音楽ナタリー PowerPush - アルカラ×アルカライダー
あわや接触!? いがみ合う両者が持論を展開
アルカラが9月24日に7枚目のアルバム「CAO」をリリース。そこでナタリーでは、現在レコ発ツアー真っ最中のアルカラにインタビューを実施した。結成12周年を迎え、より円熟味を増した遊び心が炸裂している最新作の話を改めて聞いていく。
そして、アルカラをこらしめるために地球から6(ロック)万光年離れた“アルカランドロス星雲”からやってきたというアルカライダーが11月5日にシングル「怪盗ミラクル少年ボーイ」でまさかのメジャーデビューをすることを受け、それにまつわる話も。日本語を自在に操るイナムライダーを中心に、アルカライダーへの貴重なインタビューもお届けする。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 上山陽介
大人っぽいロックテイストのアルバム
──現在のアルカラは、9月24日にリリースされた7thアルバム「CAO」のレコ発ツアー真っ最中ですね。
下上貴弘(B) あのアルバムのよさをどれだけライブで引き出すことができるかっていうのを日々考えながら、ツアーを回っている感じですね。同時に、ライブでは音源と違ったよさを見せられるところもあると思いますし。
稲村太佑(G, Vo) 見せ方はライブを重ねていくことでどんどん変わっていくと思います。CDは僕らとリスナー、1対1で聴いてもらうことになるけど、ライブは1対複数になるので、歌い方やパフォーマンスに関してはCD通りに全部ができるわけじゃないですからね。いかにライブ感を大事にしていくか、みたいなところで試行錯誤している最中です。
──今回のアルバムは、昨年リリースされた「むにむにの樹」とは対極とも言える内容ですよね。ライブ映えする曲がすごく多いという印象もあります。
稲村 前作は“おとぎ話”をテーマにして作ったので、トリッキーでやんちゃな遊び心が全面に出る内容だったんです。で、じゃあ今回どうしようかってなったときに、できる限り前回とは違ったアルカラを見せたいと思っていて。そういう中で“大人っぽさ”とか“ロック”っていう漠然としたキーワードが浮かんだんで、結果的に前回と対比のある音源になったと思うんですよね。もちろんすべてを狙ったわけではないし、暗中模索しながらの作業でしたけど、男っぽいロックテイストのある仕上がりになったのではないかと。
疋田武史(Dr) 前作の“おとぎ話”にしても、今までの作品のテーマはけっこういろいろ考えてひねり出した部分が多かったんですよ。でも今回は、もちろんいろいろ考えはしたけど、ある意味、今の自分たちが感じたままの音をそのまま盤に落とし込めていけた感じがするんです。結成から12年経って、改めて自分の初期衝動を思い浮かべながら表現してみた結果、こういう“背伸びしない大人っぽさ”みたいな部分が出てきたんじゃないかなって僕は思ってますね。
──今のアルカラの等身大ということですよね。田原さんはいかがですか?
田原和憲(G) そうですねえ。12年やってきて、やっとちゃんとギター弾けるようになったなと思える作品ができたかなって(笑)。
稲村 あははは(笑)。
田原 今まではフレーズ1つ決めるのにもけっこう苦労してたんですけど、今回は「これ弾きたいこれ弾きたい」っていうものが自分の中にスッと出てきたんですよ、どの曲においても。そういう意味では迷いなくできたアルバムにはなってると思います。
シリアスだけじゃなくユーモアやシニカルさも
──本作は比較的シリアスな側面が滲んだアルバムだと思いますが、それだけかと言うとまったくそんなことはなく。アルカラらしいユーモア、シニカルさも健在ですし、楽曲によってはやんちゃなギミックが織り交ぜられてもいる。そのスタンスがやっぱりすごく面白かったんですよね。
田原 うん。僕もテーマ的にシンプルでストレートな方向性で行くもんだと思ってましたけど、最初にできた「アブノーマルが足りない」を聴いた瞬間、「細かっ!」って(笑)。全然シンプルでストレートな音じゃないなって思いました。
稲村 自分たちの目指す音楽って、そういうところにこそあるなと思うんですよ。ちょっとひねくれたロックだなっていう印象もあるとは思うんですけど、そこが聴き手のアンテナに引っかかって、歌詞の世界や音楽的なアプローチとかをじっくり探ってもらえれば、きっとアルカラってすごく面白いバンドだなと思ってもらえるんじゃないかなって。
──しかも、独自のひねくれ感を持ちながらも、それを小難しくは聴かせないですよね。
稲村 そうですね。“ややこしいことやってまっせ”という空気をいかに出さないかっていうところですよね。優雅に泳いでるようにみえるアヒルが、水の中では足をめっちゃバタバタさせてる感じというか。アルカラのそういう部分を感じて愛おしい気持ちになってもらえたらうれしいです(笑)。
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- ニューアルバム「CAO」2014年9月24日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
- 初回限定盤 [CD+DVD]3456円 / VIZL-712
- 通常盤 [CD] 2916円 / VICL-64213
CD収録曲
- カラ騒ぎの彼女
- アブノーマルが足りない
- 嘘つきライアー
- む・つ・ご・と
- 愚痴ばっかりのローレロレロ
- ガイコツマン
- どうでもいいウタ
- ドナドナドーナツ
初回限定盤DVD収録内容
ネコフェス2014 -KUDAKENEKO ROCK FESTIVAL 2014-
- ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト
- 踊れやフリーダ
- チクショー
- ウツリギ
- アブノーマルが足りない
- キャッチ―を科学する
- くだけねこのうた
- 交差点
- What’s ネコフェス
- ネコフェス 裏のCAO
収録曲
- 怪盗ミラクル少年ボーイ
- ゆけ!アルカライダー ~アルカライダーのテーマ~
- 怪盗ミラクル少年ボーイ -シェンフーシュバイツREMIX-
- 怪盗ミラクル少年ボーイ -INSTRUMENT-
アルカラ
稲村太佑(G, Vo)、下上貴弘(B)、田原和憲(G)、疋田武史(Dr)の4人からなるロックバンド。2002年7月に結成され、2003年2月に現メンバーとなる。2008年に1stアルバム「そうきたか」を発表。2011年7月にアルバム「こっちを見ている」でメジャーデビューを果たす。2013年には地元・神戸を舞台にしたサーキットイベント「ネコフェス」を主催し、大成功を収める。また9月にリリースしたアルバム「むにむにの樹」を携えて行った全国ツアーでは全25公演で10000人を動員した。2014年9月24日にニューアルバム「CAO」をリリースし、10月よりレコ発ツアーを開催中。