蒼井翔太|無限の可能性秘めた“0”地点から未来へ

蒼井翔太が約2年半ぶりとなるニューアルバム「0」(ゼロ)をリリースする。

本作には「イノセント」や「DDD」「flower」といった既発シングル曲に加え、和のテイストを盛り込んだロックナンバー「零」や、蒼井自身が作詞作曲を手がけた「Powder snow」など、多彩なサウンドバリエーションを持った新曲群を収録。アーティストとしての新たなチャレンジもふんだんに盛り込まれたことで、さらなる進化を遂げた蒼井翔太の姿を実感させる仕上がりとなっている。

アルバムリリース直後からライブツアー「蒼井翔太 LIVE 2017 WONDER lab. 0」をスタートさせる蒼井に、本作に込めた思いをたっぷりと聞いた。

取材・文 / もりひでゆき

いろんな蒼井翔太を見せたい

──アルバム制作はいつ頃からスタートしたんですか?

蒼井翔太

6月くらいから打ち合わせが始まって、7月から2カ月くらいかけて歌の収録をしていった感じです。ほかのお仕事の合間を縫って、2日連続でレコーディングしたりとか。トラックダウンに関しては1日に3曲まとめてやったときもありましたね。

──トラックダウンまで立ち会われるんですね。

はい、立ち会わせていただいてます。まあでも今回はそれぞれの曲をこだわってレコーディングすることができたので、トラックダウンではそんなに苦労することはなかったです。

──約2年半ぶりのアルバムということで、その全体像に関してはどんなものを思い浮かべて制作していきましたか?

テーマとしては今までと一緒で、CDという1つの作品の中でいろんな蒼井翔太を見せていきたいっていうことですね。それを根底に置いて、いろんな曲を集めていきました。

──今作にも相当いろいろな蒼井翔太の姿が描き出されていますよね。

はい。前作と比べて、よりいろんなジャンルの曲を歌えるようになったと自分でも思いました。「Stay With Me!!」や「Always Be Together」では自分としてちょっと新しいことができたと思うし、今までちょっと難しそうだなと思っていたミディアムテンポでグルーヴ感のある楽曲に自然と向き合えたところもあったし。また新しい蒼井翔太の楽曲ができたな、新しい自分が芽生えたなってすごく思います。

──収録曲を決める際にはそういった新しいトライアルを強く意識したところもありました?

そうですね。あとはアルバムをリリースしたらすぐにライブツアーが始まるので、そこで絶対に盛り上がるであろう曲を集めたところもありましたね。頭の3曲「零」「奏世」「INVERTED」なんかはまさにそういうイメージで決めていきました。

“0”を起点に

──今回のアルバムには「0」というタイトルが掲げられていますね。そこにはどんな思いを込めましたか?

アルバムの収録曲を集める前からタイトルは決めていたんですよ。“0(ゼロ)”を起点にいろんな蒼井翔太を見せていけたらいいなっていう思いを込めて。

──“0を起点に”っていうのは具体的にどういうことなんでしょう?

世の中には“0”から“1”を生むお仕事がすごく多いじゃないですか。小説やマンガもそうだし、ゲームもそう。みんな発案者の方が“0”から作品を生み出している。そういう意味で僕は“0”という数字に無限の可能性を感じるんですよね。例えるなら“0”は白いパレットみたいなもので、その上にいろんな色の絵の具を乗せていくことで、いろんな絵を描くことができる。僕もそうやって“0”という地盤のもと、いろんな“1”を生み出していきたいなってすごく思うんですよね。

──ポジティブな感覚で“0”という数字を捉えているわけですね。

そうそう。今まで積み上げてきたものをリセットして“0”にするとかそういう意味ではまったくなくて、そこにある無限の可能性を僕は表現したいんです。もちろん今までも“0”から“1”を生み出して、いろんな蒼井翔太を表現することをずっと大切にしてきてはいたんですけど、今回はキングレコードさんに来てから初めてのアルバムでもありますからね。改めての自己紹介と言いますか、名刺代わりになる作品にしたい気持ちがあったので、今までずっと思ってきたことをあえてタイトルとして打ち出してみたんです。

蒼井翔太「零」ミュージックビデオのワンシーン。

──蒼井さんはキャリアの中でさまざまな表情を見せつつも、1人のアーティストとしての確固たる色はすでにあると思うんです。パレットにはもう蒼井翔太という色がある。だからこそ、常に“0”を意識する難しさもあるのではないかなと思ったりもするのですが。

いや、そこに難しさはまったくないですよ。僕は常に“0”だと思っているので。例えば声優のお仕事なんかでいろんな役柄をやらせていただくと、それは大切な経験、思い出として自分の中には残りますけど、その役柄を離れるとまた“0”になると言うか。それはすべてをリセットするという意味ではなく、初心に帰るっていう意味で。

──音楽に関してもそういう姿勢ですか?

そうですね。曲ごとに“0”へ戻ってから、各曲が求めている表現を自分の中に落とし込んでいく感じ。イメージとしては、素の蒼井翔太に戻ることが僕にとっての“0”なのかもしれないです。

──なるほど。音楽に関してもそれぞれの曲の役柄になり切って歌っている感じなのかもしれないですね。だからこそ“0”に戻すことが重要になると。

うん、そういうイメージで向き合っているからこそ、いろんなタイプの楽曲を全力で歌えるところもあるんだと思います。選曲の段階で「これをやっちゃうのはどうかなあ?」とか迷うことは一切なかったですから。逆にやってみたいことが多過ぎて、今回のアルバムからこぼれてしまった曲もいくつかあるんですよ。それはまた次の機会に取っておこうかなと思ってるんですけど(笑)。

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愛を届けたい

蒼井翔太「Ø」
2017年10月11日発売 / KING RECORDS
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CD収録曲
  1. 奏世
  2. INVERTED
  3. DDD
  4. イノセント
  5. Stay With Me!!
  6. flower
  7. Powder snow
  8. Always Be Together
  9. Hungry Night
  10. ココに
  11. SMILE SMILE SMILE
初回限定盤Blu-ray / DVD収録内容
  1. イノセント MUSIC VIDEO
  2. DDD MUSIC VIDEO
  3. flower MUSIC VIDEO
  4. 零 MUSIC VIDEO
  5. Making of 0
蒼井翔太「蒼井翔太 LIVE 2017 WONDER lab. 0」
  • 2017年10月21日(土)大阪府 大阪国際会議場 メインホール
  • 2017年11月5日(日)愛知県 刈谷市総合文化センター 大ホール
  • 2017年11月12日(日)福井県 フェニックス・プラザ 大ホール
  • 2017年11月25日(土)東京都 両国国技館
  • 2017年11月26日(日)東京都 両国国技館
蒼井翔太(アオイショウタ)
蒼井翔太
2011年に声優デビュー。「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズの美風藍役で注目を集め、2016年1月にはTVアニメ「ファンタシースターオンライン2 ジ アニメーション」にて地上波アニメ初の主題歌と主人公役を演じた。2016年3月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催。同年10月に武道館公演の模様を収めたライブBlu-ray / DVD「蒼井翔太 LIVE 2016 WONDER lab. ~僕たちのsign~」と、シングル「DDD」を同時リリースした。2017年1月にはニューシングル「flower」を発表。10月に2ndアルバム「0」をリリースし、地元の福井公演を含む全国ツアー「蒼井翔太 LIVE 2017 WONDER lab. 0」をスタートさせる。