音楽ナタリー PowerPush - AKLO×EXILE SHOKICHI
ヘッズ2人のヒップホップ談義
「日本語ラップの最高到達点」と賞された1stアルバム「THE PACKAGE」から約2年。AKLOがより一層スキルを磨き、ライブ経験を重ね、前作を凌ぐ傑作「The Arrival」を2ndアルバムとしてリリースした。
ナタリーではこれを記念して、AKLOのファンだというEXILE SHOKICHIとの対談を企画した。これが初対面だったが、トーク序盤でSHOKICHIが熱心なヒップホップリスナーであることを明かし、2人は意気投合。シーンへの愛で結ばれた新鮮な顔合わせのヒップホップ談義を楽しんでほしい。
取材・文 / 鳴田麻未 撮影 / 雨宮透貴
むちゃくちゃ聴かせてもらってます
──今回の特集はAKLOさんのアーティスト性を幅広い層に伝えられる人との対談を、と考えまして。EXILE SHOKICHIさんがAKLOさんの曲を好んで聴いているらしいという情報をキャッチしたので、オファーさせていただきました。
SHOKICHI はい、むちゃくちゃ聴かせてもらってます。
AKLO ほんとですか。ありがとうございます。
──SHOKICHIさんがAKLOさんを知ったきっかけは?
SHOKICHI 「RED PILL」(2012年7月発売の1stシングル)ですね。知り合いに「ヤバい人がいるよ」って言われてYouTubeのPVを観て、「うまっ! カッコいい!」みたいな。そうだ、あれも聴いてました、ラジオ!
AKLO あ、「INSIDE OUT」!(※AKLOが最新の洋楽ヒップホップ情報を紹介するblock.fm初のヒップホップ専門番組 / 参照:INSIDE OUT | block.fm) それは相当ですよ!
SHOKICHI それからドレイク、カニエ・ウェスト、リル・ウェイン、エミネムの「FOREVER」を日本語でやってたじゃないですか。あれはヤバかったです。
AKLO それは2010年くらいのミックステープだ。
SHOKICHI とにかくめちゃくちゃ衝撃的でしたね。BL(BACHLOGIC)くんのサウンドはもちろん、フロウといいますか、英語と日本語のバランスとか、韻の踏み方とか。こんなおしゃれなカッコいいラッパーが日本で出てきてうれしいなと、いち音楽ファンとして思いました。
AKLO むちゃくちゃありがたいですね。
SHOKICHI すいません、生意気に語ってしまって(笑)。
北海道のアングラヒップホップ育ち
AKLO もともとヒップホップが好きなんですか?
SHOKICHI はい。僕、地元が北海道なんですよ。育ちが北海道のクラブだったりして。
AKLO 北海道のシーンはけっこうアツいですよね。
SHOKICHI そうですね。THA BLUE HERBを筆頭とするアングラ系と、NORTH COAST BAD BOYZみたいなウエッサイ系に分かれてますよね。俺はTHA BLUE HERBとかMIC JACK PRODUCTIONを聴いて育ったタイプなんです。でもNORTH COASTさんのイベントでよくクロークなどを担当させてもらいながら出させていただいてました。クラブの入り口でお客さんのコートに番号付けて、イベントの最後の27時、28時くらいにライブさせてもらうっていう。
AKLO へえー。そういうことしてやっとライブできるみたいな感じなんですね。
SHOKICHI そうですね、スーパー下っ端でした(笑)。
AKLO 厳しいー。そのときって何人かのグループで活動してたんですか?
SHOKICHI そのときは4人組のコーラスグループみたいなのを作ってました。和製Jodeciみたいなことがやりたくて。今思うと下手くそすぎて恥ずかしいくらいなんですけど……(笑)。
AKLO そのときから、ラップはしていないけどラッパーが周りにいる環境だったんですね。
SHOKICHI もうラッパーばっかりでしたね。そして自分も披露はしなかったですけど歌詞を書いていたんで、ラップを書いてみたりとかいろいろ挑戦はしてましたね。
AKLO そうなんですね、すごい。
SHOKICHI だから、やっぱりAKLOくんはめちゃくちゃ衝撃でした。
AKLOくんはマネさえも許されない
──そこから今に至るまで、いろんなラッパーをディグって聴いているんですか?
SHOKICHI はい、新しい人が出たらチェックしてみたり、わりと聴いてるほうだとは思いますね。やっぱりそこから新しいムーブメントが発信されていくと思うし、自分にとってもインプットになるから、勉強させていただいてます。
AKLO すごいな。だって僕を1stシングルで見つけるっていうのは、そういう環境じゃないとなかなか難しいから。ヒップホップをずっと聴いていたってことですよね。
SHOKICHI そうですね。この間もライブを観させていただきました。そういえば(AKLOのレーベルメイトの)SALUくんも札幌出身ですもんね。SALUくんの札幌時代のチームの……FAKE IDのフリースタイルバトルは現場に観に行ってましたね。あのチームのフリースタイルめちゃくちゃうまかったんですよ。
AKLO すごいっすね!(笑)
SHOKICHI あのグループって、みんな小柄で細くて、見た目はB-BOYっぽい感じでもなかったんです。なのに、めちゃくちゃいかついB-BOYたちをなぎ倒していくんですよ。それがめちゃくちゃ気持ちよくて。
──かなりのヘッズですね。
SHOKICHI そのときはスーパーヘッズでした(笑)。
──1人のヒップホップラバーでもあるSHOKICHIさんが思う、AKLOさんの魅力というのは?
SHOKICHI もう、まず単純にスキルがヤバいですね。自分も恥ずかしながらラップをやるときに、参考にさせてもらったりとか、「この踏み方いいな」って取り入れようとするんですけど、AKLOさんのは無理ですもんね。マネできないというか、マネさえも許されないというか、そのくらい突出してる。
──どのあたりがマネできないんですか?
SHOKICHI 英語の使い方とか、発音とか、ちょっと英語っぽい日本語の発音。あと語尾で声をつぶしたり。そこがめちゃくちゃ好きですね。
AKLO ああ、声つぶしたりしますね。声質もありますけど、一応意図的に場面場面で使ってます。
SHOKICHI 最近、アンダーグラウンドの人たちも勉強されて、そういうフロウをマネるラッパーも増えてきてますよね。
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- ニューアルバム「The Arrival」/ 2014年9月3日発売 / One Year War Music / レキシントン / OYWM-14004
- [CD] 2916円 / OYWM-14004
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収録曲
- The Arrival feat. JAY'ED
- Break The Records
- NOx3
- Turn Up
- RGTO feat. SALU, H.TEFLON & K DUB SHINE
- 時限爆弾
- Butterfly
- I Don't Care feat. Crystal Kay
- ZUWAI
- Catch Me If You Can feat. KREVA
- BGM
- Blind
- New Days Move(※TSUTAYA限定盤ボーナストラック)
- Runway(※TSUTAYA限定盤ボーナストラック)
- Do It Big feat.WEZ(※TSUTAYA限定盤ボーナストラック)
AKLO(アクロ)
日本人とメキシコ人のハーフのラッパー。2008年に空哲平とのユニット“AKLOと空”名義で初のアルバム「AKLOと空」を発表する。その後、ソロとして2009年にミックステープアルバム「 DJ.UWAY Presents A DAY ON THE WAY」「2.0」を世に送り出し、フリーダウンロードによるミックステープアルバムという手法や、その高いクオリティに注目が集まった。2012年にBACHLOGICが立ち上げたレーベルOne Year War Musicに所属し、9月に1stアルバム「THE PACKAGE」をリリース。2014年7月にはKREVAを招聘したシングル「Catch Me If You Can feat. KREVA」が好評を博し、9月に2ndアルバム「The Arrival」を発表した。
EXILE SHOKICHI(エグザイル ショーキチ)
2007年に二代目J Soul Brothersのメンバーに抜擢されたのち、2009年3月にEXILEに新メンバーとして加入。2011年からはKENCHI、KEIJI、TETSUYA、NESMITH、SHOKICHIの5人からなるTHE SECOND from EXILEとしても活動している。THE SECOND from EXILEでは楽曲制作もSHOKICHI自ら行う。役者としても、2013年7月クールの日本テレビドラマ「フレネミー ~どぶねずみの街~」でNAOTOとともに初主演を果たす。2014年6月にはEXILEから3人目のソロデビューとして、シングル「BACK TO THE FUTURE」をリリースした。
- EXILE SHOKICHI ソロ1stシングル「BACK TO THE FUTURE」2014年6月4日発売 / rhythm zone
- [CD+DVD] 1944円 / RZCD-59622/B
- [CD] 1296円 / RZCD-59623