ナタリー PowerPush - Alice

次世代シンガーが語る 充実コラボ曲と故郷・福島

イメージはホイットニーとマライアのコラボ曲

──2曲目「BEAUTIFUL feat. 宏実」も実力派R&Bシンガー・宏実さんとのコラボ曲ですね。宏実さんとは以前から交流があったんですか?

知り合ってまだ1年くらいなんですけど、もう大親友ですね。以前から大好きで、メロディメイクやリリックのセンス、声質やフェイクも本当に日本人離れしてるなって。ずっとリスペクトしてたんです。

──そもそもどこで知り合ったんですか?

2年前、とあるイベントで一緒になったんです。そのとき「今日言わなきゃ!」って思って駆け寄ってCDを渡して。「本当に大好きなんです!」って告白したんですよね。その後すぐに一緒に遊ぶようになって、今じゃ週2~3回は会ってるんじゃないかっていう(笑)。

──今回のフィーチャリングの話も、そんな流れで自然に出た感じでしょうか。

そうですね。でもせっかく2人でやるなら、アップテンポで楽しい感じもいいけど、今の時代だからこそあまりデジタル音に頼らない懐かしいサウンドもいいよねってことで。こういうバラードになりました。

──楽曲はどのように作っていったんですか?

今回トラックを作ってくださった村山晋一郎さんは元々、宏実と何度かお仕事をしてる人で、今はアメリカ在住なんです。なので「こういう曲が欲しいです」っていう参考曲としてホイットニー・ヒューストンとマライア・キャリーのフィーチャリング曲(「When You Believe」)を挙げたら、まさに「これこれ!」っていうものが届いて。私たちのやりたいことを全部理解してくださってたし、作業もスムーズでしたね。

──この曲の元のイメージがホイットニー&マライアだったとは……。

そうなんです(笑)。でも、あれくらいバーっと歌い上げるものにしたくて。サウンド的にもちょっと古いまではいかないけど、懐かしいねって感じられるようなものを目指しました。

──2人のハーモニーはすごく迫力があって、まさに“歌い上げてる”って感じですもんね。あとこの曲は歌詞がすごく大人で。

そうなんですよ。作詞はだいたい宏実宅で、2人でマカロンとか食べて女子トークに花を咲かせながら書いていきました(笑)。違う環境の2人の女子が出てくるんですが、不思議とサビでは同じ思いを訴えてて。まさに女の子のための1曲って感じですね。

地元・いわき市の今を伝えたかった

──3曲目「光」は、ちょっと異質なナンバーですよね。

はい。私、出身が福島なんですけど……。

──え! そうなんですか!?

はい、グアム生まれの福島育ち。なまってるやつは大体友達ってね(笑)。

──あははは(笑)。

なので普通に3~4年前までは福島で暮らしてたんですけど、去年東日本大震災があって。実家がいわき市だから被害も結構大きくて、そんなときに何もできない自分が情けなかったり悔しかったりしたんです。

──ええ。

でもそんな中で自分の曲がドラマのオープニングテーマに起用されて、地元の友達からも「Aliceの声がテレビから流れた!」ってメールをいっぱいもらって。そこで「やっぱり私は歌でみんなに元気を与えなきゃいけない」と思ってこの曲を作ったんです。

──歌詞にはどんなメッセージが盛り込まれていますか?

あの日から1年が経って、日本全国には私みたいに被災地に家族がいる人もたくさんいるだろうし、私はそういう人の気持ちが少しでもわかるんじゃないかって。だから被災地の人と全国の人たちの中間に立って、そういう目線から今の思いを伝えたいって思ったんです。

──具体的にはどんなふうに?

まず浮かんできたのが地元の皆さんの笑顔やパワーなので、福島の人たちは今こんなに元気なんだよっていうのを全国に伝えたくて。もちろん場所にもよりますけど、被災地で何回かライブをしたときにそれを強く感じたんですよね。全国には被災地の心配をしてくれてる人もたくさんいるし、そういう人たちのためにも曲でその様子を届けたいなって。

──実際、被災地には今“光”が射し込んでいるんですか?

地域差はありますけど、少なくとも私の地元は復興してきてる。みんな本当にがんばってるんで。先日も「スパリゾートハワイアンズ」が再オープンしたり、徐々に光は射してると思いますね。

──それは安心しました。あと、この曲はサウンド的にもすごくシンプルですね。

最初はR&Bっぽくしようかと思ったんですけど、「光」は自分の気持ちをストレートに乗せたほうがいいのかなと思ったので。楽器はアコースティックギターとカホンくらいで、グッと歌に寄せた感じにしたんです。

──なるほど。それにしても今回はバラエティに富んだシングルが完成しましたね。

幅広すぎですよね。やりたい放題か?っていう(笑)。ただ、いろんなジャンルをやっていきたい気持ちも確かにありつつ、ブラックスタイルも崩さずにいたいので。そういうところは自分でメロディメイクもしてるから調整も利くし、そのときどきで表現したいことをやらせてもらってる感じですね。

──で、今回のフィーチャリングみたいにさらに1エッセンス盛り込みたくなったり……。

そうそう。なんか変化をつけたくなっちゃって。見栄っ張りていうか……。

──欲張り?

そう! きっと欲張りなんでしょうね(笑)。

X LOVERS feat.SHUN / Amazon.co.jpへ

  • ニューシングル 「X LOVERS feat.SHUN」2012年4月11日発売 1223円(税込)SME Records SECL-1110
CD収録曲
  1. X LOVERS feat.SHUN
  2. BEAUTIFUL feat.宏実
  3. X LOVERS feat.SHUN(Alice karaoke ver.)
  4. X LOVERS feat.SHUN(SHUN karaoke ver.)
LIVE INFORMATION
Almost WEEKEND
2012年4月19日(木)
東京都 渋谷club asia
START 17:00
R-Festa
2012年5月6日(日)
福岡県 アルモニーサンク北九州ソレイユホール
OPEN 16:30 / START 17:00
Alice(ありす)

3月2日生まれ、アメリカ人と日本人の両親を持つ女性シンガーソングライター。子供の頃から歌手を目指し、2010年に行われたオーディション「Voice of McDonald's 2010」にて約1万5000人の応募者の中からグランプリに選ばれる。同年7月、シングル「イチバンボシ」でメジャーデビュー。2011年6月にはテレビドラマ「名前をなくした女神」オープニングテーマとなったシングル「moving on」をリリースし、大きな注目を集めた。同年7月、初のフルアルバム「JUST ONE」を発表する。2012年4月「SPRINGROOVE 2012」に出演。初の大舞台で圧倒的なパフォーマンスを披露した。4月11日に新進気鋭のラッパー・SHUNとの2度目のコラボレーションとなるシングル「X LOVERS feat. SHUN」をリリース。