オケ録りの段階からレコーディングに
──有安さんが作曲した以外の曲だと、「Drive Drive」は[Alexandros]の川上洋平さん、「愛されたくて」と「遠吠え」は風味堂の渡和久さん、「TRAVEL FANTASISTA」はOfficial髭男dismの藤原聡さん提供と、とても豪華なアーティストが制作に参加しています。こういった方々に作曲を依頼しよう、というアイデアは有安さん発信なんですか?
はい! 「書いてくれるかなー」と思いながらダメもとでプロデューサーにオファーをお願いして。どの方も普段聴いてるアーティストさんなんですけど、「裸」を書いてくださった小谷(美紗子)さんだけは母が持っているCDを聴いて知りました。
──オファーするときは、「こういう曲にしたい」という思いを有安さんからアーティストの方に伝えるんですか?
ほとんどの方とは曲を書いてもらうことが決まった時点で直接お会いして、どういう曲にするかを打ち合わせをさせてもらってます。私がソロで歌ってる音源を渡したり、「好きな言葉は何?」とか「普段どんな音楽を聴いてるの?」とか聞かれたり。あと、イメージを伝えるために曲のテーマや、その方の楽曲の中で「こういう曲が好きで、間奏はこの曲みたいにしてほしいです」という考えを共有しながら打ち合わせします。
──なるほど。初回限定盤A付属のBlu-rayに収められるアルバムの制作ドキュメンタリーを観て、レコーディングでスタッフに遠慮なく意見を伝えていたのが印象的でした。
オケ録りにはほぼ全部行って、ミックスも行けるときはスタジオに行かせてもらったんです。とは言えこういう現場に携わらせてもらうようになってまだ1年ちょっとなので、アレンジャーさんやエンジニアさんが言ってることが全然わからないこともあるんですけど。音を聴いたときに「ここはもうちょっとこうしたいな」と思うことがあったら素直に伝えたりします。
──ももクロのレコーディングとは全然違います?
はい。グループのときは完成された状態の音源があって、歌を録るだけなので。ハモを録るときもデモを聴いて覚えてからレコーディングしますし、ミックスもお任せしちゃいます。たまに仮音源に歌を入れることもあって、振り付けレッスンのときに完成した曲を聴いて「えっ、すごい変わってるんだけど(笑)」ってなることもあります(笑)。
──オケの段階から関わるという点で大きく異なるんですね。
ソロだと、どの楽器を生で入れるかということもアレンジャーさんと打ち合わせします。「遠吠え」は最近レコーディングしたんですけど、ギリギリまでバンドさんのオケが完成しなくて、デモに合わせて歌を録ったんですよ。でもそのあとに運よくオケ録りに行けて、「歌をもう1回録りたいです」って言って歌も含めてバンドとレコーディングしたんです。それをプレイバックで聴いたら歌に臨場感があるし、バンドとの呼吸も合ってて。結局もともと録ってたやつはお蔵入りにしました。
私がみんなの光になりたい
──今年の6月から行われた東名阪ツアーでは「遠吠え」や「TRAVEL FANTASISTA」のほかに、「色えんぴつ」と「ヒカリの声」が初披露されました。国際フォーラムでのファイナルでは「昔からネガティブな自分がいるけど、こうして応援してくれてるみんながいると、もしかしたら自分にも何かできることがあるかもしれないなと思って」と「色えんぴつ」に込めた思いを話していましたね(参照:ももクロ有安杏果、歌と楽器で“ココロノセンリツ”届けた東名阪ツアーファイナル)。
心の片隅にある声をさらけ出して、思い切って歌詞を書きました。もともと作詞ノートに「色鉛筆は大事なものからなくなる」みたいなことを書いてて、そのことがずっと自分の中に残ってたんです。今年に入って曲を作るときに作詞ノートを見返して、「色鉛筆」というテーマで曲を作りたいなと思って曲にしました。
──アルバムの最後を飾る「ヒカリの声」については、MCで「みんなの希望の光や目印になったらいいなと思って書きました」と語っていました。
「ヒカリの声」は横アリに向けて作曲していたときに、AメロとBメロだけ作ってボイスレコーダーに残してた曲なんです。そのメロディをもとにサビを新たに作って、歌詞を書きました。
──そうだったんですね。
去年の横アリと大分でのソロコンは自分の中でとても大きな出来事で、あの大きなステージに立つ瞬間ほど幸せなことってそうはないんです。でも、あそこに立つまでしんどかったり苦しかったりしたこともあって、それがこの曲の歌詞で言う「トンネル」や「暗闇」なんですけど、そのトンネルを抜けた先の光が自分にとってはステージで。絶対行き止まりのトンネルはないし、どんなに長いトンネルでも光は待ってくれてて、今はアルバムの発売や仙台と武道館でのライブという光に向かって「どんなにしんどくてもがんばるぞ」と思って走ってます。「ヒカリの声」は「みんなが自分に光を当ててくれてるけど、私もみんなの光になりたいし、みんなのがんばる目印になれたらいいな」という思いを込めて作って。去年1人でステージに立って、スポットライトを浴びたときの感覚がきっかけでできあがった気がします。
──「ヒカリの声」のミュージックビデオの内容も有安さんが考えて、監督の番場秀一さんに伝えたんですか?
番場さんとは横アリのDVDで初めて一緒にお仕事させていただいて。番場さんの手掛けた映像が好きで、ぜひMVの監督をお願いしたいと前から思ってたんです。「ここの部分はこうしたい」という私のざっくりとしたイメージをもとに監督が演出をしてくださって、一緒にMVを作っていきました。
──がんばっている人の背中を押すような内容に仕上がっていますね。
ライブだとステージにいて光を浴びているのは私ですけど、普段はみんなそれぞれに輝けるステージがあると思っていて。自分がメインの、自分しか映らないMVにはしたくなかったんです。みんなに光を送るけど、自分も光を送ってもらってるというメッセージを伝えたくて、こういった内容のMVにしました。
──撮影は緊張しましたか?
めっちゃ緊張しました! 「ロケバスに私しかいない!」みたいな(笑)。朝もらった香盤表に「有安杏果『ヒカリの声』MV撮影」って書いてあるのを見て、「うわー」って鳥肌立ちましたね。その香盤表は記念に持って帰りました(笑)。
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夢は無限に膨らむ
- 有安杏果(ももいろクローバーZ)
「ココロノオト」 - 2017年10月11日発売 / KING RECORDS
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初回限定盤A [CD+Blu-ray]
4000円 / KICS-93535 -
初回限定盤B [2CD]
4000円 / KICS-93536 -
通常盤 [CD]
3000円 / KICS-3535
- CD収録曲
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- 心の旋律
- Catch up
- ハムスター
- ペダル
- feel a heartbeat
- Another story
- Drive Drive
- 裸
- 愛されたくて
- 遠吠え
- 小さな勇気
- TRAVEL FANTASISTA
- 色えんぴつ
- ヒカリの声
- 初回限定盤A付属Blu-ray収録内容
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Music Video
- ヒカリの声
- 色えんぴつ
- Catch up
特典映像
- 「ヒカリの声」Music Video メイキング、アルバム制作ドキュメンタリー映像
- 初回限定盤B付属CD収録曲
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「ココロノセンリツ ~Feel a heartbeat~ Vol.1」LIVE ALBUM
(2017年7月20日「ココロノセンリツ ~Feel a heartbeat~ Vol.1」@東京国際フォーラム)- ハムスター
- feel a heartbeat
- 遠吠え
- 教育
- Drive Drive
- ヒカリの声
- 色えんぴつ
- 裸
- 小さな勇気
- ペダル
- TRAVEL FANTASISTA
- Catch up
- 愛されたくて
- Another story
- 心の旋律
<Bonus Track>
- feel a heartbeat(W Encore ver.)
有安杏果 ソロコンサート
- 2017年10月13日(金)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2017年10月20日(金)東京都 日本武道館
- 有安杏果(アリヤスモモカ)
- 1995年3月15日生まれ、埼玉・富士見市出身。子供タレントやキッズダンサーとして活動したあと、スターダストプロモーションのダンスボーカルグループ・Power Ageを経て2009年7月にももいろクローバーに加入した。メンバーカラーは緑で、キャッチフレーズは「ちょっぴりおバカな小さな巨人」。2010年5月にシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たした。2011年4月にグループ名をももいろクローバーZに改名し、2012年末に結成当初からの目標であった「第63回NHK紅白歌合戦」に出場。2014年3月には女性グループ初となる東京・国立競技場でのワンマンライブを成功させた。ソロとしては2016年7月に神奈川・横浜アリーナにて初のソロコンサート「ココロノセンリツ ~Feel a heartbeat~ Vol.0』」を開催し、自身も楽曲制作に参加したCD「ココロノセンリツ♪ feel a heartbeat」を発売。同年11月には大分・別府国際コンベンションセンター ビーコンプラザで横浜アリーナ公演の追加公演「ココロノセンリツ ~Feel a heartbeat~ Vol.0.5」を実施した。2017年3月に4年間通った日本大学芸術学部写真学科を卒業。同年6月から全5公演の東名阪ツアー「ココロノセンリツ ~Feel a heartbeat~ Vol.1」を行った。10月11日に1stソロアルバム「ココロノオト」をリリースし、13日に宮城・仙台サンプラザホール、20日に東京・日本武道館でソロコンサートを開催する。