ナタリー PowerPush - 藍井エイル
期待の実力派女性ボーカルが語る 新アルバムとライブとゲーム
2010年秋からの動画サイトへの投稿がきっかけで注目を浴び、翌年には早くもCDデビューを果たした女性シンガー、藍井エイル。これまでリリースした3枚のシングルは「Fate/Zero」「ソードアート・オンライン」など人気アニメのテーマ曲となり、チャートのトップテンに入っている。初期には顔を隠していたこともあり謎めいた存在だったが、最近はゲーム好きで快活な北海道生まれというパーソナリティがメディアを通して明るみに出つつある。
そうした中で彼女は1月30日、満を持して初のアルバム「BLAU」を発売する。シンガーとしての成長からバンドへの愛情、好きなゲームまで、個性的な素顔を持った藍井エイルにたっぷり語ってもらった。
取材・文 / さやわか
バンド活動から動画投稿へ
──藍井さんがデビューするきっかけになったのはネットの動画サイトに投稿したことですけど、その前にバンド活動もやられていたんですよね。
そうですね。高校時代に。最初はギターで、後でメンバーが抜けてからはボーカルをやりました。
──バンド自体はどのぐらいやってたんですか?
ギターを始めたのは中学校だったんですけど、バンドを結成したのは高校からなんですよね。だから活動期間としてはあってないようなものなんですけど。
──中学のときは1人でギターを弾いてたってことですか?
友達がギターを弾いててカッコいいなと思ったんです。なんか私は結構男っぽいので、ギター弾いてたら「キャッ、カッコいい」みたいに女の子に好かれるかなと思って(笑)。それで家にお父さんのギターがあったから弾いてたんです。でも弾き方が全くわからなかったので、最初なんて右と左を逆に持ってたんですよね。お父さんが左利きだったので、余計にややこしくて(笑)。その後、友達に教えてもらいながら覚えました。「Fは難しいけどがんばれ」みたいな感じで。
──なるほど。コンテストでダメだった後、すぐにソロでがんばろうという気になったんですか?
いや、もうあきらめかけてましたね。高校で働くか進学するかを選択させられるじゃないですか。いろいろリアルなことを考えなきゃいけなくなって、歌やりたいってずっと前から思ってたけど、もう無理なんじゃないかなって思ったので、あきらめて看護師を目指そうと思ったんです。ただやっぱり音楽から離れるのは嫌だったので、動画サイトならいろんな人に聴いてもらえるチャンスになるんじゃないかと思って動画を投稿しました。本当はバンドを組もうとしてたんですけど、受験勉強をしなきゃいけないし、やっぱり時間がないので。
「自分じゃない感」が大きかったデビュー当時
──あきらめかけていた音楽をネットで評価してもらって、どう思いましたか?
自分で思っていたよりずっとたくさんの人に聴いてもらえたのが、すごくうれしかったです。嘘じゃないかと思うくらいで……。だからデビューの実感が湧いたのはかなり遅かったですね。「MEMORIA」のCDがお店に並ぶまでは、本当は全部夢なんじゃないかと思っていて(笑)。お母さんもすっごい反対してたんですよ。「お母さん、私デビューするみたいな話になってるんだ」ってソニーの方からいただいた名刺を見せたんだけど、「こんなの嘘でも作れるんだよ!」って怒られて(笑)。
──悪い大人に騙されてると思われたんですね(笑)。でも「MEMORIA」はテレビアニメ「Fate/Zero」のエンディングテーマになって、毎週テレビで自分の曲が流れることになりましたよね。いきなりそういう状況になってびっくりしましたか?
もう、なんか、違和感のもっとランクを上げた感じというか。「え? 私? なんか違うような気がする」みたいに、「自分じゃない感」がすごく大きかったですね。
──急に注目されて、生活が変わったりしましたか?
顔を隠してたので、そういうのはなかったです。ライブもイベントも最初は全くしなかったので。
──2ndシングルから顔を出すようになったのは、なぜなんでしょうか?
やっぱりライブがしたいと思うようになったんですよ。自分でミステリアスにしたくせに(笑)。ライブに限らず、応援してくれる方々の顔を直に見る機会がなかったんですよね。握手会も、サイン会も、イベントも、顔が出るもの全てができなかったので。
- ニューアルバム「BLAU」 / 2013年1月30日発売 SME Records
- 「BLAU」初回限定盤A[CD+Blu-ray] 3900円 / SECL-1263~1264
- 「BLAU」初回限定盤B[CD+DVD] 3600円 / SECL-1265~1266
- 通常盤[CD] 3000円 / SECL-1267
CD収録曲
- overture
- AURORA
- INNOCENCE
- サテライト
- 閃光前夜
- HIGH & HIGH
- アヴァロン・ブルー
- frozen eyez
- 夢の終わり
- Lament
- フェイスレス
- Reunion
- 空を歩く
- MEMORIA
- GLORIA
初回限定盤付属Blu-ray / DVD
- アヴァロン・ブルー(Music Video)
- MEMORIA -after days ver.-(Music Video)
- AURORA(Music Video)
- INNOCENCE(Music Video)
- リスアニ!TV(藍井エイル特集 / 札幌ロケ・前編)
- リスアニ!TV(藍井エイル特集 / 札幌ロケ・後編)
初回限定盤(A・B)はスペシャルスリーブ仕様&48ページフォトブック付き
藍井エイル(あおいえいる)
北海道札幌市出身の女性シンガーソングライター。幼少の頃より音楽に親しみ、高校在学中はバンドのボーカルとして活動していた。動画サイトへの投稿をきっかけに大きな注目を集め、2011年4月にアニソン雑誌「リスアニ!」の付録CDにオリジナル曲「frozen eyez」が収録される。同年10月、テレビアニメ「Fate/Zero」のエンディングテーマに起用されたシングル「MEMORIA」でメジャーデビュー。この作品はオリコンウイークリーチャートで初登場8位を獲得した。2012年9月には「AURORA」、11月には「INNOCENCE」と、人気アニメのテーマ曲となったシングルを次々とリリース。それと並行して2012年8月のイベント「Animelo Summer Live 2012 -INFINITY∞-」では3万人の観衆の前で歌声を披露し、9月には初のワンマンライブを開催するなど、ライブ活動も精力的に行っている。2013年1月、初のオリジナルフルアルバム「BLAU」をリリースする。