日本語曲が中心になった理由
──お待たせしました。では木暮メモ、荒井メモから聞いていきましょうか。
木暮 パッと聴いて音楽的なルーツがわかるのがASPARAGUSらしいなって思って。Descendentsとかの影響を匂わせつつ、サウンドはハードコアやUSインディーじゃなく、1980年代のハードロックっぽいって言うか。
渡邊 それぞれが前にやっていたキャプヘジ(CAPTAIN HEDGE HOG)やSHORT CIRCUITの感じに近いかもしれないね。ああいうエッジーなのが好きなんだよね。
木暮 1曲目の「i want ya」から歌詞が攻めてるなって思いました。長年ASPARAGUSを聴いてきた人は日本語詞に驚くと思うけど、ちゃんと響いてる。
渡邊 仮歌は日本語でも英語でもない“宇宙語”で歌ってるんだけど、そこから歌の響きが逸れてないね。たぶん母音が似てるのよ。あ、下ネタじゃないよ(笑)。
荒井 (笑)。あと、日本語で歌う忍さんに若干懐かしさもあって。キャプヘジの最後のあたりを思い出す。僕も英語詞から日本語詞に変えた経験があるけど。
渡邊 先輩だもんね。日本語詞の曲をリリースする伏線として、ツアー会場限定CDの「小さな一歩」(※日本語詞の楽曲)をYouTubeで聴き放題にしていたっていうのもあるんだよね。
──ちなみに、どうして日本語で歌い始めたんでしょう?
渡邊 さっきの話にもつながるけど、だんだん英訳するのが面倒くさくなってきちゃって。あと、いつも英訳してくれている人が忙しかった(笑)。だからこの際、自分の中で日本語と英語の境目を作るのをやめようって。前まで「英語がカッコいい!」って思ってたけど、どうでもよくなった。あとは“そんなによくない曲でも英語だとカッコよく聴こえる説”じゃないけど、それを踏まえて「日本語にしたら俺の曲がダサくなっちゃうの?」って思うと悔しかった。「日本語で歌ってカッコ悪いって思われるのが怖いのかい?」って、しばらく自問自答して。
荒井 初の日本語詞ってどの曲ですか?
原 「NAP」(※2004年発表のアルバム「KAPPA II」に収録)だよね。
荒井 ずいぶん前からあったんだ。じゃあ、お二人も抵抗はなく?
一瀬 いや、日本語詞をやりたいとは2年くらい前から言ってたんだよ。忘れてるみたいだけど(笑)。訳してくれる人が忙しいっていうのは最近の話でね。
渡邊 そういや言ってたね(笑)。
一瀬 挑戦って言うかさ、日本人だから日本語で歌うのは当たり前だし。でもアスパラを聴き慣れてる人は、「NAP」以外に日本語の曲がないから、何かあったのかなって思うだろうね。もしかしたらさ、新作には何年も前からある曲も入ってるから英語の曲もあるけど、全曲新曲だったなら全部が日本語詞の曲だったかもしれない。
渡邊 日本語だと曲がカッコ悪く聴こえるかもって思っていたんだけど、日本語って直で意味が伝わるところが有利。そういう意味では曲がよくなるための武器にもなるんだなって40歳を過ぎてから思うようになりました。では直央さんどうでしょう?
原 丸投げされた(笑)。俺も若い頃は日本語の曲にけっこう抵抗があったんですよ。洋楽に影響を受けたし、英語で歌ってる日本のバンドにも影響を受けてきたので。一時期いろんなバンドが日本語で歌うようになったんですけど、そこに対するアンチ目線すらあったんです。でも年齢を重ねたからなのか、今は抵抗もなく。今回日本語の曲を作ったのもすごく自然な流れだったし、歌詞を読んでなるほどなって思うこともあった。
渡邊 日本語で歌詞を書いてみて、自分は言葉遊びが好きなんだなって思いましたね。会話の延長で書いてると思います。
荒井 ノブさん、相当な造語を生み出してますよ。
一瀬 現場スラングをね(笑)。
渡邊 そういうのと似たようなものなのかも。
「アスパラ節」を感じた“一番古い新曲”
──2曲目の「SHALL WE DANCE?」はライブではおなじみの楽曲ですね。
木暮 これ、裏表のリズムが反転するじゃないですか。トリッキーだけどああいうのをさらっとやるのはアスパラっぽい。
渡邊 あれ、一瀬のこだわりだよね。
木暮 で、サビがキャッチーで。これを2曲目に持ってきたのは、“叩き台のプロ”が仕事してるなって。
原 うれしいです(笑)。ライブをよく観に来てくれる人にとってもいいかなって。
渡邊 これは“一番古い新曲”だよね。
一瀬 5年くらいやり続けてる。
渡邊 そうね。5年くらい踊り続けてる(笑)。
木暮 次は「MAY BE OR MAY BE NOT」ですね。自分のメモに「好き」ってひと言だけ感想が書いてある。バカだな(笑)。
原 うれしいね(笑)。
木暮 歌詞を読んだのは今回が初めてなんだけど、忍さんっぽいと思ったな。前に進もうと思ってるけど、それをはっきり言うわけじゃないっていう。
渡邊 まさにまさに。
木暮 曲自体もカッコいいっすね。
荒井 俺、なんてメモしたかな……あっ、「アスパラ節」って書いてある(笑)。
一瀬 (笑)。でも、その「アスパラ節」っていうのが的を射てて、今のアスパラのフォーマットはこの曲がきっかけになってできあがったんだよね。80'sポップ感と言うか。だから今回のアルバムの中でもキーになってる感じがしてる。あと、3人でアレンジしたということもあるけど、今回は“よりバンドっぽく、より人間っぽくやる”のがコンセプトなのかなって。
荒井 そして「LOST SHEPHERD」。
木暮 この曲の歌い出しは、ことわざですよね。
渡邊 そう。「かわいい子には旅をさせよ」みたいな意味かな。
木暮 荒井のひと口メモは?
荒井 「ラストフレーズの斬新さ」って書いてある(笑)。ズダンズダンズダンズダン! ってあの感じがいいなって。ライブでもノブさん、この曲でステージからせり出してくるじゃないですか。
原 アコギでこの感じをやるのも、最近のアスパラの得意技で。それを抽出した感じだよね。
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自宅レコーディングのメリットとデメリット
- ASPARAGUS「ASPARAGUS」
- 2017年9月27日発売 / 3P3B Ltd.
-
[CD]
3024円 / 3P3B-81
- 収録曲
-
- i want ya
- SHALL WE DANCE?
- MAY BE OR MAY BE NOT
- LOST SHEPHERD
- BAD CAROL
- 小さな一歩
- SUGAR
- STOP DOO WOP
- BLUE人
- MESSED UP
- THAT'S WHY
- gn8
- the band apart「Memories to Go」
- 2017年7月19日発売 / ASIAN GOTHIC LABEL
-
[CD]
2900円 / asg-037
ASPARAGUS TOUR
- 2017年10月30日(月)宮城県 石巻BLUE RESISTANCE(※ワンマンライブ)
- 出演者ASPARAGUS
- 2017年11月5日(日)富山県 MAIRO
- 出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD
- 2017年11月6日(月)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
- 出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD
- 2017年11月10日(金)宮城県 enn 2nd
- 出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ
- 2017年11月11日(土)岩手県 KESEN ROCK FREAKS
- 出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ / the band apart
- 2017年11月12日(日)岩手県 KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
- 出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ / the band apart
- 2017年11月14日(火)北海道 BESSIE HALL
- 出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ
- 2017年11月18日(土)奈良県 奈良NEVER LAND
- 出演者ASPARAGUS / LOSTAGE
- 2017年11月19日(日)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 出演者ASPARAGUS / 8otto
- 2017年11月26日(日)静岡県 Shizuoka UMBER
- 出演者ASPARAGUS / おとぎ話
- 2017年12月1日(金)東京都 新代田FEVER
- 出演者ASPARAGUS / COMEBACK MY DAUGHTERS
- 2017年12月8日(金)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- 出演者ASPARAGUS / THE STARBEMS
- 2018年1月13日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 出演者ASPARAGUS / CALENDARS
- 2018年1月19日(金)千葉県 千葉LOOK
- 出演者ASPARAGUS / fam
- 2018年1月24日(水)広島県 福山Cable
- 出演者ASPARAGUS / locofrank
- 2018年1月25日(木)愛媛県 Double-u studio
- 出演者ASPARAGUS / locofrank
- 2018年1月27日(土)福岡県 Queblick
- 出演者ASPARAGUS / the PRACTICE / PEAR OF THE WEST
- 2018年1月28日(日)鹿児島県 SR HALL
- 出演者ASPARAGUS / LOSTAGE / No edge
- 2018年2月24日(土)愛知県 APOLLO BASE
- 2018年2月25日(日)大阪府 Live House PANGEA
- 2018年3月3日(土)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- ASPARAGUS(アスパラガス)
- 2002年2月結成のスリーピースバンド。2002年10月、ディズニー楽曲のトリビュートアルバム「DIVE INTO DISNEY」に「いつまでもずっと」(くまのプーさん)のカバーで参加し、好評を博す。同年11月には1stアルバム「Tiger Style」を発表。2004年には2枚のアルバム「KAPPA I」「KAPPA II」を、それぞれ別のレーベルから同時発売し、話題を集める。2006年末のメンバーチェンジを経て、現在は渡邊忍(Vo, G)、一瀬正和(Dr, Vo)、原直央(B, Vo)の3人で活躍中。2012年2月、約4年ぶりのフルアルバム「PARAGRAPH」をリリースした。精力的なライブ活動を重ね、各地の音楽フェスや親交のあるバンドのリリースツアーなどに出演。2017年9月に通算6枚目にして5年7カ月ぶりとなる新作フルアルバム「ASPARAGUS」をリリースする。今作を携えて、10月30日の宮城・BLUE RESISTANCE公演を皮切りに、全国ツアー「ASPARAGUS TOUR」を開催し、2018年3月に東京・渋谷CLUB QUATTROでファイナルを迎える。
- the band apart(バンドアパート)
- 1998年に荒井岳史(Vo, G)、川崎亘一(G)、木暮栄一(Dr)の3人で結成。後に原昌和(B)が加入して以降は、ソウルやボサノヴァなどの洗練されたコード感を交えたロックサウンドへ変化を遂げ、2001年10月のデビューEP「FOOL PROOF」がいきなりの好セールスを記録した。2003年に自主レーベル“asian gothic”を設立。翌2004年に移籍第1弾シングル「RECOGINIZE ep」をリリースし、以降もコンスタントに作品を発表。他に類を見ない独自性の高いサウンドは、多くのバンドに大きな影響を与えている。2011年には東京・日本武道館でASPARAGUSとのツーマンライブ「SMOOTH LIKE BUTTER」を実施。2014年には坂本真綾の楽曲「Be mine!」で作曲を担当した。2015年1月に7枚目のオリジナルアルバム「謎のオープンワールド」を発表。3月より全国ツアーを開催し、計30公演を行った。2016年10月にアコースティック編成の“the band apart (naked)”名義でアルバム「1」を発売し、2017年2月には同名義でシングル「Paper Planes e.p.」をリリース。7月には「謎のオープンワールド」から約2年半ぶりとなるフルアルバム「Memories to Go」を発売した。