alcott初の全国流通盤「宣戦布告 / ピーナッツ」

──そして先日、初の全国流通盤「宣戦布告 / ピーナッツ」がリリースされました。

貴田　もうまさに「宣戦布告」ですね。挑戦状というか。僕らは楽曲の振り幅みたいなものを追求してきたんですけど、今回はいろんな人にalcottというバンドを聴いてもらえる機会なので、さっきヒジカタくんが言ってくれた通り、やっぱりど真ん中ストレートの音を鳴らしたいと思って作りました。この作品を皮切りに、ここにいるみんなと肩を並べられるくらい、みんなを越していけるくらい、もっともっと上にいけるようにという気持ちを込めています。

山中　毎回、宰司くんから音源を送ってもらってて。宰司くんの性格も知ってるから、正直「あ、宰司くんは迷ってんな」とか思ったこともあったんですよ。曲自体はすごくいいけど「今迷ってるんやろな、いろいろ試してる時期なんやろうな」と。でも彼なりの答えを絶対見つけてくるんやろうなっていうのは思ってた。そしたら今回「勝負の曲ができた。この曲で初めて全国流通するから」ってこの音源が送られてきて。俺はalcottが1周した感じがした。俺が知ってる、もともとカッコいいなって思ったalcottのレベルアップバージョンって感じ。いろんなことを試してきたからこそ、もともとの芯が強くなったんやなって。全国流通の1発目にふさわしいCDやと思った。

貴田　ありがとうございます。うれしい。

山中　宰司くんってすごく悩む人やと思うし、実はメンタルが弱い人なんじゃないかなって思ってて、それが歌詞に生々しく出ていて、人間味あふれた曲だなと。あと音の譜割りがすごくよくなった気がする。alcottって楽器遊びが多い印象だったんだけど、歌も遊びつつわかりやすくなっていて。これもいろんな挑戦をしてきたからなんだろうなと。「これが俺ら。今まで迷ったけどここにたどり着いたよ」というのをすごく感じたな。

内田　俺はこの作品から「背負うものを決めた」感じを受けて。どっちかと言えば、いつもは遊び仲間というか、はしゃいでる姿ばっかりを見てきたんだけど、この作品からはギラギラしてる感じが伝わってくるというか。「宣戦布告」っていうタイトルがぴったり。今日ひさしぶりに会ったけど、宰司くん自身にも奥行きが出ていて。「ピーナッツ」で言えば、気合入ってるけど、遊び心も入ってて空回りはしてないし。「おお！」ってなった。

貴田　さっきからみんなが言ってくれる言葉、録音しておいて寝るとき聞きたい（笑）。こんなに言っていただけることないんで！ ほんまうれしいです。

内田　年が近いからよくわかるんだけど、28歳とか29歳になって、覚悟決めるのってちょっと怖いんですよね。今まで守ってきたものもあるから。だけどalcottがここで覚悟を決められたのは、今いいモチベーションを保ててるからだと思う。

ヒジカタ　バンドを続けていくと、どんどん凝り固まってくることもあるし、どんどん複雑に絡まっていくものがいろいろあると思うんですけど、このタイミングでシンプルに「勝つか負けるかの宣戦布告」って仁王立ちして言えるのがすごいなと思って。挑戦的でカッコいいですよね。

貴田　僕はここにいる3人含めいろんなバンドを見て、やっぱりボーカリストが背負ってる覚悟ってとてつもないものがあると思わされたんですよ。覚悟ってそれまでの僕にはなかった部分で。自分はほかのバンドの人と何が違うんだろうって考えながら見渡したときに、みんな覚悟があった。みんな、メンバーやスタッフさん、バンドを支えてくれるたくさんの人たちを守ろうとして、いろんなものを背負ってるボーカリストだったんですよ。目立てば目立つほど、いろんな人からいろんなことを言われてるやろうし、傷付いてきてると思うんですけど、そういうものに立ち向かうために強くなっていってるんやなと。だから自分も強くならないとなあと本当に思いました。全国流通盤を出すことになって、関わってくれる人が増えて、その意識はさらに強くなりましたね。

──今回の全国流通盤「宣戦布告 / ピーナッツ」をどういう人に聴いてもらいたいですか？

貴田　自分と仲間を思って書いた部分が大きいんですよ。何か夢に向かって、自分の叶えたいことに対して一生懸命続けてる人にも通じるところがあると思うので、そういう人に聴いてもらいたいですね。僕の座右の銘は「続けること」「継続は力なり」なんで。