ナタリー PowerPush - 安東由美子

OLからシンガーへ転身「私が歌い始めた理由」

その存在がどうにもこうにも気になってしょうがないアーティストが登場した。名前は安東由美子。音楽プロダクションのOLから突如シンガーソングライターへと転向し、デビュー曲はいきなり根岸孝旨プロデュース。楽曲は昭和の歌謡曲を想起させる懐かしさに満ちあふれ、シングルのジャケットにはセーラー服を着てホテル街を歩く自身の写真を使用し、さらに時代を感じさせるフォントで「平凡ガール」なるタイトルが踊る。果たして彼女は何者なのか? その実態に迫ってみたい。

取材・文 / もりひでゆき インタビュー撮影 / 中西求

「平成の時代に80年代を表現する人が出てきたか!」

──音楽業界のOLからシンガーソングライターへの華麗な転身というプロフィールがまず目を引きますね。

安東由美子

全然華麗じゃないんですよ。普通に音楽系のプロダクションで印税計算や経理をしていました。去年の秋くらいから本格的に音楽活動をするようになったので、ちょっと両立はできないっていうことで、えいやー!と今年会社を辞めました。

──音楽に携わる仕事を選んでいたということは、元々音楽好きだったと。

すごく歳の離れた姉が80年代の音楽をよく聴いていて、それに影響されたんです。小学生ぐらいから私も80年代のテレビ番組の再放送なんかを観てて、その後はバンドの音楽にもハマって、ゆくゆくは音楽業界に行きたいなと思うようになったんです。

──安東さんのフェイバリットは、やはりそういった80年代の音楽ですか?

そうですね。80年代の黄金ポップスばかり聴いてました。カラオケが流行り始めたころはもう大人だったんですけど、そこでも昔の歌をさかのぼって歌ってましたね。早見優さんの「夏色のナンシー」とか、中山美穂さんとか小泉今日子さんとか、中森明菜さんとかチェッカーズとか。

──そういうお話を聞くと、安東さんが今やられているどこか懐かしい音楽性にも納得がいきますね。

自分では全然意識してなかったんですけど、リスペクトしているフラワーカンパニーズのグレートマエカワさんが、プロデューサーである根岸(孝旨)さんと一緒にやってるラジオにゲストでいらしたときに「なんか昔っぽいよね。この平成の時代に80年代を表現する人が出てきたか!」って言われたときに「ああ、そうか」と気づかされたんです。そこで根岸さんも「そうかそうか」っていうことになって、今回のシングルが80年代っぽい懐かしい感じの仕上がりになってしまった感じなんですよね。

曲が生まれたときに改めて夢を思い出した

──音楽業界へ就職するのではなく、最初から自分で音楽活動をしようとは思わなかったんですか?

安東由美子

全然考えてなかったですね。ゼロでしたよ。歌なんて作れるわけはないと思ってたので、オーディションを受けたりとかっていうこともなかったし。だからもう業界で働くしかないと思ったんですよね。一般企業に入るつもりも全然なかったというか。

──ではなぜシンガーソングライターへの転身を決めたんですか?

プロダクションで働いていたときに、社長の秘書だった女性の方にものすごく良くしてもらったんですよ。でもその方は3年ぐらい闘病生活をされて他界してしまって。そのときにお金でもなくモノでもなく何かをあげたいなと思っていたら、「9月の風」という曲と今回の「平凡ガール」っていう曲が、お風呂に入ってたらいきなりアカペラで生まれたんです。だから彼女が背中を押してくれたっていうのがあるんですよね。

──歌なんて作れるわけないと思ってた安東さんの中から実際に歌が生まれた瞬間、どんな気持ちでした?

楽器をやってるならともかく、完全アカペラでメロディが浮かんでくるのはすごいなって、けっこう衝撃でしたね。曲って作れるんだなあって。メロディと同時に歌詞も浮かんできたし、「平凡ガール」なんかは落ちサビまでできちゃいましたからね。ちょうど同じ時期にある人から「歌ってみれば」って言われたこともシンガーソングライターになろうと思ったきっかけではあったんですけど、やっぱり実際に曲を作ることができたっていうのが自分の中ではすごく大きいことで。曲を提供していただいて歌うことはまず頭にはなかったから、自分の中から曲が生まれたときに改めて「そういえば夢見てたことだな」って思い出した感じです。

デビューシングル「平凡ガール」/2011年9月7日発売 / 1000円(税込)/ WONDER AIM MUSIC / XQIU-1401

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CD収録曲
  1. 平凡ガール
  2. 14才
  3. 平凡ガール (Instrumental)
  4. 14才 (Instrumental)
LIVE INFORMATION

スペシャルライブ「THE GATES×安東由美子with古田たかし」

2011年9月17日(土)
神奈川県 横浜Hey-JOE
OPEN 19:00 / START 19:30
<出演者>
THE GATES(渡辺英樹(ex.C-C-B)、田口智治(ex.C-C-B)、丸山正剛、野口薫)/ 安東由美子with古田たかし

新月の心

2011年9月20日(火)
東京都 六本木morph-tokyo
OPEN 18:00 / START 18:30
<出演者>
安東由美子 / ヒトトキ灯る / 彬子 / and more

Smile

2011年9月30日(金)
東京都 高田馬場Live Cafe mono
OPEN 18:30 / START 19:00
<出演者>
安東由美子 / 杉恵ゆりか / BeBe Project / HIGH東80

スペシャルライブ「新井くんと安東さん」

2011年10月29日(土)
東京都 渋谷SONGLINES
OPEN 18:30 / START 19:00
<出演者>
新井仁(SCOTT GOES FOR、NORTHERN BRIGHT)/ 安東由美子

安東由美子(あんどうゆみこ)

3月15日生まれ、東京都出身の女性シンガーソングライター。音楽業界のOLとして働いていたが、2010年秋より作曲活動を開始し、同時に都内でのライブ活動をスタートさせる。2011年5月にはOL時代より親交のあった根岸孝旨、古田たかしをサポートメンバーに迎えて初の自主企画ライブを開催し注目を集める。同年9月7日、根岸のプロデュースによるシングル「平凡ガール」でデビューを果たす。