浅井健一が9月25日にニューアルバム「BLOOD SHIFT」をリリースした。
2014年7月発表の「Nancy」以来、ソロ名義による約5年ぶりのオリジナルアルバムとしてリリースされた「BLOOD SHIFT」。本作には元BLANKEY JET CITYの盟友・照井利幸や浅井が2000年にUAと結成したバンド・AJICOで共に活動した椎野恭一、SHERBETSの仲田憲市、浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLSのメンバーでもあるNUMBER GIRLの中尾憲太郎といった浅井が信頼するプレイヤーを迎えて制作された全11曲が収められている。音楽ナタリーでは浅井にインタビューを行い、アルバムの制作過程や楽曲の歌詞に込めた真意について語ってもらった。
取材・文 / 今井智子 撮影 / 永峰拓也
メジャーコード感が今までにない雰囲気に
──浅井健一名義でのアルバムは5年ぶりですね。最近は浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLSでの活動が多かったので、今回もそちらの作品になるのかと思ったらソロ名義で。しかも、ベースで照井利幸さんも参加していて驚きました。
うん、本当はもっとKILLS色が薄いソロになるはずだったんだけどね。照ちゃんとはアルバムの前に「ぐっさり」という曲をレコーディングして。
──2月に配信曲としてリリースされた曲ですね(参照:浅井健一ソロ名義の新曲2曲同時配信、照井利幸ら参加)。
うん。いろいろ状況の変化が激しくて、その後KILLSで春ぐらいにレコーディングしたらいつもと違った感じの曲が生まれてきたんで、それをアルバムに入れない手はないと思って。それで当初の予定に比べてどんどんKILLS色が強くなってきたんだ。
──最初はどんな作品にしようと思っていたんでしょう?
もうちょっとダークなトーンになるかなと思ってたんだけど、長きにわたって作品を作っていたことが大きいのかも。いつもは1カ月ぐらいでバーっとアルバムを作るんだけどね。早いときは1週間とか。今回は半年以上かけたから、その間にいろいろなことが起きて。
──じゃあ、半年以上前からこのソロ作の構想はあったんですね。
ソロを作ろうと思ったのは、去年の秋だね。
──SHERBETSの結成20周年イヤーがひと段落した頃ですね。
SHERBETSの20周年ツアーをやってる頃から曲を作ってたよ。
──どの曲からできていったんですか?
最初は、照ちゃんとレコーディングした「ぐっさり」も含めて4曲ができた。このアルバムに入ってるのは「DEAD FISH」「目を閉じる映画」「だからってさ」だね。次に、仲田(憲市。SHERBETSのベーシスト)くんたちとの「METALLIC MERCEDES」。ほかに仲田くんのセッションでできた曲が2曲あるんだけど、それは完成しきれなくて今回は入らなかった。
──「METALLIC MERCEDES」は5月29日に先行シングルとしてリリースされましたね。これがアルバムの核になる曲なのかなと思いましたが。
ま、アルバムの核になってるとは思うんだけど、それだけではインパクトが弱いかなと思って、KILLSでもレコーディングするか迷っとって。そしたらテレビアニメの話があって、KILLSでレコーディングに入ったんだよね(参照:浅井健一、アニメ「ノー・ガンズ・ライフ」オープニング曲を書き下ろし)。そのときに録ったのが「Old Love Bullet Gun」「目覚める時」「暗いブルーは暗いブルーさ」「Colorful Elephant」。それが周りのスタッフの評判もよくて、自分自身もメジャーコード感が今までの自分の作品にない雰囲気を醸し出してるなと思って、「これはソロにいいな」という気持ちになった。それで全体的にトーンが明るくなったというか、激しい感じに仕上がっていった。
やっぱり照ちゃんのベースはすげえ
──照井さんとのセッションがスタートなんですね。浅井さんから照井さんに声をかけたそうですけど。
そうだね。ひさしぶりに照ちゃんとやりたいと思った。
──照井さんは自身のソロユニットのSignalsを再始動させていますけど、それと同じ頃でしょうか?
ちょうどSignalsの活動もやっていたときだから、その合間にけっこうタイトなスケジュールでレコーディングしてたと思う。重なっちゃったから、タイミング悪かったかなと思った。
──ひさしぶりに照井さんと一緒にやってみてどうでした?
やっぱり照ちゃんのベースはすげえなと思った。なんか、いきなり世界観がちょっと特別なところにいくんだよね。なんだろう。不思議というか、才能なんだと思うけどね。
──かつてBLANKEY JET CITYで一緒に活動していたお二人だから、互いに求めるものが阿吽の呼吸でわかったり?
それはあるよ。照ちゃんとやると、まとまるかなあ。完成させられる。試行錯誤はするんだけど、なんか面白い感じになるね。特別なものになる。
──くどいですけど、照井さんと一緒にやりたいと思う曲ができたから一緒にレコーディングをしたんですか? それとも白紙の状態から「一緒にやりたい」と思ったんですか?
単に「照ちゃんとやってみたいな」と思ったのが大きいかな。でも、曲のアイデアはあったよ。
──その曲に「照井さんとならこんなふうに」というイメージもあって?
そうだねー。なんか、カッコよくなるんだよね。ベースラインってすごく大事だから。あのセンスは独特。どこにもない。
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ドラムを自転車で運んだ高校時代
- 浅井健一「BLOOD SHIFT」
- 2019年9月25日発売 / アリオラジャパン
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初回限定盤 [CD+DVD]
4536円 / BVCL-996~7
- CD収録曲
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- Old Love Bullet Gun
- METALLIC MERCEDES
- 暗いブルーは暗いブルーさ
- Sunny Precious
- Colorful Elephant
- 目を閉じる映画
- 目覚める時
- Very War
- DEAD FISH
- HARUKAZE
- だからってさ
- 初回限定盤DVD収録内容
-
「SEEDS」
- METALLIC MERCEDES
- Old Love Bullet Gun
- INDY ANN
- FRIED TOMATO
- Ginger Shaker
- Sunny Precious
and more
- 浅井健一(アサイケンイチ)
- 1964年生まれ。愛知県出身。1991年にBLANKEY JET CITYのボーカル&ギターとして、シングル「不良少年のうた」とアルバム「Red Guitar and the Truth」でメジャーデビューを飾る。数々の名作を残し、2000年7月に惜しまれつつ解散。その後、SHERBETSやJUDEなどさまざまな形でバンド活動を続け、2006年7月にソロ名義では初となるシングル「危険すぎる」、同年9月に初ソロアルバム「Johnny Hell」を発表した。繊細なタッチで描かれるイラストも高く評価されており、絵本や画集などを発表している。2016年5月に新たなソロプロジェクト・浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLSを始動。メンバーは浅井、中尾憲太郎(B)、小林瞳(Dr)で、同年10月にシングル「Messenger Boy」、2017年1月にアルバム「METEO」を発表した。2019年9月には約5年ぶりのソロアルバム「BLOOD SHIFT」をリリースした。
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