音楽ナタリー PowerPush - 藍井エイル

4年目に振り返る“藍井エイル”の作り方

CD映えしてライブ映えもするデジタルメタル

藍井エイル

──カップリング2曲目は「Gladius」……なんですけど、こうやって並べてみると「ツナガルオモイ」ってホントに攻めのシングルですよね。

ですね(笑)。今までのシングルって3曲収録されていれば1曲はバラードだったんですけど、今回は……。

──ストレートなギターロック「ツナガルオモイ」に、ジャズロックテイストの「Raspberry Moon」、そしてデジタル感が強くてダンサブルなヘヴィメタルの「Gladius」。

私の新しい表情をお見せすることのできるシングルになったと思ってます。

──なぜこういう構成に?

「Gladius」も「Raspberry Moon」なんかと同じように以前からあった曲。すでにデモは録っていた曲なんですけど、ほかのいろんなデモ曲もある中「ツナガルオモイ」「Raspberry Moon」と並べてみたとき一番ハマる感じがしたからですね。ロック、ジャズロックときて、デジタルメタルが並んだら面白いし、よりパンチの効いた作品になるんじゃないかと思ったので。プレイヤーで聴きながらデジタルサウンドを楽しむこともできるし、ライブ映えもしてくれる1曲になってくれたなって思ってます。

──もともとそういうことを意図したわけでは……。

ないですね。SlipknotやEvanescenceが好きなので、作曲のTomoさんと編曲のAtsushiさんに「重い曲がほしい」っていうお話させていただいただけですね。

門倉有希、テレサ・テンが藍井エイルにもたらすもの

──「Gladius」の作詞は藍井さん。そして「失うことを恐れたままじゃ 何にも立ち向かえない そう きっとこの手は総てを掴める」と「ツナガルオモイ」以上に強い言葉で前向きな言葉を紡いでいます。

「Gladius」って武器の名前なんですけど、聴いてくれる方には1人ひとり、その人にしかない特技や魅力があると思うんです。あと友達や仲間っていうのもかげがえのない武器だと思いますし。みんながそういう武器を手にして壁や困難に打ち勝ちながら、目標や夢に向かって突き進めたらいいなっていう思いで書きました。

──で、レトリックが面白いですよね。それこそ「総てを掴める」がいい例だと思うんですけど、漢字とひらがなの使い分けと当てる漢字が特徴的というか。

藍井エイル

この詞を聴いてつかんでもらいたいものはもちろん夢ではあるんですけど、もう1つ「Gladius」っていう武器も手にしているから、ひらがなの「つかむ」じゃなくて具体的に「掴」みたかったのと、「全て」や「すべて」よりも「総て」のほうが指し示す範囲が広い印象があったので。夢も武器も「掴」みたいから「総て」にしてみました。あとサウンドが強いので、言葉の印象もより強くしてみたかったから、印象の柔らかいひらがなじゃなくて、硬い漢字にしたっていう感じですね。

──言葉をよりシンプルにした「ツナガルオモイ」と対照的ではあるんだけど、どちらも言葉遊びを仕掛けているという意味では……。

一緒ですね。曲のテイストや伝えたいことによって歌う内容はもちろんなんですけど、使う文字自体も変えたほうが、より思いが伝わると思うし、遊んだほうが聴いてくれる方も書いてる私も楽しいですから(笑)。

──最後に4年目の活動が本格化する2015年は何をしましょう?

自分のアイデンティティをもっと楽曲に盛り込んでいきたいですね。きっとアルバム制作なんかも始まると思うので、そのアルバムには自分が作曲した曲も収録したいな、みたいなことも考えてますし。前のシングルのカップリングの「泡沫」と今回の「ツナガルオモイ」を作ったことで「やっぱり私、歌謡メロディが好きなんだ」っていうことに改めて気付いたので、さらにその道を突き詰めてみたいというか。ゴリっとしたサウンドと懐かしい感じのメロディをもっと前面に押し出したいし、その2つをスムーズに融合させるための勉強もしてみたいですね。

──景気のいいギターロックと、日本人ならたいてい好きだろう和テイストあふれる歌謡メロディの融合って確かにいい発見ですよね。その2つを兼ね備えられたら、それは藍井さんのアイデンティティ、しかも絶対にウケる武器になりそうですよね。

だからその歌謡メロディの魅力に気付かせてくれた親には感謝だな、って思ってます。小学生の時から門倉有希さんやテレサ・テンさんを歌っててよかったって(笑)。

藍井エイル
ニューシングル「ツナガルオモイ」 / 2014年11月12日発売 / SME Records
初回限定盤 [CD+DVD] / 1599円 / SECL-1619~20
通常盤 [CD] / 1300円 / SECL-1621
CD収録曲
  1. ツナガルオモイ
  2. Raspberry Moon
  3. Gladius
  4. ツナガルオモイ(Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
  1. ツナガルオモイ ビデオクリップ
  2. Making of ツナガルオモイ
  3. Eir in LA the Movie
藍井エイル(アオイエイル)
藍井エイル

北海道札幌市出身の女性シンガーソングライター。高校在学中よりバンドのボーカリストとして音楽活動を開始し、その後、動画サイトの投稿をきっかけに大きな注目を集める。2011年4月にアニソン誌「リスアニ!」の付録CDにオリジナル曲「frozen eyez」が収録され、同年10月、テレビアニメ「Fate/Zero」のエンディングテーマ「MEMORIA」でメジャーデビュー。以降「BLAU」と「AUBE」という2枚のオリジナルアルバムに加え、「AURORA」「INNOCENCE」「シリウス」など話題のアニメのテーマソングを立て続けに発表し、「Animelo Summer Live」などアニメソング系大型フェスにも数多く出演する。2014年8月にはアニメ「ソードアート・オンラインII」のオープニングテーマ「IGNITE」をリリースし、11月にはデビュー4年目第1弾シングル「ツナガルオモイ」で初めてシングル表題曲の作詞・作曲を手がける。