ナタリー PowerPush - alan
デビューから3年、アジアの架け橋になった alanの歴史を紐解くベストアルバム
私のいろんな部分を見せていきたい
──この3年間で、ボーカルにも変化がありました?
はい、あったと思います。発音も良くなったと思うし、歌の感情も前よりは自然になったんじゃないかなって。昔は「これでいいのかな」って疑ってたところもあるんですよね。でも、今は少しずつ自信も出てきたし、「自分のセンスを信じよう」って思ってるので。今でもときどきあるんですけどね。「どういう気持ちで歌えばいいのかわからない」ってうことが。
──ベストアルバムのDISC 2に収録された新曲もバラエティに富んでいますが、レコーディングはどうでした?
新曲は4曲なんですけど、それぞれまったく違う感じですよね。「ECHOES」は壮大なバラードなんですが、とても難しかったです。歌詞もすごくいいですね。寂しいときも、悲しいときも、小さな勇気を持っていることがすごく大事なんだっていう。チベット語が入ってるんですけど、そこはお父さん、お母さんに教えてもらいました。
──2曲目の「木漏れ日」は?
純粋なJ-POPだなって思います。リラックスした雰囲気があって、歌うというよりも話しかけるという雰囲気ですよね。この曲を歌うときは、ファンの方たちのことを思っていました。例えば「いつかは同じように笑い いつかは同じように愛し あの頃よりずっと強くなれたから 今ここで私も生きてる」という歌詞はまさにそうですよね。
──ファンのみなさんとの思い出もたくさんできましたよね?
もちろんです! 私はそれほど優秀ではないし、今も落ち込むこともあって。でも、困ったときとか悩んだときは、みんなのコメントを読んだり、笑顔を思い出すんです。すごく力になってますね。
──「eternal love ~恋の花~」はオーソドックなラブソングですね。
典型的なバラードですよね。ずっとずっと思ってる人がいて、ひとりの人を待ち続けている──この女の子の気持ち、すごく共感できますね。
──「Venus Flower」はいままでになかったタイプの曲ですね。
そう、私じゃないみたい(笑)。私も作曲に参加させてもらったんですけど、ちょっとボサノバみたいな雰囲気もあって。4曲ともジャンルが違うけど「これからのalan」も感じてもらえると思います。
──音楽性はさらに広がっていく、と。
そうですね。音楽のこともそうですけど、私のいろんな部分を見せていきたいなって思ってます。等身大のalanを表現したい。
自分で自分の勇気に感動する
──まだまだリスナーに見せてないところがある?
いっぱいありますね! まだ一部分しか見てもらってないと思ってるので。私のイメージって、ちょっと間違ってるところもあると思うんですよ。たとえば「フルーツとか野菜が好きそう」って思われることが多いんですけど、それは違っていて、実は肉が好きとか(笑)。「静かで大人っぽい」っていうイメージもあるみたいだけど、幼稚なところもけっこうあるし。今日みたいに「ニコニコ生放送」に出させてもらうのも、すごくいいこと(この日の取材の模様の一部は「ニコニコ生放送」で生中継された)。
──普段のalanが伝えられる場所ですよね。音楽的なところではどうですか?
少しずつ作曲もやってるんですけど、引き続き作詞にも挑戦していきたいですね。日本語で書くのはすごく難しいですけど、でも、やりたいです。自分の気持ちを表現するのは、すごくいいことだと思うし。今までどおりにバラードも歌っていきたいし、「Venus Flower」みたいな等身大の歌も歌っていきたいですね。あとはダンスミュージックだったり、ジャズの曲だったり、R&Bだったり。チャレンジしたいことはたくさんありますね。自分の好きな感じの曲も歌いたいです。
──ちなみに最近はどんなものを聴いてるんですか?
今はシャリースをよく聴いてます。フィリピン人の女の子なんですけど、同じアジアのアーティストがアメリカで成功しているのはすごく憧れます。海外で活動するのって、すごく大変だと思うんですよ。言葉のこともあるし、自分の国とは環境もぜんぜん違うし……。
──alanさん自身も、同じ経験をしているわけですよね。いろんな困難を乗り越えてきたわけですが、今3年前の自分を振り返ってみて、どんなことを思いますか?
3年前のことを振り返ると、自分で自分に感動しますね。言葉も喋れない、家族もいない場所で生活しながら、アーティストとして活動する──それはすごい勇気だなって思います、今でも。
DISC 1
- 明日への讃歌
- ひとつ
- 懐かしい未来 ~longing future~
- 空唄
- 風の手紙
- RED CLIFF ~心・戦~
- 恵みの雨
- 群青の谷
- 久遠の河
- BALLAD ~名もなき恋のうた~
- Swear
- Diamond
- Over the clouds
- 風に向かう花
- 悲しみは雪に眠る
DISC 2(※JAPAN PREMIUM BEST & MOREのみ)
- ECHOES
- 木漏れ日
- eternal love ~恋の花~
- Venus Flower
- 忘れないで performed by S'capade featuring alan
- 愛は力 performed by alan×福井敬 ―BONUS TRACK―
alan(あらん)
1987年生まれ、中国・四川省出身の女性シンガー。幼少時より歌と二胡を習い、16歳で北京の中国人民解放軍藝術学院声楽科に入学する。2006年4月に北京で開催されたオーディションに参加し、歌手デビューが決定。2007年11月、野島伸司が詞を書き下ろしたシングル「明日への讃歌」でメジャーデビューを果たす。2008年には「RED CLIFF ~心・戦~」が、2009年には「久遠の河」が映画「レッドクリフ」シリーズの主題歌に起用され、世界的な注目を集める。その後も数々の映画主題歌を歌い、アジアの架け橋となるシンガーとして活躍中。歌手活動に加え、ファッション誌「AneCan」でもモデルとして活動している。