雨宮天|光と闇の2曲で示す、アーティスト“雨宮天”の世界

声優業と歌手業の相互作用

──今、歌唱表現をアニメの台詞に例えられましたが、やはり声優としての活動が、音楽活動にも影響を与えている?

はい。声優としての活動がなかったら、私の歌はまったく違うものになっていたと思います。やっぱりキャラクターを演じることで学べる表現方法は山ほどあって、それこそ「誓い」はエリザベスを演じていなかったら絶対に歌えませんでしたし。エリザベスって、言ってしまえば私とは似ても似つかないキャラクターなんですよ。私には彼女が持っているような優しさも、慈愛も、包容力も、女性らしさもないし……。

──そんなことないんじゃないですか?

いや、ホントに接点がなくて、エリザベスを演じるときは苦労しました。でもだからこそ、エリザベスを演じることで初めて自分の中に芽生える感情や性質みたいなものがあるんですよ。例えばエリザベスを演じはじめた当初、よく「もっと母性を」とディレクションされたんですけど、まず母性というものが私にはわからなくて(笑)。

──ははは(笑)。

でも自分なりにいろいろ考えて、「こうかな?」って試しながら、今までの私ならまず抱かなかったであろう優しい気持ちを自分の中に起こすようにして、母性を感じさせるような声色を作っていくわけですよ。そうやってキャラクターを演じてきた経験があるから「この歌は包容力を出したい」みたいな発想にも至るし、自分としてはそれを形にしてきたつもりなので、声優業と歌手業は相互に作用し合っていると思いますね。

──では、歌手業が声優業に与えた影響については?

具体的な曲で言うと、「irodori」が1つ大きなポイントになっているのは間違いないですね。この曲は今まで歌ってきたどの曲とも違う歌謡ジャズテイストの曲で、私としてはそこにどこか退廃的で大人っぽいムードをまとわせたかったんです。そのために、ほとんど手探りでしたけど、これまで聴いてきた音楽や演じてきたキャラから使えそうな情報をかき集めて、歌い方をかなり研究したんです。その経験が主に悪役に、例えば今「BEATLESS」というアニメで演じさせてもらっているメトーデみたいな陰のあるキャラに生かされているのかなって。

──確かにメトーデさんは強いうえに狡猾で、かなり危ない雰囲気が出ていますね。

そう(笑)。だから「irodori」は私にとって新しいと同時にものすごく難しい曲だったんですけど、そこで悩み倒した分、得られたものも大きかったですね。

ライブは変化を見せなきゃいけない場

──「irodori」以外で、雨宮さんにとってターニングポイントとなった曲、あるいはライブなどはありますか?

ライブだと、やっぱり最初のソロライブ(「LAWSON presents 雨宮天ファーストライブ2016 “Various SKY”」)はすごく大きかったですね。ライブって、当たり前ですけど自分が届けたものに対する反応がその場で、一瞬で、しかも目に見える形で返ってくるわけじゃないですか。だから「こんなに私の歌を聴いてくれている人がたくさんいるんだ!」って感動しましたし、ライブをすることで自分の曲と向き合う時間も生まれました。

──このライブは、1stアルバム「Various BLUE」(2016年9月発売)のリリースに合わせて行われたものでもありますね。

あ、今思い出したんですけど、1stアルバムの制作に入ったあたりから、最初のほうでお話しした“自己主張”が目に見えて激しくなったんですよ。楽曲に対する要望はもちろん、アートワークに関しても、自分から色見本を持ち出して「この青がいいんです!」って。

──青は雨宮さんのイメージカラーですし、それこそ譲れない。言うなれば楽曲だけでなく、ビジュアルにもこだわりが生まれてきたと。

そうですね。ただ、1stライブのときは「見せたい自分」を意識しすぎて、パフォーマンスが固くなってしまった部分もあったと思うんです。でも昨年末の2ndライブ(「LAWSON presents 雨宮天ライブ2017 “Aggressive SKY”」)では、「歌うときは全力でいくけど、MCではもっと自然体でいていいんだ」とか、そういう力加減を掴めた気がします。

──その2つのライブの間に、何か心境の変化があったんですか?

やっぱり「irodori」と「Eternal」の影響ですね。それぞれに振り切った2曲がファンのみなさんに好意的に受け取ってもらえたことで、自分自身も受け入れられているような気がしています。

──逆に言うと、リリース前は受け入れてもらえるか不安になるくらい、チャレンジングな2曲だったということですよね。

はい。1stアルバムは、その時点での私のやりたいことを詰め込んで、ビジュアルも含めてこだわりを見せられた、言わば小さな集大成みたいなアルバムだったんです。それを経て「じゃあ次はもっと違うことをやってみよう」と思って作った曲が「irodori」であり「Eternal」だったので。だから私がなぜこの2曲をシングルで出したのか、その選択の理由も含めて肯定された感覚があったんですよね。要するに「私は私でいいんだ」みたいな安心感や自信を、2ndライブのときは得られていた。それが1stライブとの大きな違いでしたね。

雨宮天「誓い」通常盤ジャケット

──この「誓い」リリース後は、初のツアーが控えていますね。

1stライブは自分の歌を届けることと自分をかっこよく見せることに必死だったんですけど、2ndライブではダンサーさんと絡むような演出もあって、ステージ全体で曲の世界観を表現できたと思うんです。かつ、そういう演出を付けられたことで自分では気付かなかった楽曲の新たな一面が見えたりもしたので、そういう驚きや変化をお客さんに感じていただけるようなステージにしたいですね。

──それがライブの醍醐味でもありますからね。

私個人のパフォーマンスにしても変化を見せたいし、見せなきゃいけないですよね。ライブは「私はちゃんと前に進んでいるぞ」っていうのを発表する場でもあると思っているので。だから、気合いを入れてがんばらないと!

雨宮天「誓い」
2018年5月9日発売 / ミュージックレイン
雨宮天「誓い」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
1850円 / SMCL-539~40

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雨宮天「誓い」通常盤

通常盤 [CD]
1340円 / SMCL-541

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雨宮天「誓い」アニメ盤

アニメ盤 [CD+DVD]
1750円 / SMCL-542~3

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初回限定盤、通常盤CD収録曲
  1. 誓い
  2. Abyss
  3. 誓い(Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
  • 誓い Music Video
  • 誓い TV SPOT 15 sec
  • 誓い TV SPOT 30 sec
アニメ盤CD収録曲
  1. 誓い
  2. Abyss
  3. 誓い(Instrumental)
  4. 誓い(TV size)
アニメ盤DVD収録内容
  • 「七つの大罪 戒めの復活」ノンクレジットエンディング
雨宮天2018ツアー
2018年7月15日(日)
神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
2018年7月29日(日)
大阪府 オリックス劇場
2018年8月5日(日)
新潟県 新潟テルサ
2018年8月11日(土・祝)
福岡県 福岡国際会議場 メインホール
2018年8月19日(日)
兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
2018年9月2日(日)
宮城県 チームスマイル・仙台PIT
雨宮天(アマミヤソラ)
1993年8月28日生まれの声優アーティスト。2011年に開催された第2回ミュージックレインスーパー声優オーディションに合格し、翌年に声優デビューする。2014年8に自身が主演を演じるアニメ「アカメが斬る!」のオープニング曲「Skyreach」を表題曲とした1stシングルを発表し、アーティストデビューした。同年12月には同じミュージックレインに所属する麻倉もも、夏川椎菜と共に声優ユニット・TrySailを結成することを発表。2016年9月に1stアルバム「Various BLUE」をリリースし、ソロライブ「LAWSON presents 雨宮天ファーストライブ2016 “Various SKY”」を大阪・オリックス劇場と東京・中野サンプラザホールで行う。2017年9月に名曲カバーを中心としたライブイベント「LAWSON presents 雨宮天 音楽で彩るリサイタル」を実施。同年12月にワンマンライブ「LAWSON presents 雨宮天ライブ2017 “Aggressive SKY”」を開催した。2018年5月にアニメ「七つの大罪 戒めの復活」のエンディング曲を収めた6thシングル「誓い」をリリース。7月より自身初となる全国ソロライブツアーを行う。