ナタリー PowerPush - AYABIE

1stアルバムに込められた4人の“ANSWER”

AYABIEのメジャー1stアルバム「ANSWER」がリリースされた。2011年8月にシングル「流星」でメジャー進出を果たし、その後、着実にリリースを重ねていっている彼ら。結成3年目を目前に控えて完成した「ANSWER」は、バンドの現時点での集大成とも言える内容に仕上がっている。

今回ナタリーはメンバーに2度目のインタビューを実施。ニューアルバムに込められた4人の“答え”を訊いた。

取材・文 / 牧野りえ

「まあこんな感じでいいかな」っていうのはなかった

──今作「ANSWER」は、「これが今のAYABIEの答えです!」と言わんばかりの一切迷いのない作品ですね。制作に入る前に何か話し合ったことはあるんですか?

インテツ(B) あれはいつくらいだったかな? 3rdシングルの「覚醒シュプレヒコール」とほぼ並行して2月頃から作り始めてたんですよ。

KENZO(Dr) で、「RISE」と「Reflector」はそれくらいの時期に既に録ってたけど、「こういうアルバムにしよう」っていうのは特になかったかな。

インテツ ただ最初に、AYABIEを初めて聴く人にも「こういうバンドなんだ!」って伝えるために、AYABIEの芯の部分ってなんだろうって、僕らの原点についてディレクターを含めて話をしましたね。

──そこで自分たちらしさを再確認したところがあるんですか?

インテツ そうですね。デビューシングルの「流星」から“和”の音色やフレーズを散りばめてきたんですけど、作ってる中でそれがAYABIEらしさなんじゃないかなって気付いて。

──そのAYABIEらしい和のテイストと美しいメロディを強調したストリングスを導入したインストゥルメンタルナンバー「prelude」が、アルバムのオープニングを飾っています。

インテツ 「prelude」はアルバムのテーマ曲として作った「流星」のインストなんですけど、それも生の音で録りたいっていうことで、ストリングスの方に来ていただいたんですよ。シンセで弾くのとは違った音の厚みと深みがあるんですよね。結構時間的にギリギリの作業だったんですけど、僕たちにとってメジャー1stアルバムっていうのはかけがえのないものなので。そこを妥協せずに作れたのはミュージシャンとしてすごくうれしいですね。

──2曲目の「RISE」以降も、AYABIEらしさと新しい要素を詰め込みながら、1曲1曲ものすごく丁寧に作られている印象を受けました。

インタビュー写真

夢人(Vo, G) 「まあこんな感じでいいかな」っていうのはなかったですね。

インテツ ミックスの最終チェックの日までアイデアを出したり、アレンジし直したりしましたね。

KENZO だから1曲1曲がちゃんと完成されてますよね。俺らが今できることを詰め込んだ、ベスト盤みたいな印象があります。

タケヒト(G) うん。個々のやりたいことが最大限に引き出せている楽曲の集まりというか。それでいて個々の“ANSWER”も、バンドとしての“ANSWER”も出せた作品になったんじゃないかなと思います。

タイトルが決まってから明確に見えてきた

──「ANSWER」というタイトルはいつ頃決まったんですか?

タケヒト 半分くらい曲ができた頃ですね。

インテツ それぞれの中でひねったタイトルを考えすぎちゃってたときに、ディレクターから「君たちが伝えたいのはこれだと思うよ」って言われたのが「ANSWER」で。最初はあまりにもストレートすぎてピンとこなかったんですけど。でも、僕たちAYABIEがメンバーチェンジやパートチェンジを経ながらもこの4人でステージに立ち続けている理由や、今僕らが伝えたいことも込められてるし、このタイトルしかないなって思えてきて。タイトルが「ANSWER」に決まってから、アルバムに入れたい曲も明確に見えていったところがありますね。

──なるほど。AYABIEは全員が作曲するので、その曲の作曲者がイニシアチブを取ってアレンジを進めていくスタイルですよね。その中でお互いのプレイに対して意見することはありました?

インテツ KENZOくん作曲の「独楽」のベース録りのときに、KENZOくんがいなかったんですよ。その曲を録り終わって、次に僕が作った「LOVE SONG」のベースをのんびりやろうかなって思ってたら、KENZOくんがスタジオに来て、「ここはこうしたほうがいいよ」って。KENZOくんは本当に気ままなんですよ!(笑)

KENZO 誰の曲だろうが誰のフレーズだろうがAYABIEとして出すものだから、「俺はこっちのほうがいいんじゃないかな」って思ったら言いに行きますね。ブースの外でほかの仕事をしてても、「ちょっとタケヒト、今のところなんだけどさあ」って。

──そのKENZOさんの意見は採用されました?(笑)

タケヒト KENZOの曲に関しては、基本言われたようにしますけどね。「RISE」のギターソロのときもガチャッとブースに入ってきて、「ここさー」って始まって。結局、最初に録ったやつに戻ったんですけど(笑)。

KENZO やってみたい人なんです。とりあえず1回やってみないことにはわかんないから。

夢人 ほかのパートに関しても、自分が納得するまでやらせるところはすごいよね。

──ほかのメンバーがKENZOさんのドラムに対して意見することもあるんですか?

KENZO 言うと怒るんです、俺が(笑)。俺が叩いてんのにブースの外で文句言ってんじゃねえ!ってね(笑)。

夢人 うぜえー(笑)。

タケヒト KENZOの場合は、それぞれが自分自身の中で完結するまで自由にやってもらって、落ち着いたかなって思ったら「あのAメロの前さあ」みたいな感じで言いますね。

KENZO そうすると素直にやるんです(笑)。

夢人 そこがうぜえー!

全員 (笑)。

CD収録曲
  1. prelude
  2. RISE
  3. Reflector
  4. 覚醒シュプレヒコール
  5. LOVE SONG
  6. Paradise Paradox
  7. メリーゴーランド
  8. 独楽
  9. SICs
  10. HERO
  11. Season
  12. 流星
AYABIE(あやびえ)

元「彩冷える」の夢人(Vo, G)、タケヒト(G)、インテツ(B)、KENZO(Dr)によって2010年9月に結成されたロックバンド。同年10月に東京・Shibuya O-EASTで初ライブを行い、12月には初音源となるアルバム「Virgin Snow Color -2nd Season-」をインディーズから発表した。2011年に入るとシングル「Melody」、DVD「Virgin snow color -2nd season- 2011.01.06 Tour Final at AKASAKA BLITZ」、サウンドトラックアルバム「縁-enishi- SOUND COLLECTION」を立て続けに発表し、同年8月にシングル「流星」でメジャーデビュー。2012年1月に2ndシングル「メリーゴーランド」、5月に3rdシングル「覚醒シュプレヒコール」をリリースしたのち、2012年8月にメジャー1stアルバム「ANSWER」を発表した。