ナタリー PowerPush - ALTIMA

まだまだ未知数!アニソン界のスーパーユニットが語る未来

自分たちが新人であるということを理解できていなかった

──そして、新巻鮭を担いで2011年に華々しいデビューを飾ってからこれまでの活動って、改めて振り返ってみるとどんな印象がありますか?

MOTSU まだまだ未知数のグループだな、と。実は1枚目のシングルの「I'll believe」や2枚目の「One」をリリースした頃って、自分たちに過度に期待していた部分があったんですよ。もちろん及第点以上の結果は残しているんですけど、それ以上の結果、それこそ僕たちのそれぞれのファンの和、その総量の支持を獲得できると思っていて。でも、皆さんの目と耳はもっとクールでしたね。

MAON アニメソングを応援している方って、アーティストさんや声優さんを信頼した上で、その楽曲や人を応援しているんだと思うんですけど、ALTIMAはまだデビュー1年にも満たないから、そういった信頼を……。

インタビュー風景

SAT まだ勝ち得ていない。実はまさにこのあいだ、「BURST THE GRAVITY」のトラックを作ってる最中だったんですけど、そんなことが頭をよぎって。「よく考えたら、オレら新人なんだよな」って。

MOTSU だから、自分たちが新人であるということをちょっと理解できていなかった。読み違えていたのかもしれませんね。ただ、fripSide、黒崎真音、m.o.v.eのそれぞれのファンの方全ての支持を獲得できていないということは、逆にまだまだ先に行けるな、っていうイメージもあって。だから未知数なのかなとは思ってます。

──ALTIMAとしての活動が、m.o.v.e、fripSide、黒崎真音というアーティストの活動に何か影響を及ぼすことはありました?

MOTSU ALTIMAとして活動するにあたって、僕はまずJAM Projectさんを目標に掲げたんですよ。彼らも個々にリリースしつつ、ユニットとして活動していて、それぞれの活動がそれぞれの活動にターボ効果みたいなものを与えているじゃないですか。僕らもそういうふうになれるように、ということは念頭に置いてますね。実際なれてるかどうかはわかりませんけど(笑)。

MAON いやいやいや(笑)。私、ALTIMAのおかげで新しい一面が見つけられましたから。私のソロの作品って、表か裏かといったら裏の感情、割と女の子らしい切ない気持ちや悲しい気持ちを歌うことが多いんですけど、ALTIMAは、観ている人に楽しんでもらいたいっていうコンセプト。だから、詞を書いているときや歌っているときに前向きな気持ちが働いて、ポジティブな表現ができるんですけど、それって自分にとってはかなり新鮮な体験なんですよ。

SAT あと、周りの反応も面白いですね。fripSideのスタッフからはいつも「ALTIMAに負けたくない」「SATさん、ALTIMAばっかやらないでくださいよ」って言われてますから。いい意味でライバル感があるみたいです。

MOTSU m.o.v.eの場合は「いい意味で乗っかり感」ですけどね。

──いかにALTIMA人気にあやかるか(笑)。

MOTSU そうそうそう(笑)。

サイバーSFなんだけど、ちゃんと人の存在が感じられるアニメ

──先程「新人」を自称していましたけど、実際の楽曲はまるで新人らしくないですよね。デビューシングルでごあいさつとばかりに派手なデジタルJ-POPを披露したかと思ったら、2枚目ではあえて1枚目のイメージを裏切るようにボーカルを聴かせるメロウな楽曲を作ってみせた。こんなに多彩で器用な新人、ヨソにはまずいませんから。

SAT ありがとうございます!(笑)

──で、3枚目の「BURST THE GRAVITY」では何をするんだろうと思っていたら、1枚目よりもさらにBPMを上げて、いい意味でさらに過剰でド派手な楽曲を用意していた。なぜこういうサウンドメイキングを?

SAT アニメ「アクセル・ワールド」のオープニングテーマということもあって、作品の持つ加速感、疾走感を楽曲でも再現しようっていうのが、まず大きなテーマとしてあって。あと、ALTIMAとしてもう3枚目のシングルになるわけだし、そろそろ真価が問われるだろうな、と。「アクセル・ワールド」はレーベルの主要タイトルでもあることですし、そこに勝負の3枚目をぶつける以上、我々も最大限のさらに上を行く力をもって勝負しようということで、1枚目よりもさらに攻めたトラックになったんですよね。

MOTSU そうですね。あと、僕の場合は「シャナ」のタイアップが決まったときもそうだったんですけど、まず原作を大人買いして読んでみるんですよ。で「シャナ」は、どちらかというとハードコアライトノベルの世界だから、そのオープニングテーマの「One」はハードでシリアスな楽曲になったし、「I'll believe」はエンディングらしくメロウになった。でも「アクセル・ワールド」は「シャナ」に比べると、もっとエンタテインメント性が高いというか、コミカルさやおかしさがあるじゃないですか。そういうキャッチーな感じ、いい意味でわかりやすい感じが曲にも欲しいよね、という話はしましたね。

──MAONさんも今回オープニングを歌う前には「アクセル・ワールド」をご覧になりました?

インタビュー風景

MAON アニメの放送前から気になってました。情報誌の新作アニメ紹介の記事を見て「うわっ、これ絶対観る!」って(笑)。私にとって夢の世界なんですよ。何もないはずの空間に画面が浮かび上がって、それをピッピッピッて叩くと違う世界に飛んでいって違う自分になれるのって。それにハルユキというパートナーを見つけることで、今までひとりで追いかけてきた夢をふたりで一緒に叶えようとするヒロインの黒雪姫のことも好きですし。そういう意味では、曲や詞に対する気持ちはMOTSUさんと一緒ですね。これまでのシングル全て私が作詞してるんですけど、今回は特に女の子らしい視点で書いていて。大好きな年下の男の子に対する親子の愛情にも似た恋心を意識した「One」や「I'll believe」とはまた違うキャッチーな詞になりましたから。

SAT 「アクセル・ワールド」って、そのキャッチーさとデジタル感のバランスがいい作品なんですよ。僕は「アクセル・ワールド」の前期エンディング、KOTOKOさんの「→unfinished→」のサウンドプロデュースもしているんですけど、作品のベースに未来感やサイバー感があるから、デジタルサウンドの作り手としてどちらのトラックもすごく作りやすかった。しかも、それでいてキャラクターの日常生活が描かれているじゃないですか。

──仮想空間で激しい戦闘を繰り広げる一方で、その空間からログアウトすれば、そこにはラブストーリーがあるし、親友との友情やあつれきや、なんならスクールカーストみたいなものまであるし。

SAT fripSideで携わらせてもらった「とある科学の超電磁砲」もそういう作品ではあったんですけど、実はこの手の、根っこはサイバーSFなんだけど、ちゃんと人の存在が感じられるアニメってありそうでないんですよね。だから、曲を作ってて楽しいんですよ。

3rdシングル「BURST THE GRAVITY」 / 2012年7月25日発売 / ワーナー・ホーム・ビデオ

収録曲
  1. BURST THE GRAVITY
  2. CYBER CYBER
  3. BURST THE GRAVITY -instrumental-
  4. CYBER CYBER -instrumental-
収録曲
  • 「BURST THE GRAVITY」PV
ALTIMA(あるてぃま)

ALTIMAm.o.v.eのmotsu(MOTSU)、fripSideのsat(SAT)、黒崎真音(MAON)により結成された3人組ユニット。2011年にさいたまスーパーアリーナで行われた「Animelo Summer Live 2011 rainbow」でシークレットゲストとして登場し、観客に大きなインパクトを残した。その後アニメ「灼眼のシャナIII-FINAL-」のエンディングテーマになった「I'll believe」「ONE」という2枚のシングルを発表。2012年7月にはアニメ「アクセル・ワールド」のオープニングテーマとなった3rdシングル「BURST THE GRAVITY」をリリースした。