ピッタリ15位だったオリコンランキング
──angelaのお二人は、アニメソングを作ることに戸惑いや抵抗はなかったんですか?
KATSU その質問よくされるんですけど、皆さんが期待するような答えを返せないぐらい、なんの抵抗もなくて。とにかく僕らはCDデビューがしたかったんで、極端な話、もし中西さんが演歌のプロデューサーだったら演歌をやってたかもしれない。もともと僕らは1999年に、たまたま「神八剣伝」というアニメの主題歌のコンペに通った「memories」って曲で一度デビューしてるんですけど、CDが全然売れなくて、またゼロから路上ライブを始めたんですよ。その頃は僕もまだ若かったんで、アニメで失敗したと認めるのもイヤだったんです。でも、中西さんからお話をいただいたときはもう受け入れてました。多分angelaのどこかにアニメっぽい要素があるんだろうって。僕自身、子供の頃から「機動戦士ガンダム」とかも観てましたし、アニメが好きか嫌いかと言われたら好きですし。
atsuko 当時、私たちも二十代後半で、再デビューの可能性も見えないし「もう解散しよう」って話してたんですよ。その直後に中西さんと路上ライブで出会ったので「決まるにしても決まらないにしても、これが最後のチャンスだな」と、一生懸命やったっていうのはありますね。
中西 僕も背水の陣でしたから。で、結果として「明日へのbrilliant road」はオリコン15位を獲得したんですよ。
atsuko ピッタリ15位だったんだよね。私たちは「15位以内じゃないと」なんて上司命令があったことを知らなかったから、あとから聞いて「ギリギリじゃん!」って(笑)。
中西 それとangelaのお二人のデビュー1年目って、僕にとってもプロデューサー1年目で、やることなすことすべてが初めてだったんです。なので、2ndシングルの「The end of the world」(2003年8月発売)を出したときに「キャンペーンに行きましょう」とか言ってみたはいいものの、キャンペーンってどういうふうにやればいいのかさっぱりわからなくて。
atsuko そうなんですよね。なんで私たち、プロデューサーの中西さんと一緒に地方を回ったんですかね。
中西 今から考えればプロモーターが行くものなのに、なぜか僕も福岡や札幌に同行して、一緒にお寿司を食べたりしてた(笑)。
KATSU みんなでおいしいものを食べに行くのがキャンペーンだと思ってたフシがありますよね。
中西 でも、そういうのがすごく楽しかったし、メチャクチャ濃密な時間をご一緒したなって。
angelaのプロデュースワーク
──そのご一緒した時間の中で、いわゆるプロデュースワークにおいてはどのような関わり方をされてきたんですか?
atsuko 来ちゃいましたよこの質問。プロデュースワークですって(笑)。
中西 これ言っていいんですかね。実はangelaのプロデュースに関しては1mmもやったことなくて(笑)。
KATSU レコーディングに入るまでは、その作品の世界観やメッセージ、キーワードとかを説明してくれて、それに合いそうな曲調なんかも提案してくれるし、仮歌を入れたデモやプリプロの音源は今でも中西さんに最初に聴いてもらってるんですよ。でも、そこでゴーサインが出たら中西さんはどっか行っちゃって、そこからは僕らだけで作詞と編曲を詰めて本番のレコーディングに臨んで、できあがったものを中西さんにお渡しするっていう。
atsuko 中西さんからNGとかリテイクの指示が出たことが、たぶんデモの段階ですらほとんどなくて。だから「ひょっとしたら私たちが『ダメ』って言いづらい空気を出してるのかもしれない」って不審に思って「ダメならダメって言ってくださいよ!」って詰め寄ったこともあるんですけど……。
中西 ダメなところがないんですよ、「明日ブリ」のときから。KATSUさんがおっしゃった通りレコーディングのとき僕はほとんどいないんですけど、それはお二人に全幅の信頼を置いているからで、そのレコーディングの現場で何かしているよりは、できた曲を売るための仕事に時間を割いたほうがいいと思っていて。もちろん一緒にモノ作りをするのは楽しいですし、曲ができあがる瞬間に立ち会うのもすごく興奮するんですけど、そこはもうお二人に任せて、僕は僕で別のことをするようにしてるんです。
atsuko デビュー曲のレコーディングからいませんでしたからね(笑)。でも、私たちも当然未熟なわけですよ、デビューしたての頃なんて。だから音楽性に対して「こうしなさい」って言ってくれる人がいなかったのは不安ではあったんですけど、それを5年、10年、15年と続けたことによって、angelaは型にはまらない存在になれたかなって。言ってみれば中西さんは道だけ用意してくれて、そこを私たちは車で走ってもいいし、自転車に乗ってもいいし、徒歩でもいいし、どんな格好をしててもいいっていう。
中西 僕は、アニメのキャラソンとか声優さんの歌の場合はボーカルのディレクションもしますし、アレンジャーさんといろいろと詰めたりもするんですよ。
KATSU あるときキングのほかのスタッフさんから「中西さんがディレクションしてる現場がある」と聞いて「ええー!?」って驚いたんですよ。
atsuko 「なんで私たちにはやってくれないの!?」って。
中西 そもそもの出会いがさっき申し上げたような衝撃的なものだったので、その衝撃を殺さないことが一番大事だと思ったんですよね。だから音楽性の部分で僕が口を出す必要はないと言うか、むしろ手を加えてはいけないと考えていたので、今atsukoさんがおっしゃったように、angelaが進むべき道を用意するのが自分の仕事かなと。
──例えば「宇宙のステルヴィア」の次は「蒼穹のファフナー」みたいに?
中西 そうですね。僕の中では「ステルヴィア」って、もちろん大切な作品であることは間違いないんですけど、あくまで上司から与えられたプロデュース作品だったんですよね。だから同時進行で自分発信の作品も模索していて、それが形になったのが翌年の「蒼穹のファフナー」なんです。
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「100歳までがんばるから、それまで一緒にやろうね」
- angela
「angela All Time Best 2003-2009」 - 2018年10月24日発売 / KING RECORDS
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[CD2枚組] 3564円
KICS-3755~6
- DISC 1 収録曲
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- 明日へのbrilliant road
- 綺麗な夜空
- The end of the world
- over the limits
- 幸せの温度
- How many?
- merry-go-round
- butterfly
- Stay With Me
- 笑顔でバイバイ
- fly me to the sky
- in your arms
- Shangri-La
- Separation
- cheers!
- DISC 2 収録曲
-
- 未来とゆう名の答え
- DEAD SET
- Peace of mind
- 果て無きモノローグ
- 人生遊戯
- gravitation
- 恋の first run
- Beautiful fighter
- 約束
- Spiral
- Link
- 光、探せなくとも
- 此処に居るよ
- オルタナティヴ
- memories
- angela
「angela All Time Best 2010-2017」 - 2018年10月24日発売 / KING RECORDS
-
[CD2枚組] 3564円
KICS-3757~8
- DISC 1 収録曲
-
- 蒼い春
- FORTUNES
- 蒼穹
- さよならの時くらい微笑んで
- 「リアル」は…
- キラフワ
- THE LIGHTS OF HEROES
- いつかのゼロから
- KINGS
- To be with U!
- 僕じゃない
- ANGEL
- 遠くまで
- バイバイオーライ
- キラキラ-go-round
- DISC 2 収録曲
-
- シドニア
- Different colors
- イグジスト
- 暗夜航路
- その時、蒼穹へ
- 愛、ひと欠片
- 騎士行進曲
- DEAD OR ALIVE
- ホライズン
- 愛すること
- KIZUNA
- 僕は僕であって
- 全力☆Summer!
- Calling you
- 笑顔をみせて
- angela(アンジェラ)
- 岡山県出身のatsuko(Vo)とKATSU(G, Key)による2人組ユニット。それぞれ音楽を志し上京したのちに結成し、2003年にテレビアニメ「宇宙のステルヴィア」のオープニング主題歌「明日へのbrilliant road」でメジャーデビュー。1stシングルながらオリコン週間シングルランキングで15位をマークし、瞬く間にアニメソングシーンで存在感を示す。以来「蒼穹のファフナー」シリーズ、「アスラクライン」、「K」シリーズなど、多くの人気アニメの関連楽曲を担当している。2014年には5月にアニメ「シドニアの騎士」のオープニングテーマ「シドニア」を発表。この曲は同年、アニメファンが選ぶ「アニメーション神戸賞」で主題歌賞を受賞した。2017年3月に自身初の東京・日本武道館単独公演「angelaのミュージック・ワンダー★特大サーカスin日本武道館~僕等は目指したShangri-La~」を開催。同年12月にはニューアルバム「Beyond」をリリースした。2018年5月に山梨・河口湖ステラシアターにて、メジャーデビュー15周年を記念したライブ「angela 15th Anniversary Live」を実施。10月にはベストアルバム「angela All Time Best 2003-2009」「angela All Time Best 2010-2017」を同時リリースし、東京・日比谷野外音楽堂にてワンマンライブ「angela Live 2018 All Time Best in 日比谷野音」を開催する。
2018年11月27日更新