シンガーとしての6人の個性
──ミニアルバムを聴いて改めて感じたのですが、6人とも歌い手として個性が豊かですね。
イオリ アルツバは声の違いがはっきりしているんですよ。例えばハヅキちゃんはすごく特徴的なアニメ声で、かわいい曲にバッチリ合うし、ライブでも音源でも「この声の子、誰?」って一発でインパクトを残せると思うんです。そんなかわいい声のハヅキちゃんがカッコいい曲を歌うと、それはそれでグッとくる。がんばっている姿勢に感情を揺さぶられるというか……。
シオリ 聴いたら忘れられない声というのは、アイドルとして最大の武器ですよね。うらやましい!
ハヅキ でも、私から言わせるとツカサちゃんの歌声のほうがかわいいと思う。ツカサちゃんの声と私の声は似ているってファンの方から言われることがあるんですけど、正直言ってかわいさの面では完敗だと思っています(笑)。
キアラ 確かにツカサちゃんとハヅキちゃんは同じ系統の声質ではあるんですけど、ツカサちゃんは大人の女性っぽさがある歌い方をするんです。語尾の部分をハロプロさんっぽく伸ばしたりするのも特徴ですし。個人的にはそこが最大のツボ!
ツカサ 歌い方に関しては、普段聴いている曲にインスパイアされることが多いかな。西野カナさんの失恋ソングをよく聴いているけど、歌い方で一番影響を受けているのって実はマツジュン(松本潤)さんかもしれない(笑)。あの鼻にかかったような歌い方が大好きなんですよね。
──エース格であるアテナ・シオリさんの歌はどうですか?
ハヅキ シオリちゃんの武器はラップ! 残念ながら今回のEPでは披露する機会がなかったんですけど、ライブでは見せ場の1つになっています。
イオリ もともとバレエを本格的にやっていたから、シオリちゃんはラップに限らずリズム感がすごいんです。歌に安定感があるというか。
カナコ 最初からシオリちゃんは歌が上手だったけど、このEPで表現力が増した気がします。特に「♣︎♦︎メタモ❤︎♠︎」はすごく気持ちのいい声の伸び方をしているから、ぜひ聴いてみてください!
──ケンタウロス・カナコさんについてはどうでしょう? シオリさんと同様に結成当時から在籍している初期メンバーです。
イオリ 「カナコは歌が一番成長したメンバーだ」って、スタッフさん全員が口をそろえて言いますね。私が加入した1年半くらい前の時点と比較しても、はっきり言って段違いです。今回のEPでは、「A Beautiful World」ですごく優しい声を聴かせたかと思えば、「SURVIVaL DaNCE」で刺のあるような声を聴かせてくれますし。
カナコ 私の場合、最初がひどすぎたんですよね。いまだにスタッフさんから冷やかされるんですけど、グループに入るときに「なんか歌ってみて」と言われたから、とりあえず「ドラえもん」の主題歌を棒立ちで歌ったんです。そうしたら、失笑が起こりまして……。
シオリ あったね、そんなことも(笑)。
カナコ まず1stシングルの「最終ゼンヤ」で、高いところの音程が出ませんでした。周りのメンバー全員が自分よりうまいので、「こういうふうに感情を込めるのか」とか参考にしまくりました。その結果、徐々にですけど自分なりの歌い方が身に付いたんだと思います。
──アイドル歴の長いカシオペア・キアラさんは?
ツカサ キアラちゃんは、今回のEPで重要な歌割を多く担当しているんですよ。例えば「A Beautiful World」のAメロとか。
イオリ 安定感があると言うのかな。キアラちゃんのパートになると、歌が落ち着く印象があるんです。私がガーッと派手に歌い散らかしても、そのあとでキアラちゃんの歌がきれいに清掃してくれるイメージ(笑)。
ハヅキ 自分がどういうふうに歌ったらグループとしてまとまるのか理解しているのかもしれません。ボーカル面で絶対なくてはならない存在ですね。
──歌姫として名高いアクエリアス・イオリさんの歌の魅力についても解説をお願いします。
シオリ これはもう口で説明するのも野暮! とりあえずYouTubeでライブ映像を観てくださいとしか言いようがないです。ホントに圧倒的です。
キアラ とはいえ、一応、記事になるように言語化しますね(笑)。イオリちゃんのすごさは、ライブの歌が音源を平気で超えていくところなんですよ。ライブごとに歌の表現方法も違っているし、同じグループのメンバーとしてハッとさせられることがしょっちゅうあります。
カナコ 入ったばかりの頃は「カッコいい歌」「迫力あるボーカル」というイメージが強かったけど、最近はかわいらしい表現もどんどんやるようになってきましたね。私はそこが好き(笑)。
シオリ アルツバはイオリちゃんが入る前と後で完全に別グループです。歌唱面はもちろんのこと、グループの雰囲気もグッと前向きになりましたし。私は結成当時からいるけど、イオリちゃんは後輩というより、むしろみんなを引っ張ってくれる存在。頼りにしています(笑)。
カナコ それを言うなら、イオリちゃんと同時に入ったツカサちゃんとキアラちゃんも同じようにグループを変えてくれました。去年の3月に3人が加入したことで、活動に手応えを感じるようになったのは間違いないです。
現体制のアルツバが勢いに乗っている要因
──アルツバは初期から海外のリスナーを獲得していますが、コロナ禍で断念していた海外公演を今年に入ってとうとう実現させたそうですね。
ハヅキ 2月は「Japan Expo」でタイに、7月も同じく「Japan Expo」でフランスに行きました。
キアラ 最高ですね、海外でのライブは! めちゃくちゃ楽しかったし、グループにとって大きな経験になった気がします。
シオリ お客さんのリアクションがすごく大きくて、自信につながりました。私たちはコロナ禍中に活動をスタートさせたグループだから、コール&レスポンスのやり方とかに迷いがあったんですよ。例えば初期から披露している「PROUD of」という曲では、イオリちゃんがなんとか盛り上げようと煽るんだけど、なかなか客席から反応が返ってこなくて……。
イオリ ところがタイでステージに立ったら、それまで経験したことのないような大きいコールが自然発生したんですよ!
ハヅキ バックステージで思わず大号泣しました。それまでイオリちゃんが必死で煽っても、コロナ禍が明けきっていない雰囲気の日本ではお客さんが躊躇するムードがあったんです。それに加えて、もともとのシャイな国民性も関係あるでしょうし。それでも煽り続けてきたイオリちゃんの姿をずっと見ていたから、タイでその努力が報われたことに感極まってしまいまして。
イオリ 「うう……がんばってきたよね」って号泣しながら駆け寄ってきました。しかもハヅキちゃんの涙がほかのメンバーも伝染し、最後は6人全員で謎のボロ泣き大会になるという(笑)。
カナコ フランスのお客さんのリアクションにも驚きました。タイよりもさらに騒ぎ方が派手というか、ステージに立っているこっちが圧倒されちゃうくらいで。
ツカサ ステージに出た瞬間に「ギャーッ!」という地鳴りのような歓声が上がるんです。自分がスーパースターになったみたいで気持ちよかった(笑)。なんでも、翌日にはYOSHIKIさんも同じステージに上がったそうで。
シオリ あと、日本だとレスを送ってお客さんと目が合っても「ん? 俺じゃないよな」って感じで目を逸らされることも多いんですけど、フランスではにっこりと全力で笑い返してくるから、レスの送り甲斐があります(笑)。ライブしていて気持ちいい! そのあたり、日本のアイドルファンは海外の方を真似してほしい(笑)。
──海外と言えば、「星ノ唄」のミュージックビデオはギリシャで撮影されたと伺っています。
シオリ そうなんです! フランスに行ったとき、ギリシャにも立ち寄って撮影しました。夢が叶って感無量です。
ハヅキ アルゴス城跡やパルテノン神殿でドローンを使って撮影しました。右を見ても左を見ても絵葉書のような光景で、重厚な歴史を感じましたね。
キアラ 去年、「PROUD of」のMVではグリーンバックの前で踊り、あとからCGでギリシャ神話の世界を合成したんですね。それはそれで貴重な体験だったけど、今回の「星ノ唄」はスケール感が段違いになっているはずです。
──最後に、現在のアルツバの勢いをメンバー自身どう分析しているか聞かせてください。
イオリ 今年の3月にワンマンライブをやったんですけど、振り返ってみるとその経験が大きかった気がします。セットリストや演出を、「こういうふうにしたいです」とメンバー発信で決めていったんですよ。その流れのまま4月に定期公演が始まったので、自分たちとしても充実感がありました。
カナコ 最近はキアラちゃんを中心にして、衣装も自分たちでデザインするようになったんです。
キアラ グループのコンセプトであるギリシャ神話に合わせて、衣装も厳かな雰囲気にしないとマズいかなと最初は考えていたんですけど、アイドルらしさも出していきたいし、メンバーそれぞれの個性もアピールしていきたいと思っています。
シオリ とにかく、チームとしての絆が強くなったとすごく感じますね。アルツバは初期からメンバーの出入りが激しいグループで、正直、そのせいでマイナスとなったことも多いと思うんですよ。でも、ここに来てようやくメンバーが落ち着きつつあるし、一致団結して同じ目標を目指している感覚があります。本当の勝負はここからだと思っているので、行けるところまで一気に突っ走りたいです!
プロフィール
アルテミスの翼(アルテミスノツバサ)
レコード会社・rock fieldがプロデュースするアイドルグループ。「100年に一度の混沌とした世界に“愛と勇気と友達”を与えるためにギリシャ神話の世界から人間界に降り立った六柱」というコンセプトで活動している。2020年11月に東京・TSUTAYA O-WESTでデビューライブ「ともだちいっぱい」を行い、2021年1月に1stシングル「最終ゼンヤ / MONSTERビーツ」を発表。2022年8月に初のアルバム「Wings of Artemis」をリリースした。2023年2月にはタイ、7月にはフランスで行われた「Japan Expo」に出演。9月に初のミニアルバム「Road to Greece」を発表した。現在はアテナ・シオリ、カナコ・ケンタウロス、オリオン・ハヅキ、アクエリアス・イオリ、ペルセウス・ツカサ、カシオペア・キアラの6人で活動している。
アルテミスの翼 Wings of Artemis Official Website