音楽ナタリー Power Push - Azumi

盟友と築き上げたキャリア16年の1stオリジナルアルバム

2013年5月のWyolica解散後、ソロアーティストとして独自のスタンスで音楽活動を行ってきたAzumiが、初のオリジナルアルバム「CARNIVAL」を発表した。自身がトータルプロデュースを手がけた今作には、各曲のサウンドプロデューサーとしてKj(Dragon Ash)、社長(SOIL & "PIMP" SESSIONS)、韻シスト、DJ JIN(RHYMESTER、Breakthrough)、大江千里、川口大輔、藤本一馬(orange pekoe)、松本圭司が名を連ね、さらにSteady&Co.の名曲「Only Holy Story」でも共演したILMARI(RIP SLYME)がフィーチャリングゲストとして参加している。

これまでの活動で出会った盟友やリスペクトするアーティストの協力を得て、エバーグリーンな1枚を完成させたAzumi。インタビューでは、参加アーティストへの思いや、作品作りに対する揺るぎない姿勢について、1999年のデビューから16年間のキャリアを見つめた上で語ってもらった。

取材・文 / 鳴田麻未 撮影 / 下屋敷和文

重苦しくないラブをテーマに

──今作「CARNIVAL」は、詞、サウンド、参加アーティストのラインナップなど、あらゆる面から見てAzumiさんが16年のキャリアで積み上げてきたものが凝縮されたアルバムではないかと思いました。

Azumi

そうだと思います。2011年に「ぴあのとあずみ」、15周年のときに「NEW STANDARD」を出して、ジャズアルバムを出すという長年の夢を叶えて満足したので、次は原点回帰しようっていう気持ちになったんですね。そこで、私なりの恋愛観……重苦しくない、でも絶対に人の心の中にあるラブをテーマに作ろうと思って。そういうとき、誰が頭に浮かんだかというと、これまで私が音楽を通してつながったキーマンや、私が大好きな人で。その方々に制作を頼みました。

──今「原点回帰」という言葉が出ましたが、自分の原点はどういったところだと思いますか?

そもそも私は、音楽をやることを志したときから「自分の音楽を追求したい」っていう気持ちがすごく強いんです。さらに、ずっとソロと並行してやってきたWyolicaの解散を経て、もう1回「Azumiというアーティストの原点はどういう音楽なんだろう」と考えてみたら、私が通ってきた1990年代後半のブラックミュージック、アシッドジャズ、後追いで聴いて多大な影響を受けた1970年代のソウルミュージックだったんです。そのあたりを現代に置き換えたサウンドで、ライトにやりたいなと思いました。

──「重苦しくない」「ライトに」というのはAzumiさんの音楽表現の特徴の1つですよね。

うん、重くならないように作ってますね。これはやっぱりWyolicaを長くやっていたのが大きくて。Wyolicaは、「悲しい歌を優しく歌う」っていうキャッチコピーを掲げていたんですね。それが私の中に根付いているんです。歌う上でも歌詞を書く上でも「押し付けたくない」という気持ちがすごく強いし、私は聴いてる人の背中を押すものや耳に残るものを歌っているのかもしれないけど、受け取った先はその人のものというか、そこから育ててほしい。軽やかだけど、じっくり聴いてもらって刺さるところがあればいいなと思いながら作っています。

──いろいろな人に自由に受け取ってもらうために、例えば「あんまり生々しい言葉は使わないようにしよう」とか、詞作りの面でテクニックとして表れたりもしますか?

そこはバランスをすごく考えてて。詞って、実際に自分が目で見たものや感じたこと、リアルなところを入れないと絶対に人に伝わらないんですね。なので、客観視していたり抽象的な表現をしていても、ここでは内面をえぐる思いを盛り込もうとかバランスを見ています。あとは、詩ではなく歌詞なので絶対にメロディを生かす言葉を選びますね。

──なるほど。そういったところはさすがベテランですね。

全然ベテランじゃないですよ(笑)。いつも「私ダメだなー歌詞書くの」とか思いながらやってます。

1stオリジナルアルバム「CARNIVAL」2015年12月2日発売 / Warner Music Japan / 3024円 / WPCL-12246
「CARNIVAL」
収録曲
  1. Carnival(Produced by Kj[Dragon Ash])
  2. Crazy Days feat. ILMARI(RIP SLYME)(Produced by 社長[SOIL & "PIMP" SESSIONS])
  3. I want it feat. 韻シスト(Produced by 韻シスト)
  4. Rainy Days(Produced by DJ JIN[RHYMESTER])
  5. 一日の終わりは君と一緒に(Produced by Azumi & 松本圭司)
  6. 私という名の場所へ(Produced by 大江千里)
  7. もっともっと(Produced by 韻シスト)
  8. REPEAT 1%(Produced by 川口大輔)
  9. RED STAR(Produced by Azumi & 松本圭司)
  10. ハートストリングス(Produced by 藤本一馬[orange pekoe])
Azumi 1st Album Release Live「CARNIVAL!!」
  • 2016年2月13日(土)大阪府 Shangri-La
  • 2016年2月26日(金)東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE

<一般販売チケット受付>
販売期間:2015年12月12日(土)10:00~2016年2月9日(火)18:00
料金:4320円(ドリンク別)

Azumi(アズミ)
Azumi

シンガーソングライター。1999年、Wyolicaのボーカルとして大沢伸一プロデュースでデビュー。優しく透明感のある歌声と穏やかで切ない歌詞、メロディを武器に、ソロとしてDragon Ash、Steady&Co.、スネオヘアー、SOFFet、MOOMINなど、さまざまなアーティストの楽曲のフィーチャリングボーカルとして起用される。2011年にソロ活動再開、DJ活動開始。9月には親交の深いピアニストを招き1stソロアルバム「ぴあのとあずみ」を、2013年4月にはカバーアルバム「NEW STANDARD」をリリースする。2013年5月、Wyolicaが解散。2015年12月にこれまでの集大成としてソロオリジナルアルバム「CARNIVAL」を発表した。また、2012年に設立したヘアアクセサリーブランド「Tuno by Azumi」のデザイナーを務め、映画「函館珈琲」にヒロイン役で出演を果たすなど、アーティスト活動のほかにも幅広く活躍中。