普段のメイは全部捨ててください

──今村さんは「period feat. メイユイメイ」でも作曲を担当していますね。

今村　「period」は僕と新たにコドモメンタルに所属してもらったHyperVideo2（参照：HyperVideo2がコドモメンタルINC.とエージェント契約締結）で一緒に作った最初の曲で、一番悩んだ曲でもありました。これは誰が悪いわけでもないんですが、そのときの僕のスケジュールがパンパンすぎてレコーディングのディレクションに参加できなかったのもあって、一度レコーディングしたものを再度全部録り直させてもらったり。心鞠が歌うラップの細かいピッチまで全部直しながら録り直したからけっこう大変だったよね？

marikoyu　最初のレコーディングのときは私自身、この曲がどういう曲なのか理解できてなくて。どういうテンション感で歌えばいいのか、優しく歌うべきか強く歌うべきか、いろいろ試して何パターンも試してみたら、どれも社長に刺さらなくて。

今村　普段は（水谷）和樹やsyvaくんに曲を書いてもらっているから、僕はジャッジをする役というか、今あるメンバーの実力の中で最適解を探すことに集中すればいいんですけど、自分で曲を書くと、どうしても頭の中で鳴っている理想像があるから、それを彼女たちに求めてしまう。特に「period」には1曲の中でいろんな要素を詰め込んでいて、曲のパートによって僕がイメージしているボーカルが変わるんですよ。だから心鞠はもちろん、メイユイメイにも苦労をかけてしまいました。

marikoyu　メイさんのボーカル、つれづれ（ゆくえしれずつれづれ。2021年1月に解散した）でもぜん君。でも見せたことのない表情だったから驚いちゃった。

今村　「普段のメイは全部捨ててください」みたいなディレクションだったからね（笑）。スクリームを入れたかったのと、僕らの世代で言うとCharaとかUAとかの声質に一番近いのがメイだったんです。できるかできないかはわからなかったけど、ボーカリストは声を楽器のように使うのが仕事だから、こういうこともできてほしくて。僕はまだ見れてないんだけど、ダンスも相当苦労したみたいだね。

まるあうま　デモ音源をもらったときは心鞠さんと同じで、この曲のことを理解できてなかった気がして。振り入れをしていたけど、イマイチつかみきれないというか……。

nainotokanon　心鞠さんとメイさんの歌声が入った音源が届いて、やっと見えてきた感覚がありました。ライブまでまだ時間があるので、振り付けに関してはまだまだ突き詰めていきたいところがあって、これからまたみんなで合わせてブラッシュアップしていきたい曲でもあります。

シンガーとしての存在感が買われた1曲

今村　めちゃくちゃ難しいことに挑戦してしまった「period feat. メイユイメイ」とは逆に、「with u feat. セツナウイネ」という曲はJ-POP然としたモノにしたくて。こういうのよく街で流れてるよね、みたいな（笑）。

marikoyu　ウイネちゃんの声がめちゃくちゃキレイなんですよね。デモでもらっているときに思い描いたイメージその通りに歌ってくれて、すごくいい声だし、歌もうまい人なんだと思いました。

今村　akugiのプロジェクトにウイネを選ぶかどうかはけっこう悩んだんです。実を言うと、星歴13夜の寝こもちとウイネの2択で悩んで。安定感があるのは断然こもちだけど、しなやかにちょっと艶っぽく歌うイメージを持たせようと考えたとき、ちょっと賭けだったけどウイネに託してみようかなと思えたんですよね。これはウイネ自身がTOKYOてふてふの活動を通じてシンガーとしての存在感を見せつけてきた成果だと思います。

nainotokanon　レコーディングの前日にTOKYOてふてふのライブがあったからウイネと2人で練習していたんですが、前日の彼女はすごく緊張していたんですよ。レコーディングを終えて本人も手応えがあったみたいで、ウイネの自信にもつながったと思います。まだTOKYOてふてふのことを知らない人にもこの曲をきっかけにウイネに出会ってもらって、気に入ってもらえたらTOKYOてふてふの音楽にも触れてみてほしいですね。

まるあうま　私はあまりJ-POPのメインストリームにある曲を聴いてこなかったから、「with U」のデモを聴いたときはピンと来なかったんです。でもその後、ウイネちゃんの優しく包み込むような歌が入ったら、曲に瑞々しい表情が付いたような感覚があったんです。今まで触れてこなかったジャンルの曲だけど、すごく好きになりました。こういう曲。

──「addict」にはぜんぶ君のせいだ。のもとちか襲さんが参加しています。襲さんも活動歴は長くないですが、ボーカリストとして存在感を増してきているメンバーですよね。

marikoyu　「addict」はこれまでコドモメンタルで発表してきた楽曲のどれにも似ていない、本当に新鮮な曲でした。全編英語詞なんですけど、私は英語が苦手だからすごく指導を受けながら歌っていたんですけど、襲さんは最初からキレイな英語で歌っていて。歌がうまいのはもちろん、洋楽を聴き込んでいるバックボーンとかがないと「addict」はここまでサラリと歌えないと思うんですよ。

今村　コドモメンタルのメンバーの中で音楽的素養を一番持っているのが襲なんですよ。R&Bやヒップホップのようなブラックミュージックの話を僕とよくするのも襲で。ぜん君。の楽曲ではすくい取れない襲の一面をakugiでしっかり見せられたのは収穫でした。

nainotokanon　ここまでバキッと踊る曲はあまりないからライブで披露するのが楽しみな曲でもあります。心鞠さんは動きのキレがいいから、こういう曲のダンスがすごく似合うんですよ。

marikoyu　「addict」はライブでまだ披露したことがないから超楽しみ。

心鞠さんはお尻だと思います

──収録曲のうち「CC」だけはゲストボーカルが存在しない、akugi単体の曲ですね。

marikoyu　基本的なコンセプトは“誰かと遊ぶ”ことではあるんですけど、遊びにおいても一人遊びがあるようにakugiだけで遊ぶ曲があってもいい、みたいなことだと思います。もっと言うと、社長はただヘッドセットを付けて歌う曲を作りたかっただけみたいで、この曲だけまうるとのんのが歌に参加しているんですよ。

今村　ライブをイメージしてワンフレーズだけ踊りの2人にも参加してもらって、踊りながらヘッドセットで歌ってもらえたらカッコいいなと思って（笑）。うちはバンド出身者だらけだから、あまりヘッドセットを付けて踊るような機会がなかったから。

まるあうま　この曲の歌詞が届いたときに自分の名前があって驚いたんですよ。akugiでは踊りだけを担当することになると思い込んでたから、まさか歌えると思ってなくて。ヘッドセットを付けて歌うの、ちょっと強くなった気持ちになれてよかったな。

nainotokanon　うれしかった！

marikoyu　いいなあ。

──心鞠さんには自分のマイクがあるからヘッドセットがないんですね。

marikoyu　そうなんです。ちょっと損した気分。

nainotokanon　しかも振り付けをちょっと難しくしちゃったから、ハンドマイクを握りながら踊るのがちょっと大変そうで……。

marikoyu　そうそう。ゲストの方がいる場合はライブでそこまで難しいフォーメーションを組まないようにして、臨機応変に動くことが多いんですけど、「CC」に関しては私たち3人で完結する曲だからけっこう難しいダンスに挑戦していて。

nainotokanon　特に心鞠さんのお尻に注目してほしいですね。振り付けを考えるとき、踊る人が一番魅力的に見える動きをさせたくて、心鞠さんの場合はそれがお尻。「CC」ではそれが顕著に出てますが、“お尻系の振り付け”をよくお願いしています。

marikoyu　自分では自覚がなかったけど「心鞠さんはお尻だと思います！」って言われて、「そうなんだ」って（笑）。

──akugiではゲストに合わせるボーカルを意識していた心鞠さんは、「CC」のように自分が主役の楽曲をどう歌ったんでしょうか？

marikoyu　ちょっとカッコつけて歌いました（笑）。それだけじゃなくて、どこかに気になる要素は作りたくて、日本語の歌詞をちょっと崩して英語の発音っぽく歌うようにしています。でも基本的には深く考えずに歌うことで、自分らしい声が出るのがいいかなと思ってレコーディングしました。

「私たちはバックダンサーじゃない」

──7月2日に開催される予定のワンマンライブには、今作の参加者以外のゲストも多数出演予定です。すでにミニアルバムの収録曲以外の新曲も完成しているということですよね？（参照：akugi初の単独公演にKAQRIYO、星歴、ぜん君。らのメンバー集結）

marikoyu　はい。5月に出演予定だったイベントが延期になってしまって、まだステージで披露したことのない楽曲がすごく多いし、まだ発表できていない新曲もたくさんあって。7月のワンマンはこれまで作ってきたほとんどすべてを見せられる機会になるので、すごく楽しみですね。

まるあうま　私とのんのに関して言えば、ライブが本番なんですよ。CDに自分たちの声がチラッと入っているし、MVでも踊っているけど、やっぱりフルでしっかりダンスを見せられるのはライブしかないので。ようやく私たちが本領発揮できる舞台がやってきたなと思っています。1つ言いたいのは「私たちはバックダンサーじゃないんだぞ」ということ。私たちのダンスを見せつけてやりたいですね（笑）。

nainotokanon　うん。「踊り」という正式メンバーだからね。それと私たち3人がしっかりすればするほど、ゲストの方が共演しやすいと思うから、ライブまでにもっと練習したい。それと何より楽しみたいですね。akugiはやっぱり“真剣な遊び”なので。