2003年にテレビアニメ「宇宙のステルヴィア」のオープニングテーマ「明日へのbrilliant road」で、キングレコードからメジャーデビューを果たしたangela。デビュー以降、数々のアニメタイアップを獲得し続けてきたangelaが、アニメ業界から重宝される理由はなんなのか? 音楽ナタリーではデビュー15周年を記念して、angelaの魅力に迫る特集記事を計3回にわたって展開する。
第1回の特集では、atsuko(Vo)とKATSU(G, Key)のストレートインタビューを実施。2人には数々のアニメタイアップ曲が披露され、キャリアの重みを感じさせるライブを行った15周年記念ライブ「angela 15th Anniversary Live」を振り返ってもらったほか、劇場版アニメ「K SEVEN STORIES」のオープニング主題歌として制作された新曲「SURVIVE!」を切り口に、アニメ作品に寄り添い続ける2人の活動スタンスにまつわる話を聞いた。
取材・文 / 須藤輝 撮影 / 西槇太一
- angela デビュー15周年特集
私の10日間分のモヤモヤをどうしてくれるんだ
──5月に河口湖ステラシアターで行われた15周年記念ライブ、雨が心配されましたが天候にも恵まれて、素晴らしかったです(参照:angela、河口湖で歴史を振り返る25曲熱演「これがangelaの15年」)。
atsuko(Vo) もうね、ライブの10日前から毎日、週間天気予報を見てたんですけど……。
KATSU(G, Key) 僕もお天気アプリを新たに2つ入れるくらい心配してました。
atsuko あの野外ステージで、客席から富士山が見えるのか見えないのか、屋根を開けるのか閉めるのか……もう気が気じゃなくて。でもずっと雨マークで、しかもどんどん降水確率が高くなって「もうダメじゃん」って思ってたら、当日めっちゃ晴れて。私の10日間分のモヤモヤをどうしてくれるんだと(笑)。
KATSU 選曲も演出も1カ月くらい前から徐々に固まってきてたんですけど、全部晴れることを前提に考えてたので、ホントに雨が降ったら終わりだった。
atsuko 空にまつわる歌を集めたセットリストを考えてたから、肝心の空が見えなかったらどうしようって。
KATSU ただその一方で、僕がTwitterで「天気は大丈夫かな」みたいにつぶやいたとき、ぢぇらっ子(angelaファンの呼称)のみんなから「雨が降ったら残念です」的なリプライが全然なくて。むしろ「降ったら降ったで面白そう」とか、そういう反応が多かったんです。だから、結果的に晴れて万々歳だったんですけど、仮に雨だったとしても、「それは僕らにとって必要なことなのかもな」って思える自分もいて。多分デビューしたての頃はそんなふうに思えなかっただろうし、15年かけてそういう自分ができあがったのかなって。
atsuko もし雨だったら「私がみんなの太陽です」って言い張ってたかもしれない。
KATSU まあ、そんな心配も杞憂に終わり、河口湖ステラシアターならではの心地よい太陽の光と空気に包まれながら15周年をお祝いできました。しかもライブのあと、ステラシアターのスタッフの方に「ステラシアターが本当に見せたかったステージを、angelaさんが実現してくれた」と言っていただいたんです。
atsuko 晴天の下、富士山を背景に、ステージ後方の芝生スペースまで目一杯使ったので。あの場でたくさんのライブを観てきた方がそうおっしゃってくださったのが、ホントにうれしかったですね。
──日中はステージと富士山が地続きのように見えたし、陽が落ちてからは芝生に配置されたミラーボールがキラキラしていて、見事なステージでした。
atsuko ただ、1つだけ問題があるとするならば、明るい時間からライブを始めることなんですよ。私はめちゃくちゃ視力がいいので「あ、〇〇さんが来てる」とか、客席にいる人たちの顔が全部わかっちゃって。皆さんの顔がよく見えること自体はすごく楽しんですけど、ふと「あれ? なんでKATSUさんのお母さん、席を立ったんだろう?」とか。
KATSU 「トイレかな?」とかね。
atsuko そういうのを気にした瞬間、歌詞を間違えそうになるんですよね。
──2曲目の「蒼穹」で、出だしのタイミングが合わなくて1度演奏を止め、直前のMCからやり直したのも、それが影響していたりするんですか?
KATSU あれは、台本ですから(笑)。
atsuko そうそう。やっぱりライブ開始直後はね、お客さんも多少の緊張感があるんですよ。それをほぐすには、私たち自身がまるで失敗したかのような演出を……って、ひどい言い訳だねこれ(笑)。
──実際、ほぐれましたけど(笑)。
atsuko ホントですか? たぶん、デビューして2、3年だったらああいうことはできなかったと思うんですよね。でも、今回のライブはWOWOWさんでも放送が決まってたし、「出だしをとちったまま1曲やっても使えないな」とか、瞬時に頭の中で計算が働きまして「よし、仕切り直そう」と。
KATSU 本来はね、プロとしてちゃんとしなきゃいけないんですけどね。とは言え、どれだけリハーサルを重ねても本番では何が起こるかわからないし、何か起こったときにそれを笑いに転じられるというのは、この15年でangelaが培ってきた……話術?
──話術ですか(笑)。
KATSU 話術も含めた、いろんな経験の積み重ねのおかげですね。
10周年からの濃密な5年間
──ライブでお二人は15周年を「通過点」と位置付けてらっしゃいました。10周年のインタビューでも、同じく「通過点」とおっしゃっていましたが、10周年と15周年とで気持ちに違いはありますか?(参照:angela「シドニア」「宝箱2」インタビュー)
KATSU 10周年のときは、不安が大きかったような気はしますね。その頃までは、よくも悪くもangela=「Shangri-La」みたいなイメージをずっと引きずっていて「『Shangri-La』を超える曲を作らなきゃいけない」みたいな気負いがあったんです。でもそこからの5年間は非常に濃密というか、「シドニア」しかり「全力☆Summer!」しかり、いろんなアプローチができて。
atsuko 曲に遊びを入れられるようになったよね。10周年の頃までは、angelaの曲は歌モノが多かったんです。つまりあくまで歌を聴かせることに主眼を置いていたんですけど、6thアルバムの「ZERO」を出したあたりから、例えばコール&レスポンスがあったり、わかりやすい振付があったり、ライブでお客さんを巻き込めるような曲が増えていったんですよね。あと、こう言っちゃなんですけど、私たちもいい年なんで(笑)。
KATSU 結成25年目ですから。
atsuko 普通はある程度年をとってくると落ち着いてくるじゃないですか。でも、私たちはそうじゃないところがあって。
──結成24年目でバナナの着ぐるみを着てましたからね(参照:angela、バナナすぎる新ビジュアルで従来のイメージを“Beyond”)。
atsuko さらに河口湖ライブのパンフレットでは富士山の着ぐるみも着てますから(笑)。でもそれってデビューして10年間ちゃんと歌モノを作ってきたからこその結果だと思うんですよね。「そこから先はちょっと遊んでもいいのかな」って。そういう意味では、10周年のときは「この先もやっていけるのかな?」とか「まだこの業界で必要とされるのかな?」とか、さっきKATSUさんも言ったように不安が大きかったんですけど、15周年に関しては「いや、まだまだ面白いことやりたいし」みたいな気持ちが強いですね。
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ぢぇらっ子のみんななら歌える
- angela「SURVIVE!」
- 2018年7月18日発売 / KING RECORDS
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期間限定盤 [CD]
1404円 / KICM-91853 -
通常盤 [CD]
864円 / KICM-1854
- 期間限定盤収録曲
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- SURVIVE!
- KINGS Live ver.
- To be with U! Live ver.
- KIZUNA Live ver.
- SURVIVE! off vocal ver.
- 通常盤収録曲
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- SURVIVE!
- SURVIVE! off vocal ver.
- ライブ情報
angela「angela LIVE 2018 All Time Best in 日比谷野音」 -
- 2018年10月27日(土) 東京都 日比谷野外大音楽堂
- angela(アンジェラ)
- 岡山県出身のatsuko(Vo)とKATSU(G, Key)による2人組ユニット。それぞれ音楽を志し上京したのちに結成し、2003年にテレビアニメ「宇宙のステルヴィア」のオープニング主題歌「明日へのbrilliant road」でメジャーデビュー。1stシングルながらオリコン週間シングルランキングで15位をマークし、瞬く間にアニメソングシーンで存在感を示す。以来「蒼穹のファフナー」シリーズ、「アスラクライン」、「K」シリーズなど、多くの人気アニメの関連楽曲を担当している。2014年には5月にアニメ「シドニアの騎士」のオープニングテーマ「シドニア」を発表。この曲は同年、アニメファンが選ぶ「アニメーション神戸賞」で主題歌賞を受賞した。2017年3月に自身初の東京・日本武道館単独公演「angelaのミュージック・ワンダー★特大サーカスin日本武道館~僕等は目指したShangri-La~」を開催。同年12月にはニューアルバム「Beyond」をリリースした。2018年5月に山梨・河口湖ステラシアターにて、メジャーデビュー15周年を記念したライブ「angela 15th Anniversary Live」を実施。同年7月には劇場版アニメ「K SEVEN STORIES」の共通オープニング主題歌「SURVIVE!」をシングルリリースする。
2018年11月27日更新