ナタリー PowerPush - amazarashi

フルアルバム「千年幸福論」リリース記念 短編小説「しらふ」独占公開

過去に苦悩し現在に絶望しながらも、わずかな光をたぐり寄せるように未来へと進む意志を表現し続けてきたamazarashi。1stアルバム「千年幸福論」では、そのスタイルがより鮮明に、フルボリュームで描き出されている。

2011年は多くの人が抗えない現実に直面し、“幸福”の意味を強く考えた年となった。そんな最中に届いたamazarashiのアルバムは、嘘偽りのないあふれる思いを包み隠さず鮮烈な筆致で綴り、爆発する感情を歌に乗せ、“幸福”というテーマに真正面から向き合った作品だ。結果、それは“今”この瞬間に鳴らされるべき音楽となり、同時に未来へ向けた僕らの指針になり得る作品に仕上がったように思う。

前作「アノミー」リリース時に続き、今回も秋田ひろむへのメールインタビューが実現した。amazarashiというバンドの核心に迫る本作について、自身の言葉でたっぷりと解説してもらうことにしよう。

文・構成 / もりひでゆき

初のワンマンライブについて

──まずは今年6月と9月に行われたワンマンライブについて、率直な感想を教えてください。

やっとライブが出来たな、というのが率直な感想です。今年は初ライブ、フルアルバムの初リリース等があって、amazarashiがやっとスタートラインに立てたんじゃないかという気持ちがあります。

──amazarashiのライブを待ちわびていたオーディエンスから何を受け取りましたか?

ライブやるまではamazarashiの歌は本当に受け入れられているのか不安でした。それがやっと確かめられたなと思います。

──2度のライブの経験はamazarashiに何をもたらしましたか?

お客さんに心を開けた印象があります。それが伝わっているかわかりませんが、このベクトルだ、という方向性が見えた気がします。

──amazarashiとしてライブを経験したことで、その後の制作に反映されたものはありますか?

今のところあまりありません。もっとライブをやってから、何か見えるところが出てくるのでは、と思っています。

ニューアルバム「千年幸福論」について

──前作「アノミー」からちょうど8カ月で到着した1stフルアルバム「千年幸福論」の制作期間はどのくらいですか? その制作時期についても教えてください。

割とちょこちょこレコーディングと曲作りはしていたので曖昧なんですが、フルアルバムとして意識し始めたのは夏頃でしょうか。その頃に「千年幸福論」というタイトルも決まりました。

──その期間中、どのような気持ち、テンションで制作に向き合っていましたか?

アルバムのテーマを意識して作った曲は「デスゲーム」「空っぽの空に潰される」「古いSF映画」とポエトリー3曲なんですが、今の気持ちを詰め込む事が大事だと思って作っていた気がします。それと、なんとなく今回が勝負なんじゃないかと、切迫した気持ちもありました。

──アルバムの全体像に関してはどのようなイメージを思い描いていたのでしょう?

今の幸福について、という何となくのテーマがあったんですが、それに寄せて行くように曲を作ったり曲順を考えたりしました。最後には何かしらの、答えまではいかなくても、確信に近いところまでいけたらいいなとおもいまして。自分の気持ちの曖昧な部分、良くわからないところを明確にしたかったです。

──3月11日に秋田さんが住んでいる青森県のすぐそばで大地震が起きました。そのことは本作の制作に何か影響を与えましたか?

影響はありました。それが今回のテーマと言っても良いくらいだと思います。作っている時は意識していませんでしたが、今聴いてみると影響を受けていたんだな、と感じます。

──「デスゲーム」という楽曲によって鋭い印象で幕を開けるアルバムですが、全編を聴き終わったときに感じたのは心地良いあたたかさでした。ご自身としては、完成したこのアルバムにどのような印象を抱いていますか?

EPを四枚出していて、もう名刺代わりの一枚みたいにはならないだろうな、と思っていたんですけど、結果的にamazarashiらしいアルバムになったと思います。

1stフルアルバム「千年幸福論」 / 2011年11月16日発売 / Sony Music Associated Records

  • 初回限定盤[CD+DVD+詩集+オリジナル短編小説ブック] / 3300円(税込) / AICL-2319 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD+詩集]/ 2800円(税込) / AICL-2321 / Amazon.co.jpへ
収録曲
  1. デスゲーム
  2. 空っぽの空に潰される
  3. 古いSF映画
  4. 渋谷の果てに地平線
  5. 夜の歌
  6. 逃避行
  7. 千年幸福論
  8. 遺書
  9. 美しき思い出
  10. 14歳
  11. 冬が来る前に
  12. 未来づくり
amazarashi(あまざらし)
  • 2012年1月28日(土) 東京都 渋谷公会堂
    OPEN 17:00 / START 18:00
    料金:前売4000円 / 当日5000円
    チケット一般発売:2011年12月3日(土)

  • ナタリー特別先行予約受付

    受付期間:2011年11月14日(月)12:00~11月21日(月)18:00
    抽選日時:2011年11月22日(火)18:00
    当選発表:2011年11月23日(水)13:00~11月24日(木)18:00
    入金期限:2011年11月25日(金)21:00

  • amazarashi LIVE「千年幸福論」ナタリー特別先行予約

アーティスト写真

amazarashi(あまざらし)

青森県むつ市在住の秋田ひろむを中心としたバンド。青森県内500枚限定の詩集付きミニアルバム「0.」を2009年12月に発表し、翌2010年2月にその全国盤「0.6」をリリース。その後ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズへ移籍し、2010年6月に「爆弾の作り方」を発表。アーティスト本人の露出がないまま、口コミを中心に話題を集めていく。2011年には東京・WWWとLIQUIDROOM ebisuでワンマンライブを実施し、それぞれソールドアウトを記録。同年11月に初のフルアルバム「千年幸福論」をリリースする。


2011年11月17日更新