ナタリー PowerPush - alan

デビューから3年、アジアの架け橋になった alanの歴史を紐解くベストアルバム

デビュー3周年を迎えたalanから、初のベストアルバム「JAPAN PREMIUM BEST & MORE」が届けられた。チベットの民俗音楽の伝統を正統に受け継ぐボーカルによって、シーンに心地良い衝撃を与えたデビュー曲「明日への讃歌」、映画「レッドクリフ」の主題歌となり、彼女の存在を世界に知らしめた「RED CLIFF ~心・戦~」などを収録した本作には、「音楽を通してアジアの架け橋になりたい」という思いで活動を続けてきた彼女の軌跡がしっかりと刻み込まれている。さらにDISC 2には、彼女自身が「これからのalanを感じてもらえると思う」という新曲4曲を収録。alanの“これまで”と“これから”が交差する、意義深いベストアルバムに仕上がっている。

取材・文/森朋之

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プレッシャーを受け入れることも自分の仕事

──初のベストアルバムですね。

はい。今までに出してきたシングルも全部入ってます。(アルバムに関する)インタビューもたくさんやってますし、コメントもいっぱい録ってます。「みなさん、こんにちは。alanです!」って(笑)。いいことですね。

──そうですね(笑)。デビュー当時のことを振り返る機会も多いんじゃないですか?

alan

忙しくて思い出してる時間はそんなにないんですけど、振り返ってみると「少しは慣れてきたのかな」って思いますね。初めのころは日本語も少ししかしゃべれなかったし、今みたいに自分の気持ちを伝えることも、みなさんと交流することも難しくて。中国語をしゃべったときはマネージャーさんが訳してくれるんですけど、ときどきこちらの気持ちが伝わらないこともあったし。今はそういうこともなくなって……私、変わりましたか?

──(笑)。いろんな意味で成長したことは間違いないですよね。自分ではどう感じてます? この3年間の変化について。

一番大きいのは、心のバランスが取れるようになったことですね。昔は考え込んでしまうことが多すぎたので。アーティストの仕事っていうのは、みなさんを楽しくするためにがんばることだと思うんですけど、私のことを好きな人もいるし、そうじゃない人もいるじゃないですか。そういうプレッシャーを受け入れることも自分の仕事なんだなって。

──精神的に強くなった、と。

まだですけどね(笑)。もっと強くならないといけないと思います。

「アジアの架け橋になれたらいいな」

──改めて訊きたいのですが、日本でのデビューが決まったときはどう思いました?

alan

もちろんうれしかったけど、信じられないし、ビックリしたし、意外でした。小さいころからずっと音楽の勉強をしてきて「アーティストになりたい」とは思っていましたけど、そんなことはできないと思ってたんですよ。日本の音楽業界はアジアでNO.1でしょ? そんなところで自分がやっていけるとは思ってなかったので。デビューが決まったのはvery happyだけど、自信はなかったですね。

──では、デビュー曲「明日の讃歌」を初めて聴いたときの印象は?

ふるさとのイメージがありました。「もうすぐ、自分のふるさとにバイバイするんだ」ってう気持ちもあって、ちょっと寂しくなったりもして。「明日への讃歌」はチベット民謡やアジアのテイストとJ-POPのミックスですね。

──うん、まさにそうですね。

そういう音楽は今までの日本のシーンにはなかったと思うし、alanのオリジナルだなって。「こういうふうにアジアの架け橋になれたらいいな」って思いましたね。

──alanさんのボーカルスタイルもすごく衝撃的でした。実際、alanさんの歌声を聞いてビックリした人も多いと思うのですが。

何で? 発音下手だから?(笑)

──いやいや(笑)、チベット特有の……。

チベットのフェイクですね。好き?

──素晴らしいと思います。

じゃあ続けよう。がんばります(笑)。

「JAPAN PREMIUM BEST」 / 2011年3月2日発売 / [CD]2980円(税込) / avex trax / AVCD-38236

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「JAPAN PREMIUM BEST & MORE」 / 2011年3月2日発売 / avex trax

  • 初回限定盤[CD2枚組+DVD] / 6300円(税込) / AVCD-38232~3/B / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD2枚組+DVD] / 4980円(税込) / AVCD-38234~5/B/ Amazon.co.jpへ
DISC 1
  1. 明日への讃歌
  2. ひとつ
  3. 懐かしい未来 ~longing future~
  4. 空唄
  5. 風の手紙
  6. RED CLIFF ~心・戦~
  7. 恵みの雨
  8. 群青の谷
  9. 久遠の河
  10. BALLAD ~名もなき恋のうた~
  11. Swear
  12. Diamond
  13. Over the clouds
  14. 風に向かう花
  15. 悲しみは雪に眠る
DISC 2(※JAPAN PREMIUM BEST & MOREのみ)
  1. ECHOES
  2. 木漏れ日
  3. eternal love ~恋の花~
  4. Venus Flower
  5. 忘れないで performed by S'capade featuring alan
  6. 愛は力 performed by alan×福井敬 ―BONUS TRACK―
alan(あらん)

1987年生まれ、中国・四川省出身の女性シンガー。幼少時より歌と二胡を習い、16歳で北京の中国人民解放軍藝術学院声楽科に入学する。2006年4月に北京で開催されたオーディションに参加し、歌手デビューが決定。2007年11月、野島伸司が詞を書き下ろしたシングル「明日への讃歌」でメジャーデビューを果たす。2008年には「RED CLIFF ~心・戦~」が、2009年には「久遠の河」が映画「レッドクリフ」シリーズの主題歌に起用され、世界的な注目を集める。その後も数々の映画主題歌を歌い、アジアの架け橋となるシンガーとして活躍中。歌手活動に加え、ファッション誌「AneCan」でもモデルとして活動している。