アニメ専門チャンネル・AT-Xによる動画配信サービス「AT-DX」が2024年3月にスタートした。このサービスにて、GLAYのHISASHI(G)がナビゲーターを務めるアニメ紹介番組「STUDIO HISASHI with Anime」が毎月1回のペースで配信中だ。
「STUDIO HISASHI with Anime」はアニメに造詣が深いHISASHIが、新たな作品との出会いを視聴者に提供する番組。アニメに携わったことのあるアーティストやクリエイターをゲストに迎え、アニメについて深く語り合う。6月6日より配信されている第3回には、以前よりGLAYから影響を受けてきたことを公言するflumpoolの山村隆太(Vo, G)が登場した。
flumpoolは2014年に「キャプテン・アース」のオープニングテーマ「ビリーバーズ・ハイ」を手がけたことを皮切りに、「亜人」「Infini-T Force」「あひるの空」「柚木さんちの四兄弟。」など、ダークファンタジーから日常系まで幅広いアニメ作品にテーマソングを提供。山村はボーカルを担うとともに、そのすべての楽曲の詞を書いてきた。憧れのバンドのメンバーでありコンポーザーであるHISASHIを前に、さまざまな質問をぶつける山村。そんな彼にHISASHIが伝えたこととは?
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取材・文 / 中野明子撮影 / 須田卓馬
「STUDIO HISASHI with Anime」はAT-DXにて配信中。
「STUDIO HISASHI with Anime」3回目の収録は、TK from 凛として時雨がゲスト出演した第2回に続き、東京都内のジャズバーで行われた。HISASHIと今回のゲストである山村は以前から面識はあるものの、サシで話すのはこれが初めてだという。「我々とは違う次元にいるミュージシャンであり、2000年代以降を代表するロックバンド。我々と同じように、日本のエンタテインメントを盛り上げている同志!」というHISASHIの紹介で呼び込まれた山村。冒頭は緊張の面持ちだったが、憧れのHISASHIの「ここはリラックスする場所!」というフォローを受けて言葉を交わす中で徐々に表情が和らいでいく。
GLAYとflumpoolは世代は異なるものの、地元の幼馴染同士でバンドを結成したという共通点を持つ。GLAYは今年デビュー30周年を、flumpoolは昨年デビュー15周年を迎えるなど、両バンドともにアニバーサリーイヤーの真っ最中だ。HISASHIと山村はバンド内での音楽的な衝突や、制作時の空気感についてトーク。山村は「僕らはメンバー同士でぶつかりたくなくて。長く一緒にやってるからこそ遠慮してしまう。でも、GLAYは音楽的にぶつかり合ってる感じがして……」と羨望の眼差しを向けた。その流れで山村は、「flumpoolとは学校にも家にも職場にもない“居場所”」という言葉で自身のバンドを紹介。デビュー10周年のタイミングで歌唱時機能性発声障害を患った中でTERUに相談したエピソードを披露しつつ、「歌えなくなることで自分の居場所に気付けた」とその言葉の真意を語る。
ひとしきりバンド談義で盛り上がったあと、山村は大切にしている物を紹介する「思い出ライナーノーツ」や、自身の“推しアニメ”を紹介するコーナーで熱弁をふるう。「思い出ライナーノーツ」では学生時代のエピソードとともに、あるアイテムを紹介。“推しアニメ”コーナーではダークファンタジー「ベルセルク」について、「人生のバイブル」「この作品があったから音楽をやるうえでバンドを選んだ」とHISASHIを前に情熱的に語る。また2人はアニソン制作における極意についてもトーク。HISASHIに「自分とは違う! TERUタイプだね」「アニメの製作陣はうれしいだろうね」と言わしめた、山村のアニソンとの向き合い方とは。HISASHIと山村の赤裸々なバンドトークがたっぷり繰り広げられた「STUDIO HISASHI with Anime」3回目は配信でチェックを。
“TAKUROファーム”に放牧されているTERU、HISASHI、JIRO
──お二人は1対1でお話されるのは今日が初めてだったとのことですが、収録を終えてみていかがですか?
山村隆太(flumpool) 自分にとってのロックスターで、学生時代からテレビで観ていたHISASHIさんとの共演のお話をいただいたのが2カ月前で。収録当日までずっと緊張してたんですけど、話し始めたら「ここで緊張しているのはもったいないな」と思うくらい素敵なお人柄でした。
HISASHI(GLAY) アニメとか音楽とか関係なく、俺が興味あることをひたすら聞くただのフリートークになっちゃった。編集さんの力でちゃんと番組になると思うけど(笑)。話してみて、俺とはまったく違う人生を歩んでいて興味深かったです。でも、ミュージシャンとかものを作る人って絶対つながってるし、話していると共通点が多々あるんですよ。「それ、わかる!」みたいなことが。普段生活していて家族とは音楽の話はしないし、GLAYはメンバー間でもそういうことはあまり話題にしない。だからほかのアーティストと話す中で気付くことがいろいろあるんだよね。そういう場所は絶対に必要。
──HISASHIさんが山村さんと話す中で発見したこと、気付いたこと、というのは?
HISASHI flumpoolは音楽の作り方がGLAYとちょっと違うところがあったりするけど、目標は同じということかな。ゴールや目指すことは同じでも、葛藤や悩みは違うんだなと。それと、GLAYって“TAKUROファーム”という牧場にTERU、JIRO、俺が放牧されている感じなんだと思った。
山村 ははは。
HISASHI みんなそれぞれ自分が好きなことやって、どんどん牧場が拡大していく……俺の中のGLAYのイメージってそんな感じなんですよ。その牧場の中でメンバーがそれぞれ「こんな変なものができたよ~」と出せるフリーダムさがある。
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HISASHIさんは緻密で繊細