asmi「earth meal」インタビュー|TikTokで「ヨワネハキ」が総再生数26億回超え、Z世代の共感を呼ぶシンガーソングライター・asmiの素顔に迫る (2/2)

宇宙船に乗り遅れた男女の歌

──ここからは最新配信曲「earth meal」について、いろいろ聞かせてください。Rin音さんとのコラボで制作されたこの曲を、2022年にasmiバージョンとして音源化した理由は?

Rin音くんがいなくても、普段から私がライブで弾き語りをしたり、バンドで歌ったりしていたんですが、ファンの人から「asmiバージョンを出してほしい」という声が多かったんです。「earth meal feat. asmi」を出したときはコロナ禍が始まった頃で、歌詞の内容的にけっこうタイムリーな要素もあったと思うんですけど、asmiバージョンを出してみようよというのはそんなに重い気持ちじゃなくて。

──Rin音さんと楽曲制作していたのはコロナ禍前?

3、4月だったので、ちょうど入ったくらいですね。

──当時、歌詞を書く際にRin音さんとはどんなお話をしましたか?

「地球から宇宙への移住計画が出たんだけど、そこで宇宙船に乗り遅れた男女の歌にしよう」とRin音くんに言われて、それで私がサビから書き始めてRin音くんに歌詞を送って、みたいな流れで書いていきました。でも、コロナ禍のことも考えて書こうという話はしていなくて。私はうっすら考えていただけですね。

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──自分が書いた歌詞にRin音さんが続けて書いていく中で、これは自分からは出てこない表現だなとか、そういう驚きや刺激も多かったんじゃないでしょうか?

私的にはテーマの時点で「そんなことが思いつくんや!」と大衝撃やったんですけど……でも、全部やなあ。特に「『over sleep boy 如何かな』」のブロックは、状況説明がこういう感じでされるんやとすごく衝撃的でしたね。すごく大変なことになっているのに、この曲に乗ってしまえばそれすらも「隕石だって良い天気だって笑ってながせる」し。

──この歌詞、状況的にはかなりヤバいんですよね。

そう、かなり(笑)。本当は絶望的なんですけど、そこを2人だったら「笑ってながせる」っていうのが、バカだけど最高に素敵な2人というか。だからこそ、この素敵な曲をもう一度なんらかの形で広く知ってもらいたかったし、もっと知られる曲やと思うからasmiバージョンとしてもう1回出せるというのはすごくありがたいです。

──アレンジも含め原曲のイメージを保ちつつも、asmiさんがフルで歌うことでしっかりasmi色にも染まっている。また、女性1人で歌うことで言葉の届き方、響き方も変わってくるんですよね。

同じことを歌っているけど、意味の捉え方も違ってくる人もいるかもしれないし、それこそ「あの男の子はどこへ行ってしまったんだろう?」というのもあると思うし。そういう意味でも、いろんな可能性が広がっていいなと思います。

悲しいことがあったとしたら、それも音楽を通してドラマにしてしまえばいい

──ライブでも披露してきて、ある程度歌い慣れていた楽曲ではありますが、改めてレコーディングし直したことで「このフレーズってこう響くんだ」とか、以前は感じなかった発見はありましたか?

これは前から思っていたんですけど、さらに深く感じたのは「2人きり夜が明けてく 最後の朝はきっとこんな感じだ」というフレーズ。そこから「世界が終わってしまっても 私からずっと離れないでいて」と歌うことで、覚悟も絶望も愛も伝わってきて。私もこれを書いたときは19歳やったけど、21歳になった今もう1回歌うことで、自分が書いたんやけどすごい歌詞だなと思いました。この子の気持ちはたぶん誰にも計り知れないやろうなと思うんですけど、感動しますね。

──響き方でいうと、Rin音さんと2人で歌うときのこのフレーズって、まだちょっとだけ希望が残っているんだけど、これをasmiさん1人で歌うとちょっと悲しいというか。また違った場面が浮かび上がってくるんですよ。

確かにその通りですね。悲しさが増しちゃうかもしれない。そういう意味でも2020年の「earth meal」はそのままに、ここでまた違った形の「earth meal」が表現できたのかなと思います。

──にしても、「PAKU」からの振り幅はすごいですね(笑)。

ほんまや! 大変(笑)。

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──たった数カ月でここまで代わる代わるいろんな側面を見せてきたasmiさんですが、ここから先どういう音楽を届けていきたいですか?

聴いてくれる人の心にダイレクトに響くというか……でも、響かなくてもちょっと日常に流れてくれるだけでもいいとも思っていて。asmiの音楽を聴いてくれる人の日常にちょっとでも色を付けられたらいいなと思いますし、どうせ付けるならかわいい色がいいな。例えば、悲しいことがあって、もし心が深い青やったとしたら、それをちょっと水色に変えるような癒しになれたらなと。

──かつ、「PAKU」みたいに中毒性の高い曲で心を豊かにしたりと、いろんな手法がありますものね。

そうですね。1つにこだわらず、いろんな方向から彩っていきたいなと思います。あと、これは夢としてよく言っていることなんですけど、私はテレビドラマが好きなので、ドラマ主題歌をやりたくて。もちろん、イヤフォンで聴いてくれている1人ひとりが主人公の“ドラマの主題歌”を作りたいという気持ちもあります。悲しいことがあったとしたら、それも音楽を通してドラマにしてしまえばいいし、そういう点でも聴いてくれる人たちを救っていけたらいいなと思います。

──先ほど話題に挙げた「Gerbera」もそうですけど、asmiさんの書く歌詞って絵がイメージしやすい言葉選びをしていると思うんです。それも、聴いている人それぞれ違う絵かもしれないし、それがまさに1人ひとりのドラマなのかなと。

それが一番の理想ですね。でも、「PAKU」みたいなタイプの曲はドラマというよりもCMにも合うかもしれないし、そうやって身近な日常を彩ることも大切にしたくて。なので、「Gerbera」みたいな手法も「PAKU」みたいな手法も、私は手放したくないですし、そのときに面白いと思ったことをどんどんやっていきたいです。

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ツアー情報

asmi special live tour「Do you know me?」

  • 2022年12月10日(土)東京都 LIQUIDROOM
  • 2022年12月17日(土)福岡県 INSA
  • 2022年12月23日(金)大阪府 なんばHatch

プロフィール

asmi(アスミ)

大阪出身のシンガーソングライター。年頃の女の子が抱く恋愛の悩みや日常の思いを切り取った楽曲を歌い、若者を中心に支持を得ている。2020年3月に関西のアーティスト発掘プロジェクト「十代白書2020」でグランプリを獲得。9月に1stアルバム「bond」をリリースした。同年12月に発表した楽曲「memory」がTikTokで流行。さらに2021年5月にアーティストコラボプロジェクト・MAISONdesで発表した楽曲「ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi」がTikTokで総再生回数26億回超えのブームを巻き起こしている。2022年3月に「PAKU」、7月に「earth meal」と配信シングルをリリース。12月にライブツアー「asmi special live tour『Do you know me?』」を開催する。