ナタリー PowerPush - AZU×吉田山田
スウィートな“杏仁豆腐”シンガー 赤裸々アーティスト対談
春夏秋冬をコンセプトに12カ月の楽曲を収録
──ここからはアルバム「4seasons」の内容に詳しく触れていきたいのですが、今作は12カ月それぞれのイメージに合わせて作った12曲が収録されていますよね。そのコンセプトはどこから?
AZU スタッフとの制作会議で、今後アルバムリリースを目標にシングルを出していこうという話が一昨年くらいから出ていて。そこで私が「1年を通してAZUを聴いてもらえるような、春夏秋冬をコンセプトにしたアルバムは?」と提案したんです。それで1月はこれ、2月はこれ……って、月に当てはめる形で曲を作っていきました。
──なるほど。ただ、それだと好きな月に曲が集中しちゃう、みたいなことはなかったですか?
AZU ありましたね。私は夏が大好きなんですが、それ以外の何月と何月が足りひん!みたいな(笑)。
吉田 僕もいつも好きな季節に固まっちゃいます。
AZU 何月なん?
吉田 冬。だから自分が作るのは冬の曲ばっかり。
AZU 困るよね(笑)。でも例えば5月の「LIFE」は、もともとあまり月を意識せず作ってて。完成に近づくにつれて、どこに入れたらいいんやろって思ってたの。で、背中を押す感じの応援ソングだから、五月病がある5月にしたらいいんちゃう?みたいな(笑)。中にはそういう感じで当てはめた曲もあるかな。
AZUは杏仁豆腐!?
──吉田山田の2人が「4seasons」で気になった曲はどれですか?
山田 僕はいつも歌詞よりメロディを気にしながら聴くんですけど、これ好きだなって思ったのは1曲目の「Hello」ですね。
AZU 全編英語の曲ですやん!(笑)
山田 はい。歌詞の意味は全然わかんないです(笑)。でも伝わってくるものがあって、これを聴いてると空を飛んでる気分になるんですよ。メロの中にちゃんと言葉があるというか、意味がわからなくてもこれだけ澄んださわやかな気持ちになれるのはすごいなって。「Hello」には、ヒーリングミュージックのようにふわーってなっちゃうような、すごい力があるんです!
AZU わー、うれしい。ありがとうございます。
山田 あとアルバム全体を通して、R&Bの中にアジアンなテイストがあったり、子守唄のように感じる曲があったり……。だから最初に聴いたとき僕は「(AZUは)杏仁豆腐だ!」って思ったんです。
吉田 あの、山ちゃん、どういうこと?(笑)
山田 まず声がすごくスウィートだから、デザートのイメージだなって。でもなんでアイスクリームじゃなく杏仁豆腐かっていうと、甘いんだけどスッキリしてるし、ほかのどんな声と混ざっても杏仁豆腐のように味がブレないというか。
AZU あー、なるほど!
山田 だから僕の希望としては、杏仁豆腐って中華のお供に最高じゃないですか? 中華のように濃い人たちとのコラボを聴いてみたい。
AZU 例えば誰ですか?
山田 ざっくりしたイメージだと湘南乃風さんとか。そこにAZUさんが入ると、杏仁豆腐としてのスッキリさがより際立つんじゃないかなって。
AZU うれしいな。杏仁豆腐かー。そんなふうに形容されたのは初めてですね(笑)。
どの曲も歌詞がちゃんと聞こえてくる
──吉田さんのほうは、「4seasons」いかがでしたか?
吉田 僕は全体的に聴いてて不思議だなと思ったことがあって。自分は曲を作っていくとき、メロディと言葉の相性をすごい考えるんですよ。例えば「ありがとう」って言葉ひとつとっても、普通の会話のときのようなイントネーションでなるべくメロディにしたいというか。それは音楽を歩きながらとか日常の中で聴く人が多いと思ってて、そのほうが自然に言葉が入ってくるのかなって思うからなんですけど。そんな僕の視点からすると、AZUちゃんの歌は文脈的に変だなと思うところがあるんですよ。
AZU あ、それ言われたことある! 文章おかしいよって(笑)。
吉田 4つのメロディに僕なら4文字の言葉を入れるけど、AZUちゃんの場合は3文字の言葉と次の1文字目が入ってきてる、みたいな。ただ、AZUちゃんが歌うとそれが不思議なことにスッと入ってくるんです。このアルバムを聴いてると、なんでこんなに言葉が自然と入ってくるんだろうって。
AZU いやー、気分いいですね(笑)。でも私はそれを意識して作ってはいなくて。
吉田 そこがまたすごいよね。僕は山田と違って詞のほうが大事で、普段から詞が聞こえてこない曲は聴けないんだよね。飽きちゃって。だから詞が聞こえるっていうのは自分の中で大前提なんだけど、「4seasons」はどの曲もすごく聞こえてきました。
AZU いやあ、めっちゃうれしいですね(笑)。
- AZU 5thアルバム「4seasons」2014年1月29日発売 / アリオラジャパン
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3800円 / BVCL-565~6
- 通常盤 [CD] 3059円 / BVCL-567
CD収録曲
- Hello
- XOXO
- I LOVE YOU
- I LOVE YOU TOO feat. MIKU a.k.a tomboy
- LIFE(プロアクティブ[マスク編]CMソング)
- Promise
- Summer Time!!!(OISOロングビーチ / エプソン品川アクアスタジアム2013キャンペーンソング)
- ただ君を…
- Now You're Not Here
- Circles of Life(テレビ朝日系 木曜ミステリー「京都地検の女」主題歌)
- モノクロ(中京テレビ「PS三世」2014年2月度エンディングテーマ)
- Sweet Home
初回限定盤DVD収録内容
- 「Promise」from AZU PREMIUM LIVE “AZUDECHANeeL Vol.1”
- 「Promise」MUSIC VIDEO
- 「I LOVE YOU TOO feat. MIKU a.k.a tomboy」MUSIC VIDEO
- 「Circles of Life」MUSIC VIDEO
AZU(あず)
三重県出身のシンガー。16歳からクラブシーンで「AZU」としての活動を始め、2007年5月30日にシングル「CHERISH」でメジャーデビューを果たした。翌2008年にはSEAMOとのコラボレーション楽曲「時間よ止まれ feat. SEAMO」が大きな注目を集め、配信楽曲「いますぐに…」「YOU & I feat. LOVE LOVE LOVE」は着うたランキングでウイークリー1位を獲得。新日本製薬CMソングに起用された「Ring~M&M~」は着うたで異例のロングヒットを記録した。2012年10月にはデビュー5周年を記念して、初のベストアルバム「BEST」をリリース。2014年1月に通算5枚目のフルアルバム「4seasons」を発表した。
吉田山田(よしだやまだ)
吉田結威(G, Vo)と山田義孝(Vo)からなる男性2人組ユニット。高校時代に出会った2人が紆余曲折を経て、2003年頃から2人で音楽活動をスタート。地道なライブ活動を経て、2009年10月にシングル「ガムシャランナー」でメジャーデビューを果たす。2011年7月に発売されたシングル「約束のマーチ」は愛知冠婚葬祭互助会「愛昇殿」のCMソングに採用され、大きな話題を集めた。2013年には「大阪マラソン2013」で初のフルマラソンに挑戦。2人そろって5時間を切るタイムで完走した。さらにNHK「みんなのうた」2013年12月・2014年1月オンエア楽曲の「日々」を同年12月に発売し、各方面から大反響を呼んだ。2014年1月、待望の3rdアルバム「吉田山田」をリリース。本作を引っさげ、Zepp Tokyo公演を含む過去最大規模の全国ツアーも1月25日にスタートした。