音楽ナタリー Power Push - 雨のパレード
渾身の「You」を経て生まれた、ファンとつながるための歌
「You」で現状がガラッと変わると思ってた
──9月に行われたワンマンライブツアー「You & I」の東京・渋谷CLUB QUATTRO公演のMCで「最近ライブをしていると『ここで生きていきたいな』ってすごく思って」と話されていましたね(参照:雨のパレード初の渋谷クアトロワンマン「ここで生きていきたいな」)。そういう気持ちになったきっかけはなんだったのでしょうか?
その頃は日常生活でいろいろなことが重なって、制作にも追われていたんです。だけど9月の「BAYCAMP2016」で夜中3時に舞台に立ったときにすごく楽しくて「うわ、めっちゃいいわ」って。それがきっかけです。やっぱりライブには特別なムードがありますよね。
──きっとライブでしか味わえないお客さんとの一体感もありますしね。
そうですね。フィジカルなものだけじゃなくて、すごく内面的な一体感みたいなものを感じたんですよね。みんなすごくいい顔してたし。
──ダウナーな時期にライブに救われたと。
そうだと思います。それで「stage」を作ろうって思ったわけじゃないんですけど、制作していったら自ずとライブを意識した歌詞になっていって。
──渋谷CLUB QUATTRO公演のときには、楽曲制作が大変だったということも話されてましたよね。
1行出てくるのにものすごく時間がかかって、本当に発狂するかと思いました(笑)。前作「You」は自分を晒してるような曲だし、全力で取り組んだ渾身の作品だったんですね(参照:雨のパレード「You」インタビュー 最善の表現方法で描いた“誰かを救う曲” )。「これで現状がガラッと変わる」ぐらいの感じで思ってたんですけど、そんなにうまくはいかなくて。もちろん前進はしてると思うんですけど、憤りがありました。
──「stage」はこれまでの雨のパレードの楽曲にはないようなアッパーな曲調が印象的ですが、そんな心境の中書き上げた楽曲だったんですね。
大変でした(笑)。前からアッパーな曲を作りたいと思っていて。常に変化はしていきたいと思ってるので、バラードの「You」とはまた表情を変えてみました。
1969年にあふれる反骨精神
──カップリング曲の「1969」は今夏に展開されたファッションブランドGAPのキャンペーン「Gap 1969 RECORDS SUMMER 2016」に書き下ろした楽曲です。どのように楽曲のイメージを固めていったんですか?
タイトル通り、1969年をテーマに書き下ろしました。GAPができた年であり、「ウッドストック・フェスティバル」(Woodstock Music and Art Festival。アメリカ・ニューヨークで3日間にわたって行われたロックフェス)が開催された年なんですよね。そして学生運動も起こっていた頃で、すごく難しい題材でした。
──「その頃のムードを 僕らは知りはしない」というストレートな歌詞が最初に出てくるのが印象的です。
実際、知らないですからね(笑)。しかもこの時代の資料ってホントに膨大な数で。この時代が大好きな人もいるし、今から俺が調べ始めて何か言っても説得力がないと思ったんです。それこそ「1969」のミュージックビデオの監督・Mitch Nakanoさんが1969年を題材に卒論を書いていたらしくて。でもいろいろと調べて時代背景を知っていく中で、その時代にあふれる反骨精神に共感したんですよね。俺が持っている「今の時代を変えてやりたい」っていう精神と共通するなって。
──共感した部分を落とし込んだんですね。
そうですね。学生運動が起こった1969年頃とは種類は違うかもしれないけど、そんなムードを今起こせたら夢あるよなって。僕は新しいものに美学を感じるので、自分たちのいいと思える新しい音楽でより多くの人たちとつながっていきたいですね。
──雨のパレードには「新しいこと、新鮮味を感じることを常にし続けていく」というテーマがありますけど、改めて福永さんが「新しさ」に美学を感じる理由とはなんなのでしょうか?
はっきりとした理由はわからないんですけど、「みんなと違うことをやってる」「特別な存在でありたい」ってどこかで思いたいし、たぶん思ってるんだと思います。学生時代には美術や図工の授業でも、ルールは守りつつ、ちょっとみんなと違うことをするっていうのが好きでしたし、昔からそうなんですよね。
また1つ進化したい
──「ame majiru boku hitori」は初期の楽曲のリアレンジということですが、いつ頃作った曲なんですか?
18歳ぐらいのときです。上京するときに何曲か持ってかなきゃなと思って書いた曲で、そして雨のパレードで初めてやった曲ですね。
──もう1つのカップリング曲「free」含め、4曲並ぶと新曲3曲の歌詞がシンプルに感じますね。
「ame majiru boku hitori」だけ全然違いますよね(笑)。「若かったなあ」って感じがして、ちょっと恥ずかしいです。でも1曲ずつ色が違って、いいシングルだなと思います。毎回作品ごとに「ああ、いいのできたな」って思っちゃうんですけどね(笑)。今回もいいものができたと思ってます。
──3月から4月にかけて行われるツアーの最終公演では、バンド史上最大規模の東京・赤坂BLITZでワンマンライブが行われますね。
自分たちの好きな音楽でシーンを変えていきたいっていう思いが強いので、ライブ会場の規模が少しずつ大きくなってるのはすごくうれしいです。前回のツアーは即完だったので、今回も即完させたいっていう気持ちがありますね。そしてここでまた1つ進化したいなと。演出もちゃんと考えたいし、俺らにしかできないような新しいことがしたいです。
- メジャー2ndシングル「stage」 / 2016年12月21日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
- 「stage」
- 初回限定盤 [CD2枚組] / 2160円 / VIZL-1093
- 通常盤 [CD] / 1296円 / VICL-37240
CD収録曲
- stage
- 1969
- free
- ame majiru boku hitori
初回限定盤付属ライブCD収録曲
Live at TOKYO-SHIBUYA CLUB QUATTRO 2016.9.17
- new place
- epoch
- Petrichor
- breaking dawn
- bam
- morning
- Noctiluca
- In your sense
- yuragi meguru kimino nakano sore
- 10-9
- Tokyo
- You
雨のパレード インストアライブ
- 2016年12月23日(金・祝)
- 大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店
START 13:00 - 2016年12月25日(日)
- 東京都 タワーレコード新宿店
START 15:00
雨のパレード・ワンマンライブツアー 2017 「Change your pops」
- 2017年3月24日(金)
- 新潟県 CLUB RIVERST
- 2017年3月31日(金)
- 北海道 COLONY
- 2017年4月2日(日)
- 宮城県 enn 3rd
- 2017年4月6日(木)
- 大阪府 梅田CLUB QUATTRO
- 2017年4月8日(土)
- 広島県 CAVE-BE
- 2017年4月9日(日)
- 福岡県 graf
- 2017年4月12日(水)
- 愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2017年4月14日(金)
- 東京都 赤坂BLITZ
雨のパレード(アメノパレード)
福永浩平(Vo)、是永亮祐(B)、山崎康介(G)、大澤実音穂(Dr)からなる4人組バンド。2015年7月に残響レコードから発売した3rdミニアルバム「new place」の表題曲がスペースシャワーTVのレコメンド企画「it!」に選出され話題を集める。同年10月に大阪・ミナミ地区で開催されたサーキットイベント「MINAMI WHEEL」では、初出演ながら会場に入場規制がかかるほどの来場者数を記録。2016年1月にインディーズ最後の作品となる1stシングル「Tokyo」を発表し、3月にアルバム「New generation」でSPEEDSTAR RECORDSからメジャーデビューを果たす。7月にはメジャー1stシングル「You」、12月にはメジャー2ndシングル「stage」をリリースした。