ASP 3度目のZeppに向けたインタビュー&秘蔵ショットたっぷりツアーダイアリー

WACK所属の7人組グループ・ASP。彼女たちは2021年のデビュー以来、数々のライブを行い、そのアグレッシブなパフォーマンスで“ならず者”と称されるファンたちの心をつかんできた。しかし、その華々しい一面の裏には、日々の努力と成長の物語がある。本特集では独占インタビューおよびツアーダイアリーを掲載。ツアーダイアリーには、ツアー先ならではの体験をつづったテキストとモグ・ライアン撮影による写真をたっぷり掲載。7月2日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で迎えるツアーファイナルに向けて奮闘し続けている7人のリアルな姿や思いを感じてほしい。

取材・文 / 田中和宏撮影 / かわどう(P1)

声出し解禁ツアーの喜び

──「KiLLING ASP TOUR」の真っ最中ですが、沖縄、大阪、仙台での3公演を終えた現在の手応えはいかがですか?(取材は5月下旬に実施)

ユメカ・ナウカナ? 私はツアーが始まる直前にリリースした1st EP「DELiCiOUS ViCiOUS」の新曲がセットリストに入ることで、これまでと違う雰囲気になると予想してました。ASPは90年代ロックの雰囲気のある曲が多かったんですが、今回のEPはそれとは違ったドープな雰囲気もあるので。でも実際には、新しい楽曲を披露すること自体が新たな発見につながっていますけど、そういったこと以前にもっと身近なことを考えている状態です。目の前のことに1つひとつにフォーカスして、各地を回ってます。ステージに立つこと、お客さんが来てくれること、スタッフさんが動いてくれることといった当たり前のことをしっかりと感じ取り、成長の機会を得るツアーだと思います。まだ3カ所しか終わってない段階では、そういう感じです。

ユメカ・ナウカナ?

ユメカ・ナウカナ?

ユメカ・ナウカナ?

ユメカ・ナウカナ?

ナ前ナ以 そうだね。目の前のことを大切にしています。ASPとしての活動が2年になりますけど、このツアーでは会場のキャパシティが大きくなったり、声出しが可能になったりして、ずっと楽しみにしていた状況が現実になってうれしいです。肩の力が自然と抜けてきている感覚もあって、これまでは力を込めて「オリャ!」と突っ切るようなスタイルでしたが、いい意味での情熱と冷静さをバランスよく持てるようになってきたと思います。ライブ自体は単純に楽しめています。

リオンタウン これまで以上に規模の大きいツアーになったので、始まる前は構えちゃってたんです。でもそんなにビビらなくても大丈夫だというのは、ここまでの3公演で学びました。これまでよりライブでメンバーがまとまってる感じがするので、自分の自信にもつながってます。

リオンタウン

リオンタウン

リオンタウン

リオンタウン

──これまでよりメンバーの結束力が高まっていると感じた理由は?

リオン 例えばEPのリード曲「TOXiC iNVASiON」のパフォーマンスについて何度も7人で話しましたし、EPの収録曲ではこれまで以上に曲のイメージをメンバー同士で共有したんです。そういうこともあって、みんなの気持ちが同じ方向に向かっているように思います。今までも曲について話し合うことはもちろんありましたけど、ツアー前に改めて話す機会が少なかったので、増やしました。

ナ前ナ以 「単純に場数を踏んだから」という部分もあるけど、ASPがASPとしてライブに向けてどんな姿勢で臨むのか、そのすり合わせは特に今回やれてますね。

チッチチチーチーチー 私はツアーでもイベントでも、「そのライブは二度とない」という感覚でいるんです。前のツアーもその前のツアーも公演数が多かったし、女性・学生限定ツアーは1日2回公演でしたけど、1回1回のライブをとても大事にしていて、直前のライブのいい点、反省点をみんなで噛み締めて、次につなげていっている意識はありました。今回はお客さんの声出しも含めて初めてのことが多いツアーですね。初めてのことが多いけど、お客さんの自由な感じが伝わってきて、私たちも自由にライブができている感覚があります。なのでツアー序盤の3公演とも素直に楽しかったなと思える内容でした。

チッチチチーチーチー

チッチチチーチーチー

チッチチチーチーチー

チッチチチーチーチー

熱量が増すライブ、私たちも準備してきた

──先日、宮城・Rensa公演を拝見したんですが、そのときにおそらくこれまでで一番近くでASPを観たんです。ステージの7人の熱量もすごければお客さんの熱量もすごくて、それがぶつかり合ってさらに盛り上がるみたいな一体感を感じました。

マチルダー・ツインズ 本当にそうです。お客さんの声、めっちゃ届きました。

ユメカ お客さんが笑ってくれるので、MCもめちゃめちゃやりやすいです。これまでも拍手とかでいっぱい反応していただいてましたけど、声援を送れるライブハウスの本来の形に戻ったことで、もはやステージとフロアで会話ができているみたいな雰囲気もうれしかったです。

ナ前ナ以 とは言え、急に変わったとは正直思わないです。私たちも準備してきたし、お客さんも応援し続けてきてくれたから、100%声出しができるようになって、距離がより縮まったというか。

ナ前ナ以

ナ前ナ以

ナ前ナ以

ナ前ナ以

──そういった規制緩和の影響だけで盛り上がってるわけではなく、パフォーマンス面での進化も影響しているように思います。例えばモグ・ライアンさんの歌声が本当に強くなったなと。

ナ前ナ以 比べたらわかるよね。今から「WACK合同オーディション2020」のときのモグさんと見比べますか?

ユメカ インポッシブルですか?(※モグ・ライアンはインポッシブル・マイカの仮名で「WACK合同オーディション2020」に参加した)

モグ・ライアン それはやめて!(笑)

──ASP始動当初のモグさんは必死だけど繊細なところも魅力的だったと思うんですが、もう以前にも増して力強い。モグさんにいったい何が起こったのか知りたいです。

モグ もちろん場数を踏んだからというのはあると思うんです。前は感情論でどうにか乗り越えてやろうとしてたんですけど、新しい曲が増えて、歌のスキルを高めてちゃんと表現できたらきっと楽しいと思いまして。いろんな歌声を出せないと、自分のやりたい表現もできないと感じたので、歌を重点的にがんばっているところなんです。やらされてるとか、これをしなきゃというよりは「表現したいことがある」という目的があるからか、ボイトレを含めて素直に取り組めているなって。まだまだですけど、やっとでっかい声が出せるようになったのは、いい変化だと思います。声を出すというのは歌に限らずですけどね。昔は大きい声を出すことが恥ずかしいことだと思ってた自分がいたので。

モグ・ライアン

モグ・ライアン

モグ・ライアン

モグ・ライアン

ツインズのぶっ飛び具合にも変化が

──そしてウォンカー・ツインズ、マチルダー・ツインズの双子の姉妹は、それぞれの個性が光ってきてますね。

リオン このツアーで「HATERED of LOVE」がセットリストに初めて入って、メンバーが歌っている姿を私自身も初めて観たんです。マチルダーがこれまで見せたことないような歌い方をしていて、歌っている姿が後ろから観ていてカッコいいなと思ってました。ウォンカーはダンスと表情がよくて、いい意味でわかりやすいパフォーマンスをしてるんです。お客さんに寄り添う表現を意識してるんだろうなって。

マチルダー うれしいです。

ウォンカー・ツインズ がんばってます。やっぱりお客さんに寄り添ってライブをするというのは意識していることで。メンバーに気付いてもらえたのは恥ずかしい感じもするけどうれしいです(笑)。

ウォンカー・ツインズ

ウォンカー・ツインズ

ウォンカー・ツインズ

ウォンカー・ツインズ

──ウォンカーさんとしては「ダンスを特にがんばりたい」という思いがある?

ウォンカー むしろ私は一番覚えが悪いんですよ。だからこそ、振付動画を観ながら、夜中も練習してます。全然うまくないけど、がんばっています。

マチルダー 私は「HATERED of LOVE」の担当パートで、レコーディングのときに「昭和のヤンキーっぽく」というディレクションを受けまして。「今日から俺は!」とかが好きなので、そのあたりのヤンキーを想像しながら歌っております。私は歌もダンスも得意とは言えないんですが、どちらに偏ることなく、両方をがんばりたいです。まずは基本を固めて、土台作りをしっかりしたいです。

マチルダー・ツインズ

マチルダー・ツインズ

マチルダー・ツインズ

マチルダー・ツインズ

チーチー 双子のパフォーマンスはカッコいいので注目してほしいところですよ。ウォンちゃんは振り切るパワーがすごくて、チルちゃんは一緒にステージにいても鳥肌が立つような歌声だなと思うときがあります。表情にしても目を引くというか。

──パフォーマンス面での成長もあれば、トークのバランスもよい感じで。仙台ではご当地トークとして骨付きテールスープの骨を丸呑みしちゃったというマチルダーさんのトークも面白かったし、ウォンカーさんの下ネタラインの“ズル剥け”トークを見事に煽りにまで持っていって。

ウォンカー ズル剥けMCとかも流れを意識するようになって。前回のツアーではありきたりなことを言ってたので、もっと自分が出せる、自分の言葉で展開できるMCを心がけてます。

ナ前ナ以 ASPを始めたときからMCを大切にしてほしいというのは、渡辺(淳之介 / WACK代表)さんに言われていたことではあって。私たちは楽曲も衣装も舞台も、用意していただいているからこうやって活動ができているんです。でもMCは自分たちで考えて、自分たちのカラーを出せるところだから。比べるものではないけど、どんなアーティストにも負けないという気持ちで、MCの内容も大切にしています。

ツアーファイナルは3度目のZepp

──仙台公演で思ったことなんですが、“WACKの1グループであるASP”という感じではなくて、“ASPというグループそのもの”の存在感がとにかく強かったんです。説明の難しいところではあるんですが、“ASPの7人がASPと向き合っている”ように見えました。

ユメカ 私たち自身、おっしゃる通りでこれまで以上にグループに向き合えていると思います。すべてが当たり前じゃない。メジャーデビューをして1年が経ちスタッフさんの仕事への理解を深めていくことと同時に、メンバーとステージで一緒に歌って踊っている中で強い気持ちになれたんです。“ASPがASPと向き合っている”という言葉は本当にそれを表していると思います。

モグ これまでは「できないんなら、ちゃんとやろうね」で終わらせてしまってたんですが、今回のツアーではメンバー全員でどうやって変えるかまで話し合うことができている。行動に移せなかったところをメンバー同士で補い合って、行動に移しやすい空気を作りたいと思ってるんです。1人ひとりの行動をみんなで理解し合って、ASPをよりよいものに変えていきたい気持ちでいます。

ASP

ASP

ASP

ASP

ウォンカー ツアーは1公演1公演が体力勝負でもありますが、その地を踏みしめて、そこでしか会えないお客さんたちに会えていることが本当にうれしい。ツアーファイナルのZepp DiverCityでもたくさんの方々に会いたいです。今回のツアーはみんなが言った通り、変化が大きいです。最新EPの新たな曲がセットリストに加わったことや、メンバー同士で意見を出し合って、新しいASPを見せるために表現の幅を広げているところにもあります。これまでのツアーと違って、お客さんが自由に声出しできるようになり、マスクも外せるようになったことで、私たちはマイクを向けたら声援を送ってくれることの素晴らしさを知りました。ツアーの全7カ所すべてを楽しみながら、いい方向に変化していきたいです。私たちにとって重みのあるツアーですし、ファイナルはこれまでやってきたライブの集大成として3度目のZepp公演になりますので、本気のASPを見せたいと思っています。

KiLLiNG ASP TOUR FiNAL

2023年7月2日(日)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)