雨宮天が5月9日に6thシングル「誓い」をリリースする。
シングルの表題曲は、彼女がヒロイン・エリザベスの声優を務めるアニメ「七つの大罪 戒めの復活」の第2クールエンディングテーマ。エリザベスの心情を表したような、優しさと力強さを兼ね備えたバラードナンバーだ。カップリングには重厚感のあるロックナンバー「Abyss」を収録。対照的な2曲によって、彼女の表現の幅広さを改めて感じられる作品に仕上がった。
音楽ナタリーでは雨宮にインタビューを実施。今作についてはもちろん、音楽的ルーツからアーティストデビューしてから約4年間の道のりまで、強い意思を持って突き進む彼女の音楽活動について話を聞いた。
取材・文 / 須藤輝
小学生のときから暗い曲が好きだった
──雨宮さんはこれまでどのような音楽に触れてこられたんですか?
最近気付いたんですけど、私は昔から、どちらかと言うと暗い曲や悲しげな曲が好きだったんですよね。それはいつからだったんだろうと思い返してみると、小学1年生くらいのとき「白鳥の湖」や「エリーゼのために」を聴いて気に入ったのがきっかけだったのかなと。
──クラシック音楽が身近にある環境で育ったんですか?
そうみたいですね。
──なぜ他人事?(笑)
ちょっと記憶が曖昧で(笑)。たぶん、学童保育の指導員さんがピアノで弾いてくれていたのかな。あと当時両親が車の中でかけていた曲にしても、Simon&Garfunkelの「The Sound of Silence」やCarpentersの「Yesterday Once More」みたいな、どこか切ない曲が印象に残っていて。それで小学校の高学年くらいのときには、いわゆる“昭和歌謡”が好きになっていましたね。
──昭和歌謡にハマるきっかけは何だったんですか?
テレビですね。モノマネ番組とか、「懐かしの名曲集」みたいな歌謡番組で歌われているのを観て。例えば渡辺真知子さんの「かもめが翔んだ日」や八神純子さんの「みずいろの雨」とか、去年の秋にリサイタル(名曲カバーが中心となったライブイベント「LAWSON presents 雨宮天 音楽で彩るリサイタル」)で歌わせていただいたような曲をよく聴いていました。
──有り体に言って、なかなか渋い趣味ですよね。
そうかもしれませんね(笑)。でも、中学に入ってからは渋くない曲も聴くようになって、それがJUDY AND MARYさんでした。すでに解散されていたので後追いだったんですけど、アルバムを毎日のように聴いていましたね。そのあと、中学2、3年生のときからアニソンを聴くようになって。
──アニメがお好きだったからですか?
いや、当時はアニメのことはあまりわからなかったんですけど、クラスの子たちが深夜アニメを観ていて。単純に流行っていたんですよね。お昼休みの放送で「涼宮ハルヒの憂鬱」の主題歌が流れていたり、カラオケで「創聖のアクエリオン」が定番だったり。だからアニソンへの入り口はいくらでもあったんです。
「絶対に歌手になる!」とは思っていなかった
──高校時代は軽音部でボーカルを担当されていたんですよね。それは歌が好きだったから?
もちろんそれもあるんですけど、中学時代に人間関係をこじらせ、かなり内気な性格になったと言うか……暗い子になっちゃったんですよ(笑)。そういう自分をちょっとでも変えたいという気持ちもあって、軽音部に入りました。
──その当時、プロの歌手になりたいという願望はありました?
たぶん、小学生くらいまではあったんですよ。小さいときから歌うのが好きだったし、よく「上手だね」って褒めてもらえていて……褒められるから歌が好きだったのかもしれないんです(笑)。でも、それも中学生になると「現実的に考えて無理だな」って。もちろん憧れはありましたけど、「絶対に歌手になるんだ!」とは思っていませんでした。
──でも、そのあと雨宮さんはアーティストとしてデビューされました。
ホントに、ありがたいことに。だからデビューが決まったときはあまり実感がなくて、徐々に「自分の曲ができるんだ。自分の歌が歌えるんだ」というワクワク感が湧き上がってきましたね。
TrySailがあるから、ソロでは尖った曲が歌える
──デビューから4年近く経ちますが、その間にご自身の中で変化はありましたか?
以前より、自己主張するようになりましたね。もちろんデビュー当初から自分の好みは伝えていたんですけど、まだ右も左もわからない状態だったので、その分主張も控えめだったと思います。でも主張がどんどん強くなって、例えば先ほどお話ししたリサイタルにしても、私がいかに昭和歌謡が好きかを熱弁した結果、実現したものなんです。あとやっぱりTrySailの存在も大きかったですね。
──雨宮さんがデビューされた翌年に、TrySailとしての活動もスタートしました。
先ほど「暗い曲が好き」と言いましたけど、逆に言うと明るい曲はあまり好きじゃなかったんですよ。だからTrySailでかわいらしい曲を歌うのは正直、初めは乗り気じゃなかったんです。でも、以前のインタビューでお話しさせていただいたように(参照:TrySail「WANTED GIRL」インタビュー)、いつしかTrySailの活動が忙しくなっていくうちに、「やるしかない!」と本気で取り組むようになって、その過程で「ソロではより個性的な曲を歌いたい。強さを見せていきたい」という欲が出てきたんです。
──実際、TrySailとソロの雨宮さんとでは、音楽性がだいぶ違いますからね。
だから住み分けができているんですよ。例えばソロで歌う曲を選ぶときに、スタッフさんから「それはちょっと攻めすぎじゃない?」とか「もっとさわやかな曲にしたら?」みたいな意見が出ることもあるんです。それに対して私は「さわやかな顔はTrySailで見せられているから、ソロではこのくらい振り切っちゃって大丈夫じゃないですか?」と、自分の希望を通させていただいたり。
──なるほど。
言い方を変えれば、TrySailがなかったらソロの“雨宮天”像みたいなものはここまで強くはならなかったかもしれないし、TrySailがあったからこそソロで「irodori」(2017年7月発売の4thシングル表題曲)や「Eternal」(2017年12月発売の5thシングル表題曲)のような尖った曲も歌えたんです。
──お話を伺う限り、雨宮さんの意向が楽曲制作において強く反映されているんですね。
反映していただいています。特にシングルであれば表題曲は、私が絶対に譲らないので(笑)。頑固なスタッフさんも最終的に折れるくらい、譲らない。だから結果的に、私のわがままをそのまま叶えていただいている形になっていますね。
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「誓い」から感じた、悲痛なほどに強い思い
- 雨宮天「誓い」
- 2018年5月9日発売 / ミュージックレイン
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初回限定盤 [CD+DVD]
1850円 / SMCL-539~40 -
通常盤 [CD]
1340円 / SMCL-541 -
アニメ盤 [CD+DVD]
1750円 / SMCL-542~3
- 初回限定盤、通常盤CD収録曲
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- 誓い
- Abyss
- 誓い(Instrumental)
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 誓い Music Video
- 誓い TV SPOT 15 sec
- 誓い TV SPOT 30 sec
- アニメ盤CD収録曲
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- 誓い
- Abyss
- 誓い(Instrumental)
- 誓い(TV size)
- アニメ盤DVD収録内容
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- 「七つの大罪 戒めの復活」ノンクレジットエンディング
- 雨宮天2018ツアー
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- 2018年7月15日(日)
- 神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
- 2018年7月29日(日)
- 大阪府 オリックス劇場
- 2018年8月5日(日)
- 新潟県 新潟テルサ
- 2018年8月11日(土・祝)
- 福岡県 福岡国際会議場 メインホール
- 2018年8月19日(日)
- 兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
- 2018年9月2日(日)
- 宮城県 チームスマイル・仙台PIT
- 雨宮天(アマミヤソラ)
- 1993年8月28日生まれの声優アーティスト。2011年に開催された第2回ミュージックレインスーパー声優オーディションに合格し、翌年に声優デビューする。2014年8に自身が主演を演じるアニメ「アカメが斬る!」のオープニング曲「Skyreach」を表題曲とした1stシングルを発表し、アーティストデビューした。同年12月には同じミュージックレインに所属する麻倉もも、夏川椎菜と共に声優ユニット・TrySailを結成することを発表。2016年9月に1stアルバム「Various BLUE」をリリースし、ソロライブ「LAWSON presents 雨宮天ファーストライブ2016 “Various SKY”」を大阪・オリックス劇場と東京・中野サンプラザホールで行う。2017年9月に名曲カバーを中心としたライブイベント「LAWSON presents 雨宮天 音楽で彩るリサイタル」を実施。同年12月にワンマンライブ「LAWSON presents 雨宮天ライブ2017 “Aggressive SKY”」を開催した。2018年5月にアニメ「七つの大罪 戒めの復活」のエンディング曲を収めた6thシングル「誓い」をリリース。7月より自身初となる全国ソロライブツアーを行う。