自分の作詞曲が上位15曲だったのはうれしい

──ベストアルバムの初回盤はCD3枚組の豪華盤で。その内訳はFanセレクトべスト、AZUセレクトベスト、feat. AZUベストですが、なぜこういった形態にしたんですか？

最初は私が選ぶベストとかフィーチャリングベストとか意見が出たんですけど、どれを言われてもしっくりこなくて。実際私もいろんなアーティストのベストを聴くんですが、そこで「あれ？ うちが聴きたい曲入ってへんやん！」ってことがたまにあるんですよ。なので自分がリスナーやったら自分の聴きたい曲が入ってたほうがうれしいなってことで、1枚はファンに選んでもらうのはどうか？って提案させていただきました。選び方も1～15位までの投票制にしたいっていう希望を言ったら、皆さん面白がってくれて。

──普通のファン投票は多くても3曲程度だと思うんですが、15曲も選べちゃうっていうのがすごいですね。

選ぶ皆さんはちょっと大変なんですけどね（笑）。でもそれぞれのマイベストを作るような気持ちで、みんな1時間くらいかけてホームページと向き合っていただけたらうれしいなって。

──ちょっとしたスタッフ感覚を味わうってことですね。で、そこに入らなかった曲からAZUさんのセレクトベストとフィーチャリングベストを構成したと。

はい。ホント、出し尽くしちゃました（笑）。

──ちなみに、ファン投票で意外だった曲はありましたか？

大体は予想どおりでしたね。みんなこれ選ぶんだろうなって曲がしっかり入ってて。でも、シングル曲が多い中でSpontaniaやKGくんとのフィーチャリング曲が入ってたのはうれしかったかな。全体的には、自分の作詞曲で上位15曲が埋まったっていうのもすごくうれしかったですね。

──改めてfeat. AZUベストを振り返って、印象的なコラボレーションはありますか？

とにかくいろんな方とやらせてもらったなって感じがあるんですけど、基本的にはみんな仲がいいんで、レコーディングとかも遊んでるような感覚というか。わいわいガヤガヤやってることが多いですね。歌ってる時間よりしゃべってる時間のほうが長い、みたいな（笑）。SEAMOさんとの現場は、合間にゲームをしたりすごい楽しいです（笑）。

切なくて、ザ・AZUって感じ

──AZUセレクトベストのボーナストラックには、10月に先行配信された「またね。」と未発表曲「Be As One」が収録されています。

「またね。」は、今回のベストを出すことが決まってから作りました。せっかくだから新曲も入れようってことで。5年間の集大成じゃないですけど、「AZUって言えばこうだよね」っていうAZUらしい曲を作ろう、というところから「いますぐに…」の制作チームと再びタッグを組ませていただいて。

──すごくリアリティのある恋愛のワンシーンが描かれていて、想像したら胸がキュンとしました。

基本的に作詞は本当にあったことしか書かないようにしてるんですけど、例えば友達の相談を受けて、その子に歌ってあげたいって思うことを書くときもあります。「またね。」は、「こういうこともあったなー」っていう自分自身の経験から膨らませていきました。

──「今年も君がいないまま　また、ねぇ、、雪が降ってるよ…。」という部分とか、AZUさんは結構引きずっちゃうタイプなのかな？と（笑）。

あはははは！（笑） そのへんは皆さんのご想像にお任せします。これは1年前なのか2年前なのかわからないけど、私の中では、何年経ってもその時期が来ると彼を思い出してしまうっていう感じで書きました。女性って結構別れたらすぐ切り替えるみたいなことを言われたりしますけど、ふとした瞬間にちょっと思い出すっていうことがあるんですよね。

──思い出の曲とか、香りとか……。

そう！ 何かちょっとしたことなんですけど、たまにそういうときがあるんですよね（笑）。

──あと、この歌詞で使われてる「またね」って言葉はすごくいろんな意味に捉えられるなって。今までそんなに深く考えたことはなかったけど、使う状況や心境によって全然意味が違ってくる不思議な言葉ですよね。

そうなんです。普通に「バイバイ、また明日ね」って感じで使うときもあれば、その後しばらく会えない人との「またね」とかもあるし。今回は別れ際のシチュエーションで使ってるんですが、またすぐ会えそうなのに違うっていう、その切なさを感じてもらえたらいいなって。

──先行配信後、ファンのリアクションはどうでしたか？

いち早く聴いてくれた子たちからは「切なくて、ザ・AZUって感じ」みたいな声がありましたね。「5年間の集大成だね」っていう反応もうれしかったです。

適当じゃなく（笑）ちゃんと意味のあるタイトル

──「Be As One」のほうは、爽やかで前向きなミディアムナンバー。5周年を経て、またここから歩いていくAZUさんの心境を表してるようにも思えました。

まさにそんな感じですね。今回のベストを出して、また未来へと向かっていくような曲を作りたくて。来年に向けて新曲やアルバム制作も少しずつ進めてるんですけど、それに向けての、また新しい自分を見せられたらって。

──なるほど。でも同時にリスナーの背中を押してあげるメッセージソングとしても聴けますよね。

はい。この5年間、AZUっていう1人のアーティストを愛してくれたみんなにも「いろいろあったでしょ？」って寄り添う感じで。「でもちゃんと自分の足で踏み出してがんばるんだよ。失敗しても大丈夫だから」みたいなメッセージも込めてますね。

──最後に、今回のタイトルは「BEST」というすごくシンプルなものになりましたね。

スタッフに「適当だなー」って言われました（笑）。でも私の中では最初に「BEST」って言葉が浮かんで、それ以外いいタイトルが思い付かなかったんです。だから「ベストなんだから『BEST』でいいでしょ？ わかりやすいし」って。

──あははは（笑）。

そんな感じですごく簡単に決めちゃいました（笑）。シンプルすぎたかな？

──でもこの3種類のディスクを集約する言葉といったら、もう「BEST」しかないですよ（笑）。

そうなんです！ まさにベストな1枚ということで。超シンプルだけど、ちゃんと意味のあるタイトルにはなってるんですよ（笑）。