「全力☆Summer!」はある意味ミクスチャー

──その武道館ライブでタイアップが発表されたテレビアニメ「アホガール」のオープニングテーマ「全力☆Summer!」について伺います。今回の曲は歌詞もサウンドもにぎやかですが、どのように生まれたのでしょうか？

atsuko　原作を読みまして、こういう言い方もあれなんですけど、本当にアホなんですよ。angelaの今までのタイアップ作品にはないテイストだったので、そのアホさとスピード感を音楽でどう表現すればいいかを考えました。早口言葉を入れようとか、いきなり演歌みたいにしようとか、でもサビはやっぱりキャッチーで楽しい感じにしたいとか……そういったやりたい要素がいろいろあったので、そのさじ加減が難しかったです。

KATSU　今回はミュージシャンのアイデアがけっこう役立っています。僕らの周りにはもう十何年も付き合ってきて、「この人なら面白いアイデアを出してくれるだろう」「面白い楽器の使い方をするな」と信頼できる人ばかりです。どちらかと言うと知的と言うよりは感覚でやっているバカばっかなんですけど（笑）、そういった人たちが出してくれるアイデアがいいアクセントになっていたり、レコーディング中にアクシデントがあってもそれをそのまま使ったりしました。

──曲調もどんどん変わって、聴いていて楽しいです。

KATSU　今回はatsukoのアイデアがすごくて、また突拍子もないことを言うんですよ。「演歌っぽくしよう」とか「間奏は音頭にしよう」とか。それらを強引にはめ込むとこうなりました。ある意味ミクスチャーですね。

atsuko　私はあまり難しいことを考えずに「いいじゃん、テンポ落とせば」とか言いがちなんです。でも「そんなのダメだよ」と言って却下しないところがKATSUさんはすごいなと思っています。あと、テレビアニメで流れる主題歌は基本90秒ですけど、このアニメは60秒なんですよ。より短くなる中でどうやって表現するかというのも考えました。「どこまで要素を入れるんだ」とか「尺に収まらないからもっとテンポを速くしよう」とか。

KATSU　30秒短い分難しい作業になると思われるかもしれませんが、意外と大丈夫でした。CMみたいに15秒で曲のインパクトを付けるとか、angelaはそういう短距離走のほうが得意なのかもしれません。

atsuko　でも私たちは隙間を作るのがすごく苦手で、隙あらばどちらかがアピールしたがる（笑）。だから60秒、ほぼ歌いっぱなしです。

KATSU　「あれ、今何か流れたの？」と気付いたら終わる感じですね。歌詞もCD版とアニメ版で違う部分もあるし、ぜひ両方聴いてほしいです。

──こうした軽快な曲を聴くと、2010年にテレビアニメ「生徒会役員共」のエンディングテーマとして発表された「蒼い春」を思い出します。

KATSU　「蒼い春」は「angelaっぽくない」とか「作品に寄り添って、変わった曲を作ったらこうなったんだね」という声があったんですよ。でも僕らとしては変化球のつもりはなくて、どのタイアップ曲もアニメ作品を受けての直球なんです。僕らもあれからいろんな活動をしてきたので、今回こういう曲を出しても「ああ、angelaだな」と感じてもらえたらうれしいです。

着ぐるみも貸してくれそうなバナナの先輩

──「全力☆Summer!」のミュージックビデオでは、衣装やシチュエーションが目まぐるしくチェンジしています。撮影が大変だったのではないでしょうか？

KATSU　19時間かかりました。でも監督の頭の中にははっきりとした完成形があって、スケジュールもきっちり決まっていたので、通常の撮影より少し長かったかなあくらいの感覚です。疲労度もこれまでに比べたら全然。

atsuko　演奏シーンが少ないからね。それもどうかと思うけど（笑）。どんどん撮影の内容が変わるから気分も変わるし、あっという間に感じました。着物だけでもカルタをするときと櫓の上で歌うときの2種類用意されていたんですよ。ぜいたくですよね。

──そのMV内でも登場しますし、今作関連のビジュアルでは「アホガール」の主人公が大好物のバナナが多用されています。あのバナナは食べられたのでしょうか？

KATSU　そうです。安いバナナから高いバナナまで、いろんなバナナを用意していただいていて。

atsuko　撮影終了後にスタッフみんなでおいしくいただきました。「このバナナまだ若いな」とか言いながら。バナナってすごいですよ。食べるのが楽だし。それこそ「バナナうめぇ……」ですよ。

KATSU　「全力☆Summer!」や「アホガール」の現場には、誰かがお土産として買ってきたバナナが必ず置いてありましたね。

──そう言えば最近、日高のり子さん、山寺宏一さん、関俊彦さんという大御所声優3人によるユニット・バナナフリッターズが復活ライブをしていましたね（参照：山寺宏一、日高のり子、関俊彦が22年ぶり復活ユニットでバナナ姿に）。

atsuko　22年ぶりの復活でしたけど、あのライブは私たちも2人でお邪魔しまして。

KATSU　アンコールで皆さんがバナナの着ぐるみで出てきたときは、もうバナナの先輩として尊敬の眼差しで見てしまいましたよ。「こうすればいいんだ！」って。

atsuko　先日ある打ち上げで近くになった日高さんから「バナナの着ぐるみ、貸すから」と言われて。「え、本当ですか？ でも特注ですよね？」って聞いても「いいから、貸すから」って。

──エンタテインメント性も重視するangelaとしては負けてられないですね。

KATSU　いや、あの人たちには勝てないでしょう（笑）。そもそも借りられないですよ！