「Memento mori with Aimer」は構想8年の大作
内澤 以前、映画のイベント(スターダストプロモーションのグループ会社に所属する映画監督の作品を集めた上映イベント「STARDUST DIRECTORS film fes. 2017」)のティーチインで話をさせてもらったとき、月川監督が「自分が撮りたいものを撮るより、お題をもらって、それに応えるほうが楽しい」と言ってたことがすごく印象に残っていて。
月川 「好きなものを自由に撮っていい」と言われると、「どうしよう」と思ってしまうんですよね。逆に「こういうテーマでやってほしい」というものが先にあると、どんなに難しくても「やってみよう」という気持ちになれるので。内澤さんはどうですか?
内澤 タイアップの楽曲は先にテーマがあったりしますけど、それ以外はほとんど自分から出てきたものですね。今回のアルバムに入っている「Memento mori with Aimer」のアイデアは8年くらい前から考えていたんです。
月川 え、そんなに前から?
内澤 はい(笑)。LとR、それぞれのアングルから同じ事象を描いてみたいと思って。左右で違う物語が同時進行して、一緒に聴いても成立している曲なんですけど、何度チャレンジしてもなかなか形にならなくて。今回ようやく完成しました。
月川 テーマと言うより「この手法で作ってみたい」ということですね。それにしても大作ですね、この曲は。
内澤 構想8年なので(笑)。映画を撮り終えたときって、こういう感じなのかなって思いました。
月川 今の話を聞いて、この曲を映像にすると面白そうだなと思いました。違うストーリーが同時に進んでいって、最後に1つになるっていう。「このMVはぜひヘッドフォンで聴きながら観てください」とお願いしないと(笑)。
内澤 この曲のティザー映像を作るとしたら、月川監督が賞を取った「The time walker」(2009年に行われたショートフィルムのコンペティション「ルイ・ヴィトン・ジャーニーズ・アワード」でグランプリを獲得した作品)のような感じがいいなと思ってたんです。時間の経過、変わらないものと変わるもの、生と死が表現されている映像で、まさにあのイメージだなって。
月川 トンネルを使って、2分間で人生を描こうとした作品ですからね。よかったらそのまま使ってください(笑)。
話題作ならではの「いい時期の役者さんの時間を預かっている」責任感
──月川監督は4月27日から公開される「となりの怪物くん」をはじめ、今年も新作の公開がすでに3本控えています。
内澤 常に新作が公開されてますよね。しかも話題作ばかり。
月川 ありがたいことに、勢いのある役者さんたちの仕事をさせてもらえる機会が多いんですよね。“ゾーン”に入っている役者さんを間近で見られるのは楽しくてしょうがないですし、いい時期の役者さんの時間を預かっているという責任感もあって。
内澤 プレッシャーを感じることもありますか?
月川 ありますけど、監督としてやる作業は変わらないですからね。映画を観てくれる人を楽しませたいということも同じなので、そこに集中している感じです。
内澤 そこは僕らと共通していますね。聴いてくれる人が喜んでくれたり、驚いてくれる音楽を作りたいし、そのためにがんばろうと思うので。ただ前作の「blue」のときはちょっと違ってたんですよね。“闇”をテーマにして作ったアルバムで、自分たちの中にある毒を吐いた感じもあって。「このアルバムはどんな人が聴いてくれるんだろう?」という思いもあったんですが、当時はインディーズというフィールドだったし、とにかくやりたいことをやろうと。そのときの経験があったからこそ「Prism」という曲が生まれたし、今回のアルバムにつながったと思うんです。闇を知ったからこそ、本当に光の眩さがわかったと言うか。
月川 それもさっき言ってた「表現の選択肢が増えた」ということですよね。
内澤 はい。月川監督のすごさも表現の選択肢がたくさんあることだと思うんですよ。作品によって表現方法は違うんだけど、そのチョイスがすごく的確で。しかも、どの映画を観ても「月川監督の作品だ」とわかるっていう。
月川 ありがとうございます。
内澤 そう言えば以前、道でばったり会ったときに「これから映画を観に行く」って言ってたじゃないですか。普段からよく観られるんですか?
月川 観るようにしてますね。今の映画館でどんな映画が上映されていて、どういうふうに受け止められているか知っておかないと、いつの間にかズレてしまうこともあると思うので。特に僕は若い人向けの映画を撮らせてもらうことが多いですからね。この前、学校の中のシーンを撮ってるときに、小道具として紙の辞書を用意しておいたんですね。ふと「もしかして、今は電子辞書なのかな」と思って若いスタッフに聞いたら「そうですね」って言うから、「何で言ってくれないの!」って(笑)。
内澤 歌詞を書いてるときも、そういうことが気になることはありますね。今の高校生がどんな感じなのか、よくわからないじゃないですか。
月川 じゃあ、次は一緒に高校の見学に行きましょう(笑)。
- androp「cocoon」
- 2018年3月7日発売 / image world / ZEN MUSIC
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初回限定盤 [CD+DVD]
4212円 / UPCH-7399 -
通常盤 [CD]
3240円 / UPCH-2152
- CD収録曲
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- Prism
- Arigato
- Joker
- Hanabi
- Sorry
- Catch Me
- Sleepwalker
- Kitakaze san
- SOS! feat. Creepy Nuts
- Proust
- Ao
- Memento mori with Aimer
bonus track
- Tokei(album ver.)※通常盤のみ収録
- 初回限定盤DVD収録内容
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studio live
- Catch Me
- Proust
- Hanabi
- SOS!
- one-man live tour 2018 "cocoon"
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- 2018年4月28日(土)愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
- 2018年5月3日(木・祝)宮城県 電力ホール
- 2018年5月12日(土)福岡県 福岡国際会議場
- 2018年5月26日(土)大阪府 NHK大阪ホール
- 2018年6月3日(日)神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
- androp(アンドロップ)
- 内澤崇仁(Vo, G)、佐藤拓也(G, Key)、前田恭介(B)、伊藤彬彦(Dr)の4人組ロックバンド。2009年12月に1stアルバム「anew」でデビュー。2011年2月にメジャー第1弾作品となる3rdアルバム「door」をリリースした。2014年3月には東京・国立代々木競技場第一体育館で行われた初のアリーナ単独公演を実施。2016年3月に自主レーベル・image worldを設立し、10月には4thアルバム「blue」を発売。2017年2月からはユニバーサルミュージック内のZEN MUSICとタッグを組み、シングル「Prism」をリリース。さらに初のコラボ楽曲「SOS! feat. Creepy Nuts」の発表、東京・日比谷野外大音楽堂での初の野外ワンマンライブなど精力的な活動を展開した。内澤は楽曲提供も多数行っており、これまでに柴咲コウ「EUPHORIA」「ラブサーチライト」、Aimer「カタオモイ」「twoface」などを手がけている。2017年2月公開の映画「君と100回目の恋」では、劇中バンドのThe STROBOSCORPが歌う「アイオクリ」を作曲した。2018年1月には映画「伊藤くん A to E」の主題歌として書き下ろした「Joker」をシングルリリース。3月に約3年ぶりのアルバム「cocoon」を発表し、4月より全国ワンマンツアーを行う。
- 月川翔(ツキカワショウ)
- 1982年8月5日生まれの映画監督。東京芸術大学大学院映像研究科修了。在学中は、教授である黒沢清や北野武のもとで「心」など4作品を制作する。ウォン・カーウァイ、ソフィア・コッポラらが審査員を務めた「LOUIS VUITTON Journeys Awards 2009」にて審査員グランプリに輝き、「グッドカミング~トオルとネコ、たまに猫~」で「SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2012」のミュージックShort部門シネマティックアワード・優秀賞を受賞した。これまでの監督作に「君と100回目の恋」「君の膵臓をたべたい」、ドラマ「ダメな私に恋してください」などがある。4月には菅田将暉と土屋太鳳のダブル主演作「となりの怪物くん」が公開。その後は竹内涼真と浜辺美波出演の「センセイ君主」、秋には「響 - HIBIKI -」の公開も控えている。