高いものが多いと思うんですけど、その中でもBABYMETALはヘヴィメタルの本当にいい部分をきちんと取り入れていて。ツーバスの入れ方とかギターリフの構成とかセンスいいなと思うし、これはすごく支持されるだろうと思いました。
──完全に楽曲から入ったんですね。
ピエール中野 はい。僕は割と楽曲から入ることが多いんですよ。Perfumeがすごく好きなんですけど、それも楽曲から入りました。で、観ていくうちに振り付けだったり本人たちのキャラだったり、そういったところもいいなと思うようになっていくんです。曲から入る人、見た目から入る人、いろんなタイプがいますけど、僕みたいにバンドをやってる人間の場合はまず曲が良くないとダメだと思う人が多いんじゃないかな。
生バンドは音が違うんだよね
──BABYMETALのライブを観たことはありますか?
ピエール中野 映像では観たことあります。振り付けをMIKIKO先生(Perfumeなどを手がける振付師)がやってるというのもあって、観ていて楽しいし。早く生でライブを観たいですね。
YUIMETAL 私たち、この間O-EASTのワンマンライブで初めて生バンドの人たちと一緒にパフォーマンスしたんですよ。
ピエール中野 生バンドと一緒にやってみてどうでした?
MOAMETAL 音が違うんだよね。
YUIMETAL 本当に。
SU-METAL 最初に生バンドさんと合わせたときに、MOAMETALがずーっとポカーンと演奏を観てて。
BABYMETAL一同 あははは(笑)。
ピエール中野 なんで見とれちゃったの?
MOAMETAL 演奏を聴いてたら、心臓がすごいバンバンってなって。
ピエール中野 やっぱり音の迫力も普段のバックトラックとは全然違うでしょ?
MOAMETAL はい。あとバンドの皆さんが顔を白塗りにしてて。あの存在感がすごかったです。
ピエール中野 そうだよね。顔を白く塗ると普通じゃない感じになるしね。そんな人がいっぱいいるわけでしょ?
MOAMETAL いっぱいいた(笑)。
ピエール中野 でもステージにいる人たちがそれを感じてるんだから、きっとお客さんはそれ以上の存在感を感じてるんじゃないかな。メタルの世界は特に、お客さんがボーカリストよりもギタリストに注目するケースが多くて。それだけじゃなくて、バンドの中でベースやドラムが一番注目されることもあるし。
SU-METAL へえ! 面白いですね。
ピエール中野 普通は歌を歌ってる人に目がいくものね。例えば木村カエラさんのバックバンドには超凄腕のミュージシャンが揃っていて、そういう話を聞いて「じゃあちょっと観てみよう」と思ったロックファンが実際にカエラさんのライブを観たら「歌いいじゃん、曲いいじゃん」ってことになると思う。皆さんがこの間シンガポールで競演したT.M.Revolutionさんのバンドもすごいメンバーだし。だからBABYMETALも、もっと生演奏で歌う機会を増やしていくとロックファンやメタルファンは喜ぶんじゃないかな。
SU-METAL バンドさんと一緒にやったとき、今までだったら間奏の部分は普通に踊ってたんですけど、生演奏だとギターソロとか聴き入っちゃって、本当にカッコよかったし。また新たな発見ができたと思います。
ピエール中野 あ、いいね。いい発見をしたね。
SU-METAL はい。えへへ(笑)。
初心者は最低1日2時間は練習
YUIMETAL ピエールさんはいつ頃からドラムを始めたんですか?
ピエール中野 中学3年生の終わりぐらいからかな。僕はX JAPANのドラマー、YOSHIKIさんに憧れてドラムを始めたんです。YOSHIKIさんはドラムとピアノを演奏するバンドの中心人物で。まだメタルとか全然知らない頃に友達から「ヤバいから観ようぜ」って言われてX JAPANのビデオを観せられて。そこで、ドラムソロだけでステージを10分も成り立たせるYOSHIKIさんのパフォーマンスを初めて観て、カッコいいと思ったんです。
SU-METAL えっ、10分間も?
YUIMETAL そんなに?
ピエール中野 ドラムセットがせり上がるの。
BABYMETAL一同 すごい!
ピエール中野 東京ドームのライブビデオだったんですけど、それを観てドラムを始めて。
MOAMETAL 実はMOAもギターやってるんですけど……。
ピエール中野 あ、マジっすか。
MOAMETAL 練習とか苦手で、全然弾けないんですよ。
ピエール中野 それ致命的じゃないですか。
BABYMETAL一同 あははは(笑)。
MOAMETAL そう、全然できなくて。ピエールさんは練習をどれくらいやってるのかなと思って。
ピエール中野 練習は人によるけど……でもまあ最初のうちは最低でも1日2時間は集中してやったほうがいいかな。
MOAMETAL 2時間もですか?
ピエール中野 でもほら、みんな歌やダンスの練習をするでしょ? きっと2時間以上してるんじゃないですか、多分。
SU-METAL ああ、そうですね。
ピエール中野 なかなか時間が取れなくて大変だとは思うんですけど。例えばみんなが以前対談したアニメタルUSAのクリス・インペリテリって人は世界を代表するメタルギタリストなんだけど、演奏してるところを観たことある?
SU-METAL はい。
ピエール中野 すっごい速弾きだったでしょ? あれも相当な練習をした結果なんです。インタビューで「どうやったらそんなにうまくなれるんですか?」と質問されると、彼も「すごく練習してきたよ。1日の大半をギターに使ったぜ」みたいに答えると思うんですよ。
MOAMETAL すごい! そうなんだ。
ピエール中野 っていう感じです。だから練習をがんばるしかないかなと。
MOAMETAL ……がんばります(笑)。
- BABYMETAL メジャーデビューシングル「イジメ、ダメ、ゼッタイ」 / 2013年1月9日発売 / TOY'S FACTORY
- 「イジメ、ダメ、ゼッタイ」初回限定盤 "I"盤
- 初回限定盤 "I"盤 [CD+DVD] 1800円 / TFCC-89404
- 初回限定盤 "D"盤 [CD+DVD] 1800円 / TFCC-89405
- 初回限定盤 "Z"盤 [CD+DVD] 1800円 / TFCC-89406
- 通常盤 [CD] 1200円 / TFCC-89407
CD収録曲
- イジメ、ダメ、ゼッタイ
- (未定)
- イジメ、ダメ、ゼッタイ(カラオケ)
- (未定)(カラオケ)
初回限定盤 "I"盤 DVD収録内容
- イジメ、ダメ、ゼッタイ(PV)
- イジメ、ダメ、ゼッタイ(メイキング映像)
初回限定盤 "D"盤 DVD収録内容
- いいね!(2012年4月8日 SHIBUYA-AX公演ライブ映像)
- ド・キ・ド・キ☆モーニング(2012年4月8日 SHIBUYA-AX公演ライブ映像)
初回限定盤 "Z"盤 DVD収録内容
- ヘドバンギャー!!(2012年7月21日 目黒鹿鳴館公演ライブ映像)
- ウキウキミッドナイト(2012年7月21日 目黒鹿鳴館公演ライブ映像)
BABYMETALライブ情報
「I、D、Z ~LEGEND "D" SU-METAL聖誕祭」
2012年12月20日(木)東京都 赤坂BLITZ
OPEN 17:30 / START 18:30
料金:MOSH'SH PIT(全席立見) 3500円
(スペシャルCD付 / ドリンク代別)
チケット一般発売中
- 凛として時雨 ニューシングル「abnormalize」/ 2012年11月14日発売 / Sony Music Associated Records
- 期間生産限定盤[CD+DVD] 1470円 / AICL-2452/3 / Amazon.co.jpへ
- 通常盤[CD] 1050円 / AICL-2451 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
- abnormalize
- make up syndrome
- abnormalize(TV edit)
期間生産限定盤のみ収録
期間生産限定盤DVD収録内容
- abnormalize(music video)
- 「PSYCHO-PASS サイコパス」non-credit opening movie
BABYMETAL(べびーめたる)
SU-METAL(Vo, Dance)、YUIMETAL(Scream, Dance)、MOAMETAL(Scream, Dance)からなるメタルダンスユニット。2010年、「アイドルとメタルの融合」をテーマに結成。2011年に発表した楽曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のPVが、YouTubeを通じて国内外で大反響を呼んだ。ライブではアイドルの枠を超えたアグレッシブなパフォーマンス(激しいヘッドバンギングやウォールオブデスを彷彿とさせる“かけっこ”など)も魅力のひとつ。2012年3月にキバオブアキバとのスプリットシングル「BABYMETAL×キバオブアキバ」を発表。同年7月、初の単独名義でのシングル「ヘドバンギャー!!」をリリースした。2013年1月にはメジャー1stシングル「イジメ、ダメ、ゼッタイ」を発売する。
ピエール中野(ぴえーるなかの)
1980年生まれ。凛として時雨でドラムを担当。高度なテクニックに裏打ちされたドラムプレイや、ステージで見せる独自のマイクパフォーマンスで多くの音楽ファンの支持を獲得。CHAOTIC SPEED KING、玉筋クールJ太郎のメンバーとしても活躍するほか、DJやコラム連載でもその才能を発揮している。2011年7月には自主イベント「ピエールナイト 海の日年越しライブ」も開催。2011年9月にドラム教則DVD+BOOK「Chaotic Vibes Drumming 入門編」「Chaotic Vibes Drumming 実践編」をリリースした。