有安杏果(ももいろクローバーZ)が10月11日に初のソロアルバム「ココロノオト」をリリースする。本作には昨年7月に神奈川・横浜アリーナで開催された初のソロコンサートや、今年6月から7月にかけて行われた東名阪ツアーで披露されたオリジナル曲全14曲を収録。ライブで歌だけでなくギターやドラム、ピアノの演奏に挑戦するなど、アーティストとしての才能を開花させ始めている有安は、今回のアルバムに収録されている多くの楽曲の作詞作曲を手がけている。
音楽ナタリーでは有安にインタビューを実施。楽曲制作の過程や、10月20日に行われる東京・日本武道館公演について語ってもらった。
取材・文 / 近藤隼人 撮影 / 草場雄介
そのときどきの心の音が詰まった1枚
──7月の東京・国際フォーラムホールA公演でアルバムのリリースを発表されたとき「夢の夢のような話」とおっしゃってましたが(参照:ももクロ有安杏果、10月に1stソロアルバム発売&日本武道館ワンマン開催)、ソロアルバムを作りたいという思いは前からあったんですか?
「いつかアルバムを出せたらいいな」という本当に夢の夢のような思いはあったんですけど、ライブをやらせてもらってるだけで感謝しなきゃいけないことだったんで、自分からアルバムを出したいと言えず、心の中でひそかに思っていました。何年も活動しているアーティストの方は来年アルバムを出すからそのアルバムのコンセプトに合わせて曲を作る、というやり方がほとんどだと思うんですけど、私の場合は今回のアルバムのために作った曲は1曲もなくて。気付いたら曲作りを始めてから約1年でたくさん曲ができあがってたんです。「アルバムを出せるよ」という話になったときは、めっちゃうれしかったですね。
──アルバムの収録曲は、どれもすでにライブで披露されている曲ですね。
そうなんです。どれもライブのことを考えて作った曲で、アルバムには「今ある曲たちは全部入れるっしょ!」という感じで全部詰め込んで。私がそのときどきに思ってた心の声や音だったり、いろんな感情が詰まった1つの作品が完成しました。
──アルバムは昨年7月の横浜アリーナ公演で初披露された「心の旋律」で始まります。
アルバムの曲順は制作した順なんです。ちょうど東名阪ツアーをやってるときに曲順を考えてたんですけど、「『心の旋律』って実はかなり昔にできてた曲なんだよなあ」と思い出して。喉を何回も壊して声が出なくなったときに、歌詞にある「歌いたい 歌いたい」という言葉を毎日のようにノートに書いてたんです。その強い思いを詰め込んだ曲なので、やっぱりアルバムの1曲目かなと。そのあと大学1年生のときに作曲をやってる友達に出会って作ったのが2曲目の「Catch up」で、3曲目の「ハムスター」は横アリでライブをやると決まって初めて自分で作詞作曲をしてみようと思って作った曲です。アルバムを通して、私の歌詞の傾向や成長過程をファンの方にわかってもらえたらいいなと思います。
作曲は鼻歌とiPhoneで
──アルバムに収録される全14曲のうち、9曲で作詞、7曲で作曲を担当していますね。ライブでは何度もギターの演奏を披露していますが、普段作曲はギターで?
ノー!(笑) 鼻歌です! 結局ギターで作ったのは「feel a heartbeat」だけですね。「feel a heartbeat」も最初はギターで作ろうと思ってなかったんですけど、共作させていただいた多保(孝一)さんがとてもギター愛にあふれている方で、「せっかくギターを持ってて触ってるんだったら、この機会にギターで作ってみようよ」と言ってくれたんです。多保さんが弾くコードに合わせて私が何通りものメロディをひたすら作って。「そのメロディいいよ。もうちょっと、もうちょっと!」という感じで導いてくれて、すごく勉強になりました。
──鼻歌で作曲するときは、どのように曲を作りあげていくんですか? 最初は鼻歌を何かに録音して?
だいたいはiPhoneのボイスレコーダーのアプリに鼻歌を入れますね。帰り道や電車のホームにいるときにパッと思い浮かんだメロディをiPhoneに吹き込んで、家に帰ってからそれをきれいに整えます。ワンコーラス作って、Dメロを作る場合はDメロも作って、そのあとBPMとか曲のイメージを膨らませていって。歌詞はメロディと同時に作る場合もあるし、あとから当てはめることもあります。
──歌詞を先に作ることはないんですか?
そうですね……あっ、でも「feel a heartbeat」は歌詞が先でした。だからそのときどきですかね。
──「ハムスター」を作るまでは、作曲したことはなかったんですよね?
まったく! 横アリでライブをやるって決まって、「1曲くらいは自分で作詞作曲した曲を歌いたい」と思ったんです。でも楽器もなんにもできないから毎日毎日iPhoneに鼻歌を吹き込んで、それを次の日に聴いて「全然これ使えないなあ」と繰り返して。試行錯誤して作ったメロやサビを最終的に全部ガッチャンコさせて「ハムスター」が完成しました。
──もともと有安さんの中に表現したいものがあったんでしょうか?
歌詞に関しては日記やノートに言葉をよく書いてたんですけど、曲に関してはそういうものはなくて。作曲するときは自分で歌ってて気持ちいいメロディラインを歌にしてます。「ここからこういきたいな」という感じで。
──歌詞はどういうときに思い浮かびます?
それも曲ごとに違うんですけど、例えば「ペダル」は街を歩いているときに鼻歌と同時に言葉が出てきて、それをもとに作りました。いつも同じことを思ってるのか、出てきた言葉がすでに作詞ノートに書いてあったりもするんですけど。あと、「Another story」は一晩で書きあげるぐらいの勢いで湧いてきたことをバッと歌詞にしました。
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オケ録りの段階からレコーディングに
- 有安杏果(ももいろクローバーZ)
「ココロノオト」 - 2017年10月11日発売 / KING RECORDS
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初回限定盤A [CD+Blu-ray]
4000円 / KICS-93535 -
初回限定盤B [2CD]
4000円 / KICS-93536 -
通常盤 [CD]
3000円 / KICS-3535
- CD収録曲
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- 心の旋律
- Catch up
- ハムスター
- ペダル
- feel a heartbeat
- Another story
- Drive Drive
- 裸
- 愛されたくて
- 遠吠え
- 小さな勇気
- TRAVEL FANTASISTA
- 色えんぴつ
- ヒカリの声
- 初回限定盤A付属Blu-ray収録内容
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Music Video
- ヒカリの声
- 色えんぴつ
- Catch up
特典映像
- 「ヒカリの声」Music Video メイキング、アルバム制作ドキュメンタリー映像
- 初回限定盤B付属CD収録曲
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「ココロノセンリツ ~Feel a heartbeat~ Vol.1」LIVE ALBUM
(2017年7月20日「ココロノセンリツ ~Feel a heartbeat~ Vol.1」@東京国際フォーラム)- ハムスター
- feel a heartbeat
- 遠吠え
- 教育
- Drive Drive
- ヒカリの声
- 色えんぴつ
- 裸
- 小さな勇気
- ペダル
- TRAVEL FANTASISTA
- Catch up
- 愛されたくて
- Another story
- 心の旋律
<Bonus Track>
- feel a heartbeat(W Encore ver.)
有安杏果 ソロコンサート
- 2017年10月13日(金)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2017年10月20日(金)東京都 日本武道館
- 有安杏果(アリヤスモモカ)
- 1995年3月15日生まれ、埼玉・富士見市出身。子供タレントやキッズダンサーとして活動したあと、スターダストプロモーションのダンスボーカルグループ・Power Ageを経て2009年7月にももいろクローバーに加入した。メンバーカラーは緑で、キャッチフレーズは「ちょっぴりおバカな小さな巨人」。2010年5月にシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たした。2011年4月にグループ名をももいろクローバーZに改名し、2012年末に結成当初からの目標であった「第63回NHK紅白歌合戦」に出場。2014年3月には女性グループ初となる東京・国立競技場でのワンマンライブを成功させた。ソロとしては2016年7月に神奈川・横浜アリーナにて初のソロコンサート「ココロノセンリツ ~Feel a heartbeat~ Vol.0』」を開催し、自身も楽曲制作に参加したCD「ココロノセンリツ♪ feel a heartbeat」を発売。同年11月には大分・別府国際コンベンションセンター ビーコンプラザで横浜アリーナ公演の追加公演「ココロノセンリツ ~Feel a heartbeat~ Vol.0.5」を実施した。2017年3月に4年間通った日本大学芸術学部写真学科を卒業。同年6月から全5公演の東名阪ツアー「ココロノセンリツ ~Feel a heartbeat~ Vol.1」を行った。10月11日に1stソロアルバム「ココロノオト」をリリースし、13日に宮城・仙台サンプラザホール、20日に東京・日本武道館でソロコンサートを開催する。