ナタリー PowerPush - alan

デビューから3年、アジアの架け橋になった alanの歴史を紐解くベストアルバム

来日当初は国際電話ばかり

──当時は「自分の歌が受け入れられてる」という実感はなかったですか?

alan

全然なかったですね。だって最初はファンもいないでしょ? 家族も親戚もいないし、日本では全部が“自分”なんで……。初めてのイベントのこともよく覚えてますね。200人くらいの人が集まってくれたんですけど、自分の歌を聴くために集まってきてくれたことにビックリしました。CDも60枚くらい売れたんですよ(笑)。でも、ほとんど日本語が話せなかったので、そこは大変でしたけどね。「alanです。美人谷というところから来ました。20歳です。よろしくお願いします。『明日への讃歌』聴いてください」だけでした。ライブの前も、よく寝れなかったんですよね。いろいろ心配で……。

──自分を元気にするために、何かやっていたことはありますか?

国際電話ばっかりしてました(笑)。あと、おうちの下にあったコンビニに行って、中国人の店員さんと話したりしてました。ほんとに少しだけですけどね。「東京はどうですか」とか。私も「学生です」って言ってたんですよ、そのときは。

──歌を歌ってますとは言わなかったんですか?

言えなかった。日本に来たばかりで、日本語を勉強してますって。でも、ちょっと話をするだけでもホッとしたんですよね。

国境や民族の違いは音楽には関係ない

──坂本龍一さんがプロデュースした「懐かしい未来 ~longing future~」、映画「レッドクリフ」の主題歌になった「RED CLIFF ~心・戦~」などがリリースされてからは、状況も変わってきたのでは?

「懐かしい未来」のときはチャートがすごく上がって、スタッフのみなさんの情熱が上がってました(笑)。「RED CLIFF」のときは東京映画祭やカンヌ映画祭みたいな、世界の舞台にも参加させてもらって、いろいろと勉強になりました。あとでカンヌのときの写真を見ると、全部右肩が上がってるんですよね。緊張すると右肩が上がっちゃうんですよ、私。

──(笑)。でも、ホントに質の高い曲ばかりですよね。

そう思います。野島伸司さん(「明日への讃歌」作詞)、坂本龍一さん(「懐かしい未来 ~longing future~」プロデュース)、古内東子さん(「恵みの雨」作詞)、Coccoさん(「群青の谷」作詞・作曲)といった有名な先生たちに曲を書いていただいて。とても恵まれているし、感謝していますね。音楽には国境とか民族の違いなんて関係ないんだなって、ホントに思いますね。

alan

──ロックテイストの「風の手紙」もそうですが、ジャンルの幅もどんどん広がって。

「空唄」のときは初めてダンスをやったんです。ダンス、難しかったですね。私は歌詞を大事にしてるんですけど、ダンスをしながら歌うと、どうしても歌に集中できなくなってしまって。これからもやっていきたいですけどね。ただ、日本と韓国には、ダンスの強いアーティストがたくさんいるでしょ? 私はもう23歳だけど、チャンスあるかな?

──いやいや、可能性だらけですよ!

じゃあがんばります(笑)。でも、ダンスはいいですよね。リズム感も良くなるし、それは歌にも関係してくるので。トレーニングはちょっと疲れますけど。

「JAPAN PREMIUM BEST」 / 2011年3月2日発売 / [CD]2980円(税込) / avex trax / AVCD-38236

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「JAPAN PREMIUM BEST & MORE」 / 2011年3月2日発売 / avex trax

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DISC 1
  1. 明日への讃歌
  2. ひとつ
  3. 懐かしい未来 ~longing future~
  4. 空唄
  5. 風の手紙
  6. RED CLIFF ~心・戦~
  7. 恵みの雨
  8. 群青の谷
  9. 久遠の河
  10. BALLAD ~名もなき恋のうた~
  11. Swear
  12. Diamond
  13. Over the clouds
  14. 風に向かう花
  15. 悲しみは雪に眠る
DISC 2(※JAPAN PREMIUM BEST & MOREのみ)
  1. ECHOES
  2. 木漏れ日
  3. eternal love ~恋の花~
  4. Venus Flower
  5. 忘れないで performed by S'capade featuring alan
  6. 愛は力 performed by alan×福井敬 ―BONUS TRACK―
alan(あらん)

1987年生まれ、中国・四川省出身の女性シンガー。幼少時より歌と二胡を習い、16歳で北京の中国人民解放軍藝術学院声楽科に入学する。2006年4月に北京で開催されたオーディションに参加し、歌手デビューが決定。2007年11月、野島伸司が詞を書き下ろしたシングル「明日への讃歌」でメジャーデビューを果たす。2008年には「RED CLIFF ~心・戦~」が、2009年には「久遠の河」が映画「レッドクリフ」シリーズの主題歌に起用され、世界的な注目を集める。その後も数々の映画主題歌を歌い、アジアの架け橋となるシンガーとして活躍中。歌手活動に加え、ファッション誌「AneCan」でもモデルとして活動している。