8月29、30日に配信サーキットフェス「@JAM ONLINE FESTIVAL 2020」が開催される。
「@JAM ONLINE FESTIVAL 2020」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で今夏から2021年に開催延期となった「@JAM EXPO 2020」の代替フェス。神奈川・横浜MMブロンテ、東京・AKIBAカルチャーズ劇場、白金高輪SELENE b2、Zepp Tokyo、Zepp DiverCity TOKYO、Future SEVENの6つのステージを舞台に、2日間で計120組のグループが出演する。
「@JAM ONLINE FESTIVAL 2020」開催の報せを受け、音楽ナタリーでは2018年と2019年の「@JAM EXPO」で親善大使を務めた「@JAM」常連の古川未鈴(でんぱ組.inc)、昨年総合司会を務めた高見奈央(ex. ベイビーレイズJAPAN)、「@JAM」総合プロデューサーの橋元恵一にインタビュー。オンラインフェスの開催に至った背景や配信ライブのメリット、今後のアイドルシーンの行く末などについて語ってもらった。
取材 / 近藤隼人 文 / 石井佑来 撮影 / 前田立
急遽決まったオンラインでの開催
──2014年にスタートした「@JAM EXPO」は昨年、過去最高の動員数と売り上げを記録し、今年は神奈川・横浜アリーナにて3日間にわたって開催される予定でした。これから拡大していこうというところで、新型コロナウイルスの影響で来年に開催延期になり、かなりダメージも大きかったんじゃないでしょうか。
橋元恵一 ダメージは大きかったですね。「@JAM」は今年10周年イヤーで、原宿で「@JAM 10th Anniversary Cafe」を開催するなど実現できていることもありますが、発表できていなかったたくさんの施策もあり、それらと共に1年かけて盛り上げていこうとしてたのでかなりショックでした。「@JAM EXPO」は緊急事態宣言が明けたら開催するつもりだったんですよ。動員数を会場キャパの半分にすれば開催できるんじゃないかと思いながら、プロ野球やJリーグ、コンサート関連など、いろんなところと情報を共有しながら進めていました。みんなで一丸となって音楽シーンを盛り上げていこうと。
古川未鈴 誰が最初に観客を入れてライブをやるかみたいな、探り合ってる時期がありましたよね。
橋元 「@JAM EXPO」も6月下旬までは開催する方向で考えてたんですけど、状況が刻一刻と変わっていくし、動員数を半分にしても、お客さん同士のソーシャルディスタンスを保ったり、3時間ごとにお客さんを入れ替えて換気したりしないといけないということを考えれば考えるほど、もはやこれは「@JAM EXPO」ではないんじゃないかと思い、断腸の思いでしたが開催を断念しました。今年やるはずだったことは来年に延期して、出演者もできるだけそのままにして開催する予定です。
──「@JAM ONLINE FESTIVAL」は、代替企画としてすぐに実施が決定したんですか?
橋元 6月下旬までこの企画はまったくなかったんです。「@JAM EXPO」を延期することが決まったときに「どうしよう」と悩んで。何も開催しなければ傷も少ないので、代替企画をやらないという手もあったんですけど、すでにオファーしていたグループが100組以上いたんですよ。「@JAM」10周年ということもあるし、ほかの夏フェスがどんどん中止になっていることも受けて、「この人たちと何かできないのかな」と思ったんです。そんなときに「多くのライブハウス、空いてますよ」という情報が入ってきて、「じゃあ休業を余儀なくされてきたライブハウスを、休業していたアイドルと一緒に盛り上げる」というコンセプトのフェスを作ろうと思って開催を決めました。なので、この企画は6月末にスタートしたものです。
高見奈央 すごい! そんな短期間の準備で開催できるものなんですね。
橋元 発表したときには決まってなかった会場もあったくらいです。なので、そのほかもまだ決まってないことだらけですよ(笑)。
古川 でも「@JAM」ならなんとかなるんだろうなって思ってます。
橋元 本当は2人には昨年に引き続き、親善大使と総合司会をやってもらおうと思ってたんだけどね。
古川 今年は親善大使と総合司会はないんですね。
橋元 心の親善大使だね(笑)。密を生むような企画はできないので、今年はオープニングセレモニーもないし、コラボもないです。
古川 じゃあ「@JAM ALLSTARS」(「@JAM EXPO」の出演者からなる選抜ユニット)もないんだ!
橋元 残念ながら今年はないです。
古川 「@JAM ALLSTARS」にはずっとでんぱ組.incのメンバーを入れていただいていて、まだ選ばれたことがないのがぺろりん(鹿目凛)だけなんですよ。なので、今年はぺろりんが「@JAM ALLSTARTS」に選ばれるのかなと期待していて、グランドフィナーレで歌うところを想像して勝手に感極まってたんですけど、それを見られないのは残念ですね。
橋元 そうだね。「@JAM ALLSTARS」のメンバーは決まっていたのだけど、改めて来年の発表まで我慢してもらえると……。
古川 ぺろりんには来年まで修行してもらいましょう。
親善大使と総合司会に任命した理由
──古川さんは昨年と一昨年の2年連続で「@JAM EXPO」の親善大使を務め、高見さんは昨年元PASSPO☆の森詩織さんと2人で総合司会を担当しました。どういった経緯でこういった大役をお二人に任せることになったのでしょうか?
橋元 みりんちゃんに関しては、「@JAM」がでんぱ組.incと深いお付き合いをさせてもらっていて。僕らがイベントを始めたのとほとんど同じくらいのタイミングででんぱ組.incが結成されて、成長を見守ってきました。逆に僕らのイベントの成長も見守ってきてくれていて。本当に唯一無二の存在で、この人がいないと「@JAM」が成り立たないと思っています。
古川 いや、どうして親善大使をやったのか覚えてますよ。でんぱ組.incが1年間活動を休んでた時期があって、そのときに「今年も『@JAM EXPO』にどうしても出たいです」って橋元さんに言ったんです(笑)。それで開会式とかを用意してもらって、総合司会っぽい仕事をやって。私が「@JAM」に出るためのポジションを無理やり作ってくれたんです。
橋元 マスコットキャラクターの“あっとじゃむくん”もデザインしてくれてたしね。
古川 5秒で描いたデザインなんですけど(笑)。
──(笑)。高見さんを総合司会に任命した背景は?
橋元 高見に関しては、以前「@JAM」の期間限定ユニットにメンバーとして入ってもらったし、ベイビーレイズJAPANが解散前最後に出演する外部フェスに「@JAM EXPO」を選んでくれたので、「セカンドキャリアも応援しよう」という思いで総合司会をやってもらいました。もう、応援しっぱなしですよ(笑)。
高見 ベビレのほかのメンバーは候補に挙がらなかったんですか?
橋元 笑いを取れるのは高見と大矢(梨華子)さんくらいだからね(笑)。総合司会には笑いも必要だから。
古川 私もめっちゃ助けられましたよ。去年の「@JAM EXPO」でアイドルさんたちとトークショーをしたときに「私めちゃくちゃ人見知りだし、どうしよう」と不安だったんですけど、高見さんがガンガン回してくれて。本当にありがたかったですね。
高見 本当は今年も「@JAM EXPO」に向けて「総合司会がんばります」みたいなコメントを用意してたんですよ。コロナ禍で延期になってしまったのは残念でしたが、「@JAM ONLINE FESTIVAL」にも呼んでいただけたのはすごくうれしいですね。
──高見さんはベビレ解散後もアイドル界に興味を持ち続けているんですか?
高見 今もめちゃくちゃ興味ありますね。これから出てくるアイドルさんを見るのが好きなんです。初々しい感じがたまらないし、成長していく女の子の姿を見るのはやっぱり楽しいです。
──ファン目線でアイドルを見ていると。
高見 完全にファン目線ですね。「あ、衣装変わったんだ」とか思いながら。ベビレ時代に交流があったアイドルさんはもちろん、新しく結成されたアイドルグループにも注目しています。去年の「@JAM EXPO」ではラジオ番組とタッグを組んで楽屋裏で出演者の方々にずっとインタビューしてたんですが、その合間にライブも観ることができて、すごく楽しかったです。
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マブダチみたいな関係性