音楽ナタリー Power Push - 「avex GIRL'S VOCAL AUDITION」特集 青野紗穂インタビュー
夢がカタチになるまで
Apollo Theaterの希望の木
──2012年、14歳のときにニューヨークの名門・Apollo Theaterで開かれた「アマチュアナイト」のキッズ部門で見事、優勝しました。ステージに立ったときの感覚はまだ覚えていますか?
覚えています。あの会場には、なんとも言えない神聖な雰囲気があるんですね。パワースポットみたいな。やっぱり緊張しましたし、その不思議なパワーに圧倒されてる感がずっとあったので、歌えるかどうか心配だったんですけど、ステージの上に置いてある切り株を触ったら本当に落ち着けて。
──Tree Of Hope=希望の木と言われている切り株ですね。幸運を祈り、出演者が切り株を触ってからステージに出るのが習わしになってる。
あれは本当に触ったほうがいいです。それまで「大丈夫か、大丈夫か」って切羽詰まっていたのが、触ったら家族の中にいるような温かさを感じて、一気に緊張がほぐれて。歌ってるときも触った手を胸に当ててると落ち着いたし。
──コンテストやオーディションに参加する人は、そういうお守りみたいなものを持っていたほうがいいと思いますか?
持ってたほうがいいと思います。お守りっていうか、私は家族の力ってすごいなと思うから、オーディションを受ける前に家族とハグしたりとか。肌で感じられる温かさみたいなのが本番前にあったほうが落ち着くと思います。
──ご家族がオーディションに来られない場合は、そういう温かさをイメージできるモノでも代用できるでしょうし。
そう。自分が落ち着くモノとかモチベーション上がるモノとか用意しとくといいと思いますね。今、私は、本番前にビヨンセさんのミュージックビデオとかライブパフォーマンスを見てモチベーションを上げるんです。自分でコレだと思うシーンをプレイリストにまとめてあって。本番前にそれを見て「私はビヨンセだ。こういうふうにパフォーマンスできる人だ」って思い込んでステージに出るんです。
物事を始めた頃の感動とか心に響いたことを忘れちゃいけない
──7月に「INTRODUCTION」で配信デビューしましたが、「キラチャレ」から数えると8年かかっています。長い時間だと思いますが、不安や焦りはなかったですか?
正直ありました。一緒にレッスンしてたアーティスト志望の方がデビューされたりしたので。ただ周りにはけっこうグループでデビューされた方が多いんですけど、私は私だし、若い頃にデビューするのもいいと思うんですけど、年を増すごとに味って出てくると思うんですよ。自分はそういうアーティストを目指してたし、そういう人たちに比べると自分はまだまだだから、もっとやらなきゃなっていう感じはありました。だから焦ってる反面、自分はまだまだだなと思ってる部分もあったので、どこか落ち着いてる自分もいたんですよね。
──歌手になれる切符が目の前にあるのに、ずっとつかめないみたいな感覚はなかったですか?
それもありました。ニンジンをぶら下げられてる馬みたいな(笑)。もうちょっとで取れる、でもまだ食べられないっていう。自分の中で、「あ、今の惜しかった!」「もうちょっとこうしてれば」みたいなこともあったから。
──途中で辞めたいと思ったことは?
それはないです。でも、ぶっちゃけると、自分も成長しないし、何も前に進まないみたいになったときがあって、ちょっと時間を空けてからまた歌手に向けてスタートしようかなと思ったときもあったんです。それは上京する前。高1の頃ですね。
──前に進まないというのは、Apollo Theaterの優勝で注目されたのに、デビューの話がなかなか具現化されない、みたいな?
というより、アポロでのパフォーマンスや歌に自分の中で納得いかない部分があって。そのあと日本でライブをしても、まだまだ音程とかがブレるし、感情を出すにしても「ちゃんと伝わってる?」みたいな。手応えを感じるときもあるんですけど、伝わってない感がハンパなくて、このままだとヤバイなあって。自分の中での“闇期”ですね。歌ってても歌えてる気がしないし、踊ってても全然成長しないし、何をしてもうまくいかない。
──それをどうやって乗り越えたんですか?
母に「深く考えずに、気楽に楽しんどいたらいいんじゃない?」って言われたんです。「そっかー。でも楽しめるかな?」と思ったんですけど、自分が好きなことだから自分が楽しんでないと、たぶん周りも楽しめないんだなと思って、そうするようにしたんです。歌ってても「これができない!」とかじゃなくて「今はできないけど、寝て起きたらできてるかもしれない」みたいな考え方に変えたり。もともとはネガティブ思考なんで、ポジティブにポジティブに考えるようにしました。
──そしたら闇が晴れてきた?
そうです。1年くらいかかりましたけど。長かったあ(笑)。
──でも、もともと歌の世界には「やってみたら楽しいですか?」っていう会話から入ってるわけですしね。スランプを救ってくれたのも楽しむ心だったと。
そうです。最初の気持ちって大事ですね。物事を始めた頃の感動とか心に響いたことって忘れちゃいけないなって思いました。やっぱりずっとやってると、これができない、あれができない、こうなりたいのになれないみたいなことは絶対出てくるじゃないですか。でも、そうなったときこそ、それを始めたときの自分の気持ちって大事だなって、私もそのとき気付きました。
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avex GIRL'S VOCAL AUDITION
エイベックスが、未来のスターとなる女性ボーカルに出会い、育て、プロデュースするためのプロジェクト「a-project」の一環として行われるオーディションです。浜崎あゆみ、倖田來未、EXILE、東方神起など数えきれない大物アーティストのヒット曲を制作してきたエイベックスのトッププロデューサー陣が審査員として、応募者全員の「歌唱力」だけではなく、あなたの「声」を直接審査します。書類審査もないので、歌唱力に自信がない人でも気軽にトライできます。受賞者は、エイベックスと契約し、レッスンを無償で受け、トッププロデューサーが育成していくので、今現在のスキルに自信がなくても、「スターになりたい!」「夢にチャレンジしてみたい!」という気持ちだけあれば大丈夫です。
応募条件
11歳~25歳までの女性
(現在小学5年生の方より、2015年8月27日時点で満25歳以下の方)
※未成年者は保護者の同意が必要となります。
※スクール、事務所、プロダクションなどに所属の方も応募可能。ただし、事前に担当者の了承を受けた上でご参加ください。
合格者特典
メジャーデビューに向けてのフルサポート(エイベックスとの契約、レッスンの無償提供、プロデューサーによる楽曲制作)。合格者多数契約予定。
審査内容
エントリー者全員が歌唱審査に参加可能。書類、プロフィール審査なし。お好きな日本語楽曲のサビ部分を30秒アカペラ歌唱。
審査員
鈴木大輔 / 菊池一仁 / 星野靖彦 / 五十嵐充 / 五戸力 / 丸山真由子
1次審査スケジュール
2015年8月7日(金)北海道 サッポロファクトリーホール
2015年8月18日(火)東京都 TFTホール ホール500
2015年8月21日(金)大阪府 大阪ビジネスパーク 円形ホール
2015年8月24日(月)東京都 泉ガーデンギャラリー
2015年8月27日(木)愛知県 名古屋市中小企業振興会館 第1・2ファッション展示場
青野紗穂(あおのさほ)
1997年兵庫県生まれの高校生シンガー。5歳からダンスを習い始める。2007年にエイベックス主催「キラット☆エンタメ・チャレンジコンテスト2007」に出場。約2000人の中からモデル部門の特別賞に選ばれたことをきっかけにエイベックス・アーティストアカデミーで歌とダンスのレッスンを開始。2012年、アメリカ・ニューヨークのApollo Theaterで行われている「アマチュアナイト」のキッズ部門「Stars of Tomorrow」に出場し、優勝を果たす。2015年4月からフジテレビ系「水曜歌謡祭」に“水曜シンガーズ”としてレギュラー出演中。7月には初のオリジナル音源として配信限定アルバム「INTRODUCTION」をリリースした。