途中で挫折してたら、「やってよかった」とすら思えてなかった

──1曲目の「Yeah!Yeah!Yeah!」と2曲目の「From here」で、「まっすぐ」と歌ってるのも印象的でした。

内澤　「まっすぐ」って言えるようにもなったし、曲調もまっすぐにできた。僕、ひねくれものなので、どうしても屈折しがちだったんですけど、ストレートなカッコよさ、強さを表現できてきてますね。

──内澤さん以外の3人はひねくれてないんですか？

前田　いや、全員ひねくれものかな（笑）。

佐藤　結局ね、ストレートな表現ができるようになって、そういう曲がいっぱい集まってるアルバムの最後に、ひねくれた「You Make Me」が入ってるでしょ？

伊藤　本当だね。

──「Alternative Summer」も変わってますよね。夏というワードを使って、こういうテーマを歌うのは。サウンドはマスロック的で変拍子だし。

前田　ストレートじゃないねー。

内澤　オルタナティブと夏をくっつけるあたりが、ひねくれてますね（笑）。

──「Alternative Summer」の「知らない未来が闇に紛れてる」っていう歌詞は、今のandropが一番伝えたいメッセージだったりするんじゃないですか？

内澤　根本的に伝えたいのはそういう思いですね。代々木第一体育館の前で誰からも見向きもされなかった頃からずっと音楽を続けてきて代々木のステージに立てたこととか、本当にあきらめなければ追ってた夢は叶うこともあるんだなって。途中で挫折してたら、「やってよかった」とすら思えてなかった。自分が経験してきたからこそ伝えられることは伝えたいし、歌いたいです。

──シングル「Shout」収録の3曲（「Shout」「Run」「Alternative Summer」）における「叫び」というテーマは、アルバムでも続いてる気もしました。

内澤　それはありますね。なぜ叫ぶかっていうと、心の中にモヤモヤがあったりだとか、外に出したい何かがあったりするからだと思うんですけど、そうした感情的なものは今回のアルバムにも詰まってます。

──あと、一番びっくりした曲が「Letter」。夏っぽいメロウなヒップホップというか、こういうのもやるんですね。

内澤　「Letter」はアルバムの中で一番異質かもしれない。この曲だけ、GARAGEでやってる頃からあった曲なので。

佐藤　唯一、ストックから掘り出してきたんだよね。

内澤　そう。ずっと寝かしてあって、今回のタイミングでもっとカッコよくできるんじゃないかって話になったんですよ。知識なんてない頃に作ったので、音楽理論的にはメチャクチャなんですけどね。ベースとギターの上にこのメロディが乗ると、ひたすら不協和音ばっかりになるっていう（笑）。でも、1回それを全部直してみたら、すごくつまらない曲になってしまって。だから、逆に不協和の気持ちよさを生かしてみました。

僕たちは毎日アップデートしてる

──素晴らしいアルバムが完成したわけですけど、最後にこれからのandropについて考えてることを聞いてもいいですか？

伊藤　まっすぐな表現がアルバムでできたんですけど、それをライブで表現するためにはもっと努力しなきゃいけないなと。早いストレートを投げるために、しっかりとした下半身が必要なように、1つひとつの積み重ねでできるようになっていくと思うので、新しいことへの挑戦を楽しみつつ、地に足付けて土台を見直したいですね。

佐藤　自然体で作って、自信の持てるアルバムができたのは大きいと思います。次のツアーでは、コンセプトありきでもコンセプトを全部取っ払ってでもOKな、両極端のライブができるバンドになっていきたいです。

内澤　自分たちが作る楽曲が、自分たちにしかできない寄り添い方をするように、音楽をちゃんと届けたいと思ってます。聴いてくれた人が「背中を押してもらったからがんばろう！」とか、つらい気持ちがちょっと救われたと感じられる曲を作っていきたい。やりたいこと、ありすぎますね。バンドはどんどん進化していくんじゃないかな。

前田　ここまで5年やってきて、今回のアルバムが出せて、やっと「自分たちがandropだ！」って胸を張って言えるようになれたんですよね。音源もそうだし、ライブもすごくいい状態なんですけど、僕たちは毎日アップデートしてるので、もっとよくなる！ だから、新作を聴いて、最新のandropを観に来てもらいたい思いが強いです。