Amelieが5月30日に2ndフルアルバム「ビューティフルライフ」をリリースする。本作は彼女たちにとって、2015年12月発売の初の全国流通盤「グッバイ&ハロー」以来2年半ぶりとなるフルアルバム作品。自主制作盤収録の「Discommunication」の再録バージョンや新曲8曲を含む計11曲が収められる。
音楽ナタリーでは本作の発売を記念して、Amelieのフロントマンmick(Vo, G, Piano)と、所属レーベル[NOiD]の先輩バンドであるSUPER BEAVERのフロントマン渋谷龍太(Vo)の対談を企画。言葉を大事にした熱量のあるライブパフォーマンスが魅力の両者に、出会いから現在までを振り返ってもらいながら、「ビューティフルライフ」に込められた“Amelieらしさ”について話を聞いた。
取材・文 / 石橋果奈 撮影 / moco.(kilioffice)
女の子ボーカルのバンドでこれだけ熱量があるのは珍しい
──Amelieの2ndフルアルバム「ビューティフルライフ」の発売を記念して、ロックレーベル[NOiD]所属のお二人に集まっていただきました。まずは出会いから教えてください。
mick(Vo, G, Piano / Amelie) 最初にぶーさん(渋谷)と会ったのは2015年のmurffin discsの新年会イベントですよね。murffin discsに入るためのオーディションライブで1位になって、その特典としてライブのオープニングアクトとしてビーバー、Czecho No Republic、テスラは泣かない。と対バンした。
渋谷龍太(Vo / SUPER BEAVER) そのときにAmelieのライブを初めて観て。こういう偏見を持ってバンドを観ちゃいけないんですけど、女の子ボーカルのバンドでこれだけ熱量があるのは珍しいなと思った。体育会系のバンドだなという印象がありました。
mick うれしい。レーベルに所属したばっかのときでも、ちゃんとそういうライブができてたんだなって。
──mickさんは所属前、[NOiD]についてどんなイメージがありましたか?
mick SUPER BEAVERとsumikaっていう、どこの畑に突っ込んでいっても通用する2組がいるなあって思ってました。うちらもそういうバンドになりたいと思ってたし、メンバー間でも「[NOiD]入りたいね」って言ってました。
──ではSUPER BEAVERのイメージは?
mick んー、売れてる人たち。人気者。
渋谷 待て(笑)、俺らAmelieと出会った頃、クアトロ(渋谷CLUB QUATTRO)ワンマンがようやくできたときだよ。
mick えっ、嘘? マジ?
渋谷 そうだよ。言ったら今のAmelieと状況は変わらないよ。
mick そっか、大きい背中すぎて距離がずっと縮まらないから。どんどんどんどん置いてっちゃうんだもん。
渋谷 そんなことないよ。俺らはホントに歩みが遅いから、まず一発目のクアトロ公演ができるまですごく時間かかったの。だからそういう印象をmickが持っててくれたのはなんか不思議だな。自分たちにとってSUPER BEAVERは、息が長いバンドっていう印象しかないから(笑)。
mick ビーバーのステージを新年会ライブで観たとき、「なんかすごいところに入っちゃったな」って思いました。体育会系的な熱いライブだし、ぶーさんの言葉ってすごいじゃないですか。MCなんだけどMCっぽくないと言うか、本当に伝わってくる言葉があって。ああいうライブを観て、すごく見習いたいな、強い言葉を発信できる人になりたいなと思いました。
ぶーさんのアドバイスで、より歌を聴いてもらえるようになった
──渋谷さんからmickさんにライブの感想を言ったり、アドバイスしたりすることはあるんですか?
渋谷 たまに図々しくも言ったりします。mickの魅力はわかってるつもりだから、「魅力を最大限に生かすためにはこうしたほうがいいんじゃない?」「こっちのほうがmickっぽいよ」とか。
mick 覚えてるのはね、夏フェスでビーバーと一緒になったときに、出番後ぶーさんに「mickさんちょっとおいで」って呼ばれて。そのときの最後の曲が「ヒーロー」だったんですけど、「MCから『ヒーロー』の頭の弾き語りに入るときに、しゃべり終えてちゃんとひと息置いて、息を吸ってから歌ったほうがいいんじゃないかな」ってアドバイスをくれたんです。
渋谷 俺はライブを観てる人が感じる“時間のスピード”をコントロールできるのはフロントマンしかいないと思ってて。mickも俺もよくしゃべるし、たぶん言いたいことがたくさんあるタイプの人間だと思う。そういう人間って、どうしても言葉を詰め込むからしゃべるのが早くなっちゃって、間を意識するのが難しいと思うんですよ。その夏フェスでmickを見たときに、すごくいい流れを作ってたからこそ「いったん間を置くと、お客さんの反応はきっと倍に跳ねるんだろうな」と思って。「一度息を吸って、今自分が発した言葉をお客さんに考えてもらう時間を持たせたほうがいいよ」っていう話をしましたね。
──mickさんはそれを受けてどう思いました?
mick なるほどなと。
渋谷 素直(笑)。
mick 確かに、ぶーさんのステージってなんかドキッとすると言うか、観てる側が固唾を呑むような間がある。その間があるからこそ、言葉を聞いたうえでより曲を聴こうっていう気持ちになるなって。そこから最後の曲の前に間を作って息を吸うことを絶対にやるようになった。フロアのみんなも、前よりちゃんと歌を聴いてくれてるなあと思います。
──SUPER BEAVERのライブで印象的だったのが、2017年の「ECHOES」(HAWAIIAN6主催のライブイベント)で最後の曲として「ありがとう」を披露してたことで。普段とは違ってSUPER BEAVERのライブでもダイバーが発生するような環境で、渋谷さんがしっかり間を取りながら思いを伝えていた姿がとてもカッコいいなと思いました。
渋谷 どういう人たちと一緒にいても、要は“対話”というスタンスさえ崩さなければ、話すことは可能だと思っていて。その中でしゃべり続けるっていうのは会話にならないし、ちょっと不親切ですよね。向こうに考える時間を与えられるぐらいの余裕は常に持っていたいと思っていて。それがステージとフロアの関係性であると思うんです。「今目の前にいるこの人は、自分が言ったことに対してどのぐらい考える時間がいるのかな?」っていうのを、表情を見て、空気を感じて、自分で間を決めてますね。
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mickに何かを言われてハッとするような状況が来たらうれしい
- Amelie「ビューティフルライフ」
- 2018年5月30日発売 / [NOiD] / murffin discs
-
[CD]
2700円 / NOID-0025
- 収録曲
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- Entrance
- キセキ
- ライアーゲームじゃ始まらない
- ビューティフルライフ
- 朝は来る
- 愛と呼ぶ
- step!
- Discommunication
- フェイク
- クルテク
- STAND BY YOU
- Amelie「ビューティフルライフ」
Release Tour 2018 -
- 2018年6月16日(土)埼玉県 EASYGOINGS / LIVE ABBEY ROAD(「Amelie 鐘フェス 2018 ~君が為に越谷で鳴らす~」出演)
- 2018年6月22日(金)大阪府 BEYOND(ワンマン)
- 2018年6月24日(日)愛知県 ell.SIZE(ワンマン)
- 2018年7月10日(火)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- 2018年7月14日(土)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2018年7月26日(木)愛知県 豊橋 club KNOT
- 2018年7月27日(金)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2018年7月28日(土)京都府 京都MOJO
- 2018年7月29日(日)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
- 2018年8月3日(金)長野県 LIVE HOUSE J
- 2018年8月4日(土)石川県 vanvanV4
- 2018年8月5日(日)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
- 2018年8月11日(土・祝)広島県 CAVE-BE
- 2018年8月12日(日)福岡県 Queblick
- 2018年8月14日(火)山口県 LIVE rise SHUNAN
- 2018年8月16日(木)高知県 X-pt.
- 2018年8月17日(金)香川県 DIME
- 2018年9月7日(金)宮城県 仙台MACANA
ツアーファイナルシリーズ
- 2018年9月14日(金)大阪府 OSAKA MUSE
- 2018年9月16日(日)愛知県 APOLLO BASE
- 2018年9月22日(土)東京都 LIQUID ROOM(ワンマン)
- SUPER BEAVER「歓声前夜」
- 2018年6月27日発売 / [NOiD] / murffin discs
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初回限定盤 [2CD]
3564円 / NOID-0026 -
通常盤 [CD]
2970円 / NOID-0027
- CD収録曲
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- ふがいない夜こそ
- 虹
- 閃光
- ラヴソング
- シンプリー
- まちがえた
- シアワセ
- 美しい日
- 嬉しい涙
- ひとこと
- なかま
- 全部
- 初回限定盤CD収録曲
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・Zepp Tokyoで行われた全国ツアー「SUPER BEAVER『真ん中のこと』Release Tour 2017 ~ラクダの、中心~」最終公演のライブ本編を全曲収録
- ファンファーレ
- 青い春
- うるさい
- 美しい日
- 贈りもの
- irony
- ひなた
- 人として
- 27
- →
- 361°
- 証明
- 正攻法
- 東京流星群
- 秘密
- それくらいのこと
- 歓びの明日に
- Amelie(アメリ)
- 2011年に紅一点のmick(Vo, G, Piano)、あっきー(B, Cho)、直人(G, Cho)、アサケン(Dr, Cho)により埼玉県越谷市で結成されたバンド。2015年6月に[NOiD]より無料CD「手のなるほうへ、光のほうへ」をリリースし、全国各地で8000枚を配布した。同年12月に初の全国流通盤として1stフルアルバム「グッバイ&ハロー」を発売。2017年1月に1stミニアルバム「ドラマチック」を、11月に4曲入りシングル「ステップ×ステップ」をリリースした。2018年3月には2度目の東京・渋谷CLUB QUATTRO単独公演を開催。5月に2ndフルアルバム「ビューティフルライフ」をリリースし、6月には初となるサーキットイベントを地元越谷市で行う。9月には東京・LIQUID ROOMでのワンマンライブを控えている。
- SUPER BEAVER(スーパービーバー)
- 2005年に渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“29才”広明(Dr)の4人によって東京で結成されたロックバンド。2009年6月にEPICレコードジャパンよりシングル「深呼吸」でメジャーデビューする。2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、年間100本以上のライブを敢行。2012年には自主レーベル「I×L×P× RECORDS」を立ち上げる。2013年、東京・shibuya eggmanのスタッフ・YUMAが「mini muff records」内に発足させたロックレーベル[NOiD]とタッグを組み、精力的にツアーや自主企画を開催。バンド結成10周年の節目に当たる2015年4月1日にフルアルバム「愛する」をリリースし、2016年4月にはバンド史上最大規模のワンマンライブを東京・Zepp DiverCity TOKYOにて開催。6月にフルアルバム「27」を発表し、10月にZepp DiverCity TOKYO公演の様子を収めたライブDVDと渋谷による書き下ろし小説「都会のラクダ」をパッケージした「10th Anniversary Special Set『未来の続けかた』」を発売した。2017年1月にニューシングル「美しい日 / 全部」を発表し、4月からの1年間、渋谷がニッポン放送「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティを担当した。9月には新作ミニアルバム「真ん中のこと」をリリース。2018年4月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催し、6月にはニューアルバム「歓声前夜」を発売する。