ナタリー PowerPush - angela
トレンドセッターとしての矜持と興味
面白くないからソから始めない
──新しいアレンジ、それもグループの中で相対的に新しいというわけではなくて、ホントに誰も聴いたことのないアレンジを完成させた上に、歌詞やボーカルでも新しい挑戦をした楽曲を作り上げた今というか、12年目に突入するこれから何をしましょう?
atsuko 何か劇的に変化するっていうことは実はないのかなあっていう気はしてます。次に出す劇場版「K MISSING KINGS」の主題歌(「Different colors」)のレコーディングももう終わってるんですけど、テレビアニメ版「K」の主題歌だった「KINGS」の遺伝子を引き継いだ曲になってますし。「KINGS」をよしとしてくれたアニメファンの皆さんの気持ちには応えたいですから。最近は「K」に限らず2ndシーズンや続編的なアニメの楽曲を作ることもすごく多くなっているので、前作と似たり寄ったりの主題歌を作ることはもちろんしないけど、新しさや進化を感じさせつつも、やっぱり前作のファンの希望には沿いたいですし。
──そしてカップリングの「My Life」なんですけど……。
atsuko 敗北感がすごいですよね(笑)。
──敗北感とまでは言わないものの(笑)、アコースティックギターメインのスローバラードで「どれくらい 惑っても 行くしかない My life」「永遠の眠りに 堕ちていく時に きっとあなたの事 浮かんでくるだろう」って歌っているのはちょっと驚きでした。
atsuko 「シドニア」って仕事に行くときに聴くと主人公感がすごいんですよ。なんかこれから戦いに赴くというか、「行くぜ!」っていう気にさせてくれて。
──この取材場所に来る地下鉄の中で「シドニア」を聴いていたときまさにそういう気分になりました(笑)。
atsuko だから我がことながら「My Life」はビックリするだろうなとは思います。「戦え!」って言った直後に「負けましたー!」って言い出してるから(笑)。
KATSU CDで聴いてもらうことをイメージした並びなんですよね。「シドニア」「My Life」を聴いたときのテンションの変わりようって配信じゃ味わえないですから。
atsuko うん。テンポ感的にも歌っていること的にも真逆の曲を並べてみたら面白いかなっていう気持ちはありましたね。
──じゃあ「シドニア」が完成したあと、バラードを作ろうっていう話に?
atsuko いや「シドニア」より前に作った曲なんです。録ったあと、どのCDに収録するかは決まってなかったんですけど、「『シドニア』のカップリングをどうする?」って話になったとき「あっ『My Life』があった!」って。で、実際に「シドニア」と並べてみたら、すごい敗戦感が出てくれたので「あっ、これ面白いな」って(笑)。
──では「My Life」制作当時、なぜこういうバラードを作ろうと?
atsuko メロディや曲ありきだったんですよ。去年のいつ頃だったか、私がなんとなくこの曲のAメロのフレーズをピアノで弾いたら、KATSUが「それいいじゃん!」ってなって。でもサビは悩みましたね。というのも、KATSUにはサビの歌い出しの音がコードトーンだとダメっていうこだわりがあって……。例えばGからサビが始まるなら、歌い出しはソじゃダメなんですよね。
──せめてIII度のシかV度のレにしろ、と(笑)。
KATSU そうですね。だって面白くないから(笑)。
atsuko それでなかなかサビのメロディが決まらなかった思い出はあります。
シリアスな状況の中に希望の光を見ながら生きて終わる
──atsukoさん曰く「敗戦感」あふれるこの詞はどういうきっかけで生まれました?
atsuko 最終的にはみんな死にますから(笑)。150年後にはこの地球上の人間はほぼすべて入れ替わるわけですし。「結局、死んじゃうのか」みたいなことを考えることがあるんですよね。そういうときにふわっと出てきた言葉なんですよね。
──「シドニア」では「打ち砕け」「生きるため」と威勢よく歌っているものの、どこか厭世的になっている自分がいる?
atsuko ごくまれに(笑)。もちろん日々の生活を楽しんでいる自分もいるんですけどね。例えばおいしい焼き肉を食べたときとか(笑)。
──失礼ながら、お手軽すぎる気が(笑)。
atsuko 「軽っ!」って感じですよね(笑)。あとスケジュールに追われて「うわー、もう間に合わない!」ってなる瞬間が多々あるんですけど、その一方で「なんとかできた! よかった!」って思える瞬間もあって。そのギリギリの繰り返しに焦ったり、ちょっとしたことを楽しんだりしながら、一生を過ごしていって、死ぬんだろうなっていう気はしています。で、やっぱり死はうれしいものではないから、敗戦感は少しある。シリアスな状況の中にも希望の光を見ながら生きていって、そして終わるのが、私の人生、「My Life」なんだろうなっていう歌詞なんですよ。
- ニューシングル「シドニア」 / 2014年5月21日発売 / 1296円 / KICM-3277 / スターチャイルド
- ニューシングル「シドニア」 / 2014年5月21日発売 / 1296円 / KICM-3277 / スターチャイルド
- 収録曲
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- シドニア
- My Life
- シドニア off vocal ver.
- My Life off vocal ver.
- ベストアルバム「宝箱2 -TREASURE BOX II-」 / 2014年5月21日発売 / スターチャイルド
- 初回限定盤 [2CD] 3900円 / KICS-93058
- 通常盤 [CD] 2600円 / KICS-3058
- DISC 1収録曲
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- Beautiful fighter
- 約束
- Spiral
- Galactic material
- オルタナティヴ
- 蒼い春
- FORTUNES
- 蒼穹
- かべ2
- キラフワ1
- THE LIGHTS OF HEROES
- KINGS
- 僕じゃない
- over the limits 〈EURO HISTORIA〉
- 笑顔でバイバイ
- DISC 2 -BALLADE COLLECTION-収録曲
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- The end of the world
- 幸せの温度
- Proof
- 笑い者のFairy tale
- Separation[pf]
- 果て無きモノローグ
- Peace of mind
- Darling
- Link
- へんじ
- Shangri-La[mf]
- Blu-ray「宝箱と宝箱2が入ったブルーレイで聞くやつ」
- 2014年5月21日発売 / 5400円 / KIXY-1 / スターチャイルド
- 収録内容
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- 「宝箱 -TREASURE BOX-」「宝箱2 -TREASURE BOX II-」収録曲+その全ての楽曲のoff vocal ver.を収録した全96曲
angela(アンジェラ)
岡山県出身のatsuko(Vo)とKATSU(G, Key)による2人組ユニット。それぞれ音楽を志し上京したのち結成し、楽曲制作を続けるかたわら、2000年頃より代々木、池袋などで路上ライブを積極的に展開。そのライブを通じて多くのファンを獲得すると同時に、現在の所属レーベル関係者との出会いを果たし、2003年シングル「明日へのbrilliant road」でメジャーデビュー。シングル表題曲とカップリング「綺麗な夜空」がテレビアニメ「宇宙のステルヴィア」のテーマソングに起用されたこともあり、1stシングルながらオリコン週間シングルランキングで15位をマークし、瞬く間にアニメソングシーンで存在感を示すこととなる。以来、アニメ「蒼穹のファフナー」の主題歌「Shangri-La」や、アニメ「アスラクライン」主題歌「Spiral」、アニメ「K」主題歌「KINGS」など、多くの人気アニメのテーマソングを担当。また「Animelo Summer Live」やアメリカの「SAKURA-CON」、カナダの「CANADIAN NATIONAL EXPO 、フランスの「Japan Expo」、など、国内外の大型アニメ系イベントにも多数招へいされる。2013年4月にはデビュー10周年記念アルバム「ZERO」をリリースしオリコン週間アルバムランキングで10位を獲得。11月にはデビュー10周年第1弾作品となる両A面シングル「ANGEL / 遠くまで」を発表。2014年5月には11周年第1弾作品としてシングル「シドニア」、ベストアルバム「宝箱2 -TREASURE BOX II-」、同作と2007年のベスト盤「宝箱 -TREASURE BOX-」の楽曲を収録したBDM(Blu-ray Disc Music)盤「宝箱と宝箱2が入ったブルーレイで聞くやつ」を同時リリースした。