アメフラっシの初の全国流通盤となるシングル「SENSITIVE」が完成した。
2018年11月に活動を終了したスターダストプロモーションの女性アイドルグループ・3B juniorから“細胞分裂”し、そのDNAを引き継ぐユニットとして始動したアメフラっシ。この3年間、彼女たちは「変幻自在」というキャッチフレーズの通り多様なジャンルの楽曲に挑戦してきたが、ここ最近はK-POPの流儀を取り入れたガールクラッシュ感あふれる音楽性、ビジュアルで関心を集めている。スターダストのアイドルセクション「STARDUST PLANET」の中でも際立つこのスタイルは、今回のシングルでより一層鮮明に。シンセポップな表題曲「SENSITIVE」をはじめ、計4曲の収録曲を通して4人のスタイリッシュで大人びた表現を存分に味わうことができる。
音楽ナタリーでは「SENSITIVE」の発売に合わせ、アメフラっシのメンバー全員にインタビュー。楽曲の話はもちろん、この3年でどんな変化があったのか、今のアメフラっシが持つ一番の強みとは何なのか、4人に語ってもらった。
取材・文 / 近藤隼人撮影 / 入江達也
細胞分裂から3年、最大の変化は
──アメフラっシは2018年11月に3B juniorのDNAを引き継ぐグループとして始動し、「変幻自在」というキャッチフレーズを掲げて活動してきました。3年間でいろいろな出来事があったと思いますが、グループにおいて一番変化したことを挙げるとしたら、なんだと思いますか?
市川優月 一番かー! 難しい。なんだろう……。
鈴木萌花 わかりやすいところで言うと見た目ですね。以前は衣装が4人全員一緒だったし、髪の毛を染めたり、ネイルしたりすることもなくて。メイクの雰囲気も固定だったんですけど、今はそれぞれメンバーごとに合わせたビジュアルになっています。
──それは4人が大人になってきたからなんでしょうか? それともグループのコンセプト自体に変化があった?
市川 どっちもだと思います。いい意味で縛りやルールがなくなったよね。今のアメフラっシに合った格好にしていったら、こうなりました。
愛来 セルフプロデュースというか、どうしたら自分がかわいく見えるか、自分がよりよく見えるかがそれぞれわかってきたんです。それと同時に、楽曲やパフォーマンスも変わってきていて。楽曲については変幻自在というキャッチフレーズの通り、結成当初からいろんなジャンルの曲をやってきたんですけど、ここ1年でアイドルというより、アーティストっぽい曲が増えてきました。楽曲を好きになってファンになってくれている方もたくさんいるし、音楽性の幅がさらに広がったなって。1年前くらいに「メタモルフォーズ」(2020年7月発表の配信シングル)という曲を出して、コロナ禍の自粛期間に歌やダンスの練習をたくさんやっていた頃から、パフォーマンスに対する意識も変わったと思います。
市川 「メタモル」のおかげで表現力が付いて、引き出しが増えたよね。
──「メタモルフォーズ」が1つのターニングポイントだったと。
愛来 最初の1、2年は正直、停滞している感じがあって。もちろん前に進もうという気持ちで活動していたんですけど、歌唱力やパフォーマンス力の上達を感じられなかったんですよ。でも、ここ1年でそれまで触れてこなかった曲にも触れて、大きく成長できました。1つ前のライブでも、映像を見返すと「今のほうがうまいじゃん」って感じます。
──活動がスタートしてから2年くらいはどの方向に進むべきか、探り探り進んでいた感じもあったんでしょうか?
市川 うーん、でも、1つのことに囚われないのがアメフラっシのいいところだと思っていて。最初に路線を1つに決めちゃうと、その道しか歩けなくなっちゃうし、いろんなことに挑戦すれば、各方面から注目してもらえる機会が増えるじゃないですか。多くのジャンルの曲を歌えて、オールマイティになんでもこなせるようになるのは悪いことじゃないし、決して進む方向がブレているわけじゃない。そうやって変化していくのが私たちなんです。
鈴木 その中で前よりもアメフラっシの軸がしっかりしてきたと思います。いろんなことに挑戦するにしても、ちゃんとした軸がないとグループの個性がブレちゃうので。
──なるほど。ほかにグループに関することで、大きく変化したと思うところはありますか?
小島はな (ドヤ顔で)私的には、仲のよさですかね。もともと仲はよかったんですけど……(無反応なメンバーを見て)何その反応?
鈴木 言い方がわざとらしい(笑)。
小島 とにかく、今は言いたいことを言い合いつつ、それぞれの意見を尊重できる仲になったと思います! ライブを重ねるごとに絆が強くなって、そのたびにステージ上の雰囲気も変わって。プライベートでも一緒に遊んで、仲のよさが増すほどライブがよくなっていっていると感じます。
──アメフラっシが結成される前も、3Bとして何年も一緒に活動していたわけですが、ここ3年で一段と仲よくなったんですね。
市川 私たちは3Bの中でも年少のほうで、当時はあまり発言しなかったんです。MCもほとんど経験せずにお姉さん組に任せてきたから、アメフラっシの結成当初は自分たちの気持ちを相手にどう伝えたらいいかわからなくて。でも、年齢を重ねるにつれて成長して、言いたいことを言えるいい関係になったと思います。
愛来 空気も読めるようになったよね。「今この子、ちょっと元気ないのかな?」とか、雰囲気でわかるようになりました。
今のアメフラっシが誇る一番の強み
──この3年間、さまざまな面で成長を遂げてきたアメフラっシですが、「STARDUST PLANET」のほかのグループに対してこれだけは負けないと言い切れる、今の一番の強みはなんでしょう?
市川 緩急、ですかね。アメフラっシは今までパフォーマンスに重点を置いて自分たちを磨いてきたんですけど、最初の頃はきれいにそろえて踊らなきゃと考えすぎて、ライブの楽しみ方を忘れてしまっていたんです。でも、ライブって自分自身が楽しまないとお客さんにも楽しんでもらえないもので、今年3月のZepp Haneda(TOKYO)公演でそのことを学べたというか、しっかりパフォーマンスしながらも、ライブを思い切り楽しめるようになった気がしています。緩急をつけて、パフォーマンスで魅せるところはしっかり魅せる。それが今のアメフラっシの魅力で、グループの軸が固まってきたからこそできることなんだと思います。
鈴木 私は「カッコかわいい」という言葉がアメフラっシに一番合うと感じています。かわいらしいグループやカッコよく魅せるグループはほかにもたくさんいますが、私たちは見た目でも曲調でもカッコよさの中にちゃんと女の子らしい要素が入っているんです。
愛来 アメフラっシのメンバーよりダンスや歌がうまい子はたくさんいるし、4人それぞれ苦手なこともあるけど、グループとして見たときのパフォーマンスの出来ではほかの「スタプラ」のアイドルには負けないと思います。
市川 苦手なところをみんなで補ってるよね。
──4人のバランスが絶妙なんですね。
市川 苦手なことも得意なこともホントにバラバラで、いいバランス感ですね。
小島 ……「プリキュア」みたいな?
市川 今のはよくわからないのでカットでお願いします!(笑) そういう例えはいいから、小島さんはなんだと思うの? アメフラっシの強み。
小島 そうですね(笑)、やっぱり型にはまらないところだと思います。さっきの緩急の話に近いんですけど、パフォーマンスでカッコいいところを見せたかと思えば、MCで「バカなのかな? この子たち」と思われる感じがアメフラっシらしいなって。
──MCに関して言うと、3B時代やアメフラっシ結成初期、特に年少メンバーの市川さんと小島さんはあまりしゃべらない印象でしたが、いつからかそのイメージが完全になくなりました。
市川 当時はまったくしゃべらなかったですね(笑)。
愛来 ここ1年くらい、毎週YouTubeで「雨宿り中のアメフラっシゃべり(アメシャベ)」という配信をやらせてもらっていて。毎回トークの反省会をやってスタッフさんからダメ出しを受けて、宿題を持ち帰ってるんです。そのおかげでみんな前よりしゃべれるようになりました。それに、メンバー同士仲よくなったこともトークにいい影響を与えてるんじゃないかな。
市川 メンバーが大勢いた3B時代と比べて、今は少人数だから考えてしゃべれなきゃいけないんです。メンバーの発言に対して「次にこういう行動をしたほうが今の発言が引き立つな」と頭の中で考えることが多くなりましたし、個々の色も強くなりました。以前、はなはマイクを持って自分からしゃべるイメージがなかったけど、MC担当になったことで個性が出てきて。ほかにも、メンバーからよくツッコまれるボケ要素のある萌花、MCで大事なところはしっかり言えるけど、それ以外はおっちょこちょいな愛来と、それぞれ違う色がバランスよく出てきて、トークが成り立つようになったんだと思います。
小島 あと、縁の下の力持ちのゆづ(市川)ね。
市川 今、それを言おうとずっと待ち構えてたでしょ(笑)。
愛来 ゆづはMCでホントにがんばってくれてるんです。「アメシャべ」でもMC担当のはなの裏でトークを回してくれています。
市川 さっきも話に出たように、それぞれの得意な分野でお互いを補っているのがアメフラっシなんですよ。私は歌とかで引っ張ってもらってるし、自分だけじゃなく、メンバーのためにがんばれる優しい気持ちがみんなにあるんだと思います。
次のページ »
市川優月は2回変化した