音楽ナタリー Power Push - angela×fripSide
2つのアニソン最強ユニットが最強コラボに挑むワケ
「コラボするならfripSide」「ですよねえ」
──そしてこのたび相思相愛コラボが実現したわけですけど、これはangela、fripSide、どちらの発案で?
sat angelaさんですね。
atsuko fripSideさんに対してはアニソンシーンとか時代に対する認識が似てるんじゃないかっていう気もしていたので。
──2年前、アニメ「シドニアの騎士」に、そのタイトルを冠した「シドニア」という曲を提供したら、まったく同じタイミングでfripSideがアニメ「ブラック・ブレット」に「black bullet」という曲を提供していたって言ってましたもんね(参照:angela「シドニア」「宝箱2」インタビュー)。
atsuko まさにそういうことがきっかけになってるんです。「最近のアニメ主題歌は主題歌たり得てないんじゃないか」「アニメのタイトルを掲げるという原点に立ち返ってもいいんじゃないか」と思って「シドニア」を作ったら、同じタイミングで「black bullet」をリリースなさって。「みんなが『アニメソングとは何か?』を問い直そうとしている、この流れっていいな」と思ったし、fripSideさんが同じことを考えていたのがすごく頼もしかったんですよね。
sat そこまで立派なことは考えてなかったりもするんですけどね(笑)。でもアニメソングシーンの一角を担っている者として同じ危機意識がなかったといえばウソになりますね。「black bullet」を作ってる当時、「だってアニソンなんだから!」っていう意識はありました。
KATSU そして去年のある日、ウチのプロデューサーが唐突に「例えばもし来年誰かとコラボするなら、どなたがいいですか?」って聞いてきたから「まあfripSideさんですかねえ」と即答したら……。
atsuko プロデューサーも「ですよねえ」と(笑)。
KATSU で、angelaとfripSideのコラボという座組で「亜人」というアニメの第2クールのオープニングを担当することが決定した、と。
──satさんはangelaサイドからのオファーには……。
sat やっぱり即答でしたね。絶対に面白いことができるっていう確信があったから、即座に「喜んで引き受けさせていただきます」と。
──もちろん南條さんも異存はなし?
南條 はい。当然まずは「えっ、ホントに!?」と驚いたんですけど(笑)、そのあとすぐに頭の中では、光栄な気持ちとプレッシャーと「音楽性が違うユニット同士、どういう風に融合するんだろう」っていう興味が同時に渦巻いてました。
ストロングポイントを持ち寄るコラボレーション
──そしてangela×fripSide「僕は僕であって」と、fripSide×angela「The end of escape」、どちらの楽曲でも南條さんの言う通りに新たな融合やケミストリーが起きた。
南條 「本当にコラボだ!」って感じですよね。
──はい。angelaが作詞作曲を手がけた「僕は僕であって」は普段のお二人のライブよろしくボーカル、ギター、ベース、ドラムを基調としたバンドサウンドに、まさにsatさんといったトランシーなシンセが幾重にも重なる1曲で。他方「The end of escape」は、そのシンセをこれでもかとばかりに反復させるミニマルなサウンドにKATSUさんがアレンジしたストリングスにエモいギターが乗る1曲に仕上がっている。
南條 なので「The end of escape」に関しては、聴きなじみがあるようで、実はまったく新しい曲を歌うという不思議な体験をさせてもらいました(笑)。
sat 逆にウチのファンは「僕は僕であって」を聴いたら「angelaの曲なのになぜかfripSideっぽい」ってビックリするでしょうね。
──実際の制作はどのように? satさんは2013年のシングル曲「eternal reality」を小室哲哉さんと共作したとき「『小室さんに楽曲をもらいました』というコラボはしたくない」とおっしゃってましたけど(参照:fripSide「eternal reality」インタビュー)。
sat 「angelaさんの曲で南ちゃんが歌って僕が鍵盤を弾いて、ハイおしまい」にしたくなかったという意味では小室さんとのときと同じなんだけど、作り方は違いましたね。僕はangelaさんの音楽に絶えず触れているし、angelaさんも僕らの音楽のことを知っていてくれたから。「僕は僕であって」はKATSUさんと僕の共同アレンジになってるけど、最初KATSUさんからシンセのパートだけが入ってない、ほぼ完成形の音源が僕のところに届いたんですよ。で、僕はそのシンセを入れるべき場所にフレーズを足すっていう作り方をしてるんです。
KATSU satさんがどういうシンセを弾く人なのか知ってるから、キーボードのパートを空けてさえおけば大丈夫。安心してお任せできるんですよ。
──一方、satさん作編曲の「The end of escape」ではKATSUさんがストリングスアレンジとして参加しています。
sat これこそ僕がangelaさんの音楽に絶えず触れてきたって話なんだけど、以前からKATSUさんのストリングアレンジのファンだったんです。「このストリングスは変態だ!」って心を動かされていたので(笑)。だから今回の2曲に関しては僕のシンセとKATSUさんのストリングスという、お互いのストロングポイントをお互いの楽曲に持ち寄るという作り方ができたんじゃないかな、って思ってますね。
表裏一体になった溶け合う声
──angelaにはatsukoさんの声、fripSideには南條さんの声というストロングポイントもあります。その2つが絶妙かつ面白く混ざり合っているのも聴きどころですよね。
sat うまく表裏一体になってくれましたよね。
──なぜか他人事っぽい(笑)。
南條 satさんとKATSUさん、レコーディングのとき、けっこう話し合ってましたもんね。私もそうだし、皆さんもatsukoさんの歌声に対する印象って、私の歌声とは真逆だと思うんです。熱くて強くて、でも大人の包容力がある声を持っていらっしゃる方だと思っていると思うんですけど、意外なことに声質にけっこう似ているところがあったみたいで。レコーディング中「あれ? 声が溶け合っちゃう」ってなっちゃったことがあって。
──だから「うまく表裏一体になってくれた」感じなんですね。とはいえ表裏一体になったのはもちろん偶然じゃないですよね?
南條 そこはsatさんとKATSUさんの話し合いのおかげですね。ちゃんとお互いの声が“強く”聞こえる部分を作るように、お互いの声の持ち味が生きるようにディレクションしてくださったし、レコーディングやミックスのときもそうしてくださってたんでしょうね。
KATSU 今回の2曲に関しては絶対にそうしなきゃいけなかったしね。angelaとfripSideがコラボする意味や、atsukoと南ちゃんが一緒に歌うことの意味については最初の打ち合わせのときから話し合ってたことだから。
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- angela×fripSide ニューシングル「僕は僕であって」 2016年10月19日発売 / KING RECORDS
- 期間限定盤 [CD+Blu-ray] 1944円 / KICM-91710
- 通常盤 [CD] 1296円 / KICM-1711
期間限定盤 CD収録曲
- 僕は僕であって
- 僕は僕であって TV size
- 僕は僕であって off vocal version
期間限定盤 Blu-ray収録内容
- 僕は僕であって PV
通常盤 CD収録曲
- 僕は僕であって
- 僕は僕であって part of atsuko
- 僕は僕であって part of yoshino nanjo
- 僕は僕であって off vocal version
- fripSide×angela ニューシングル「The end of escape」 2016年12月7日発売 / NBCユニバーサル・エンターテイメント
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / GNCA-0461
- 通常盤 [CD] 1296円 / GNCA-0462
初回限定盤 CD収録曲
- The end of escape
- The end of escape TV size
- The end of escape(instrumental)
初回限定盤 DVD収録内容
- fripSide×angela「The end of escape」PV
- fripSide×angela「The end of escape」PVメイキング
- angela×fripSide「僕は僕であって」PVメイキング
通常盤 CD収録曲
- The end of escape
- The end of escape part of yoshino nanjo
- The end of escape part of atsuko
- The end of escape(instrumental)
- MBS:毎週金曜日 26:40~
- TBS:毎週金曜日 26:25~
- BS-TBS:毎週土曜日 24:30~
©桜井画門・講談社 / 亜人管理委員会
angela(アンジェラ)
岡山県出身のatsuko(Vo)とKATSU(G, Key)による2人組ユニット。それぞれ音楽を志し上京したのち結成し、2003年にテレビアニメ「宇宙のステルヴィア」のオープニング主題歌「明日へのbrilliant road」でメジャーデビュー。1stシングルながらオリコン週間シングルランキングで15位をマークし、瞬く間にアニメソングシーンで存在感を示す。以来「蒼穹のファフナー」シリーズ、「アスラクライン」、「K」シリーズなど、多くの人気アニメの関連楽曲を担当。また「Animelo Summer Live」やアメリカの「SAKURA-CON」、カナダの「CANADIAN NATIONAL EXPO」、フランスの「Japan Expo」など、国内外の大型アニメ系イベントにも多数出演する。2014年には5月にアニメ「シドニアの騎士」のオープニングテーマ「シドニア」を発表。この曲は同年、アニメファンが選ぶ「アニメーション神戸賞」で主題歌賞を受賞した。2016年5月に山梨・河口湖ステラシアターで行われたデビュー13周年記念ライブを成功させ、同年8月にアルバム「LOVE & CARNIVAL」を発表した。また2017年3月4日には自身初の東京・日本武道館単独公演を開催する。
- angela オフィシャルサイト
- KingRecords:angela
- atsuko (@angela_atsuko) | Twitter
- KATSU (@angela_KATSU) | Twitter
- angelaの記事まとめ
fripSide(フリップサイド)
コンポーザー&プロデューサーの八木沼悟志と声優としても活躍するボーカルの南條愛乃からなるユニット。2009年、テレビアニメ「とある科学の超電磁砲」のオープニングテーマ「only my railgun」をリリース、ゴールドディスクを獲得し、アニソン界での立ち位置を確立。2010年に1stアルバム「infinite synthesis」、2012年12月には2ndアルバム「Decade」をリリースし、2014年9月に3rdアルバム「infinite synthesis 2」を発表。2013年5月リリースのテレビアニメ「とある科学の超電磁砲S」のオープニングテーマ「sister’s noise」でオリコンウィークリーチャート1位を達成した。また2015年3月1日に横浜アリーナにて行われた「fripSide LIVE TOUR 2014-2015 FINAL in YOKOHAMA ARENA」を全席完売。さらに同年5月に「Luminize」、12月に「Two souls -toward the truth-」、2016年2月に「white forces」という3枚のシングルリリースを挟み、本年10月5日に4thアルバム「infinite synthesis 3」を発表した。10月末からは全国14カ所を巡る全会場ホールツアー「fripSide concert tour 2016-2017 -infinite synthesis 3-supported by animelo mixを展開。そして2017年3月18日にはツアーファイナルであり結成15周年突入を記念した埼玉・さいたまスーパーアリーナでの単独公演を開催する。