AKB48|3人が語る“実力派”路線の可能性と“指原莉乃伝説”

AKB48が3月13日に通算55枚目のシングル「ジワるDAYS」をリリースする。今作は指原莉乃(HKT48)の卒業シングルという位置付けの作品で、選抜メンバーにはセンターの指原をはじめ、計22名が選ばれている。

音楽ナタリーでは「ジワるDAYS」のリリース記念特集を2回にわたって展開する。1回目は岡田奈々(STU48キャプテン、AKB48 Team 4)、坂口渚沙(AKB48 Team 8、AKB48 Team 4)、矢作萌夏(AKB48 Team K)へインタビュー。AKB48グループメンバーもオーディションに参加した日韓合同アイドルプロジェクト「PRODUCE 48」や、AKB48グループの“歌姫”を決める新企画「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」など、実力派メンバーが注目を浴びる機会が増えている現状を踏まえ、変化の兆しを見せるAKB48の現在について紐解いた。

取材・文 / 小野田衛 撮影 / 藤田二朗(photopicnic)

実力がフォーカスされ始める兆し

──以前からAKB48は親しみやすさにつながる、いい意味でのアマチュアイズムが武器だったと思います。ところが最近は歌唱やダンスに力を入れ、パフォーマンス部分を底上げしたりという動きが顕著になっているように思います。先日行われた「歌唱力No.1決定戦」はその最たる例に思いますが、このような流れをメンバーはどう捉えているんですか?

岡田奈々

岡田奈々 私自身は「歌唱力No.1決定戦」に出て本当によかったですし、グループにとってもすごく意味があることだった気がします。優勝した野島樺乃ちゃん(SKE48)は、正直“知る人ぞ知る存在”だったと思うんです。ところが優勝したことで一気にスポットライトの当たるところに飛び出して、ソロ曲の権利まで獲得して。自分の実力だけでそれを成し得たことが素晴らしいと感じました。

──野島さんがミュージカル曲で勝負を懸けてきたのには感動しました。彼女は小さい頃から合唱団に入り、劇団四季の先生にも習っていたそうですね。

岡田 2位になった矢作萌夏ちゃんもまだ16歳だし、そもそも去年AKB48に入ったばかりですし。それなのに「こんなに歌の上手な新人がいるのか!」と注目されるようになるって、ものすごいチャンスだと思うんです。だからこういうバンドの生演奏を取り入れることも含めて、歌でしっかりアピールする方向は素晴らしいと私は感じています。ただ、AKB48グループはそれだけじゃないとも思うんです。

──アーティストとしての能力だけではない?

岡田 ファンが何を求めているのかということになると思うんです。生演奏やじっくり歌を聴かせるステージもファンの人が求めているかどうかを見極めないと。独りよがりの自己満になったら意味がないので。ファンの人の思いと同じ方向を向くことが一番大事というのが私の考え方です。

矢作萌夏

──これまでファンの人はAKB48に高い歌唱力を求めていなかった気がするんですよ。

矢作萌夏 AKB48は人数が多いのが特徴なので、いろんなメンバーがいるし、いろんな応援の仕方があると思うんです。ダンスがうまい子、トークがうまい子、動画配信が面白い子……いっぱいいるメンバーの中には歌がうまいメンバーももちろんいて、そういう子も活躍できる可能性が広がっている気がします。自分の実力と努力でチャンスがつかめる可能性がある。それはありがたいことだと思います。

──矢作さんはAKB48に入る前にボーカルのレッスンを受けていたんですか?

矢作 何もやったことなくて……自分の歌がうまいか下手かも意識したことなかったから、AKB48に入ってから「あれ? 褒められちゃった」みたいな(笑)。

岡田 自分の才能に気付いていなかったんだ! 本当の天才型かも。

──坂口さんは、いかがですか?

坂口渚沙

坂口渚沙 残念ながら私はこの2人と違って「歌唱力No.1決定戦」では決勝まで進めなかったんですけど、チャンスが広がっている雰囲気はひしひし感じています。ただ奈々さんも言っていたように、いきなり全部が変わっちゃうとファンの人も戸惑うと思うんです。そのバランスなのかな、大事なのは。

──やはりファンの求めるものが最優先であると。

岡田 例えば「ソロコンサートをやってほしい。〇〇ちゃんの声が好きだから、歌をしっかり聴きたい」という声を耳にすることもありますけど、一方で「AKB48のコンサートなんだから、みんなで一緒になって楽しく騒ぎたい」という方も大勢いらっしゃいます。全体として見たら、たぶん後者のほうが多いんじゃないかと思います。もちろんファンの人が求めることも時代によって変化するから、そこはしっかり見極めなくちゃいけないです。

──変化という意味では、ボイトレを受けるメンバーが増えたと伺っています。

坂口 そうですね。私も受けさせてもらっています。でも、レッスンを1回こっきり受けるだけでは意味があまりないらしくて。習ったことをどれだけ自分のものにするか、そのためには家での自主練が大事だと先生が教えてくれました。だから自分との戦いになります。コツコツとした積み重ねが最後は大事なんだなって。

左から坂口渚沙、岡田奈々、矢作萌夏。

──そもそも皆さんは歌がうまくなりたくてアイドルになったというわけではないですよね?

矢作 うーん……。アイドルになってステージに立つからには、やっぱり観ている人を楽しませたいし、感動させたいです。それから努力して成長している姿も見せていきたいと思います。自分の歌に自信があるわけじゃないんですが、自分の歌っている姿は観てほしいなと強く思います。

岡田 私の場合、「歌唱力No.1決定戦」を経験したことで「AKB48の魅力ってなんだろう?」と改めて考えるようになりました。例えば「歌唱力No.1決定戦」のファイナリスト8人で3月にライブをやるんですけど、そこに関してはもちろん全員がノリノリだし、「やってやるぞ!」という気持ちでいます。

──アイドルは“成長を見守る文化”とも言われますけど、ダンススキルや歌唱力は成長の度合いを測る格好のものさしになりそうです。

岡田 歌に対するやる気だけをAKB48全体に持ち込んじゃうと、それはそれで多様性がなくなる気がするんです。いろんなメンバーがいて、なんでもアリなのがAKB48なので。「歌がうまい」だけに特化するんだったら、極端な話、「何もAKB48じゃなくてもいいや」って話になってしまう気がします。歌がうまいグループはほかにいっぱいいるわけですし。パフォーマンスのレベルは高いに越したことないけど、そこだけにこだわるのは違うとも思います。

AKB48「ジワるDAYS」
2019年3月13日発売 / You,Be Cool!
AKB48「ジワるDAYS」Type A初回限定盤

Type A初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90613~4

Amazon.co.jp

AKB48「ジワるDAYS」Type A通常盤

Type A通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-613~4

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. ジワるDAYS
  2. 私だってアイドル! / 指原莉乃
  3. Generation Change / AKB48カップリング選抜
  4. ジワるDAYS(off vocal ver.)
  5. 私だってアイドル!(off vocal ver.)
  6. Generation Change(off vocal ver.)
DVD収録内容
  1. 「ジワるDAYS」Music Video
  2. 「私だってアイドル!」Music Video
  3. 「Generation Change」Music Video
AKB48「ジワるDAYS」Type B初回限定盤

Type B初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90615~6

Amazon.co.jp

AKB48「ジワるDAYS」Type B通常盤

Type B通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-615~6

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. ジワるDAYS
  2. 私だってアイドル! / 指原莉乃
  3. 初恋ドア / 坂道AKB
  4. ジワるDAYS(off vocal ver.)
  5. 私だってアイドル!(off vocal ver.)
  6. 初恋ドア(off vocal ver.)
DVD収録内容
  1. 「ジワるDAYS」Music Video
  2. 「私だってアイドル!」Music Video
  3. 「初恋ドア」Music Video
AKB48「ジワるDAYS」Type C初回限定盤

Type C初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90617~8

Amazon.co.jp

AKB48「ジワるDAYS」Type C通常盤

Type C通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-617~8

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. ジワるDAYS
  2. 私だってアイドル! / 指原莉乃
  3. 必然性 / IZ4648
  4. ジワるDAYS(off vocal ver.)
  5. 私だってアイドル!(off vocal ver.)
  6. 必然性(off vocal ver.)
DVD収録内容
  1. 「ジワるDAYS」Music Video
  2. 「私だってアイドル!」Music Video

※IZ4648「必然性」のMVは未収録。

「ジワるDAYS」

岡田奈々 / 岡部麟 / 荻野由佳 / 小栗有以 / 柏木由紀 / 坂口渚沙 / 指原莉乃 / 下尾みう / 白間美瑠 / 菅原茉椰 / 須田亜香里 / 高橋朱里 / 瀧野由美子 / 田中美久 / 中井りか / 松井珠理奈 / 松岡はな / 向井地美音 / 矢作萌夏 / 山内瑞葵 / 横山由依 / 吉田朱里

※センターは指原莉乃。

「私だってアイドル!」

指原莉乃

「Generation Change」AKB48カップリング選抜

浅井七海 / 太田奈緒 / 大西桃香 / 小田えりな / 加藤玲奈 / 行天優莉奈 / 久保怜音 / 倉野尾成美 / 込山榛香 / 佐藤栞 / 鈴木くるみ / 田口愛佳 / 谷川聖 / 谷口めぐ / 西川怜 / 前田彩佳 / 武藤十夢 / 村山彩希 / 山田菜々美 / 横山結衣

※センターは西川怜。

「初恋ドア」坂道AKB

梅澤美波 / 梅山恋和 / 大園桃子 / 岡部麟 / 小栗有以 / 加藤史帆 / 久保史緒里 / 小池美波 / 小坂菜緒 / 小林由依 / 齊藤京子 / 坂口渚沙 / 佐々木美玲 / 下尾みう / 菅井友香 / 鈴本美愉 / 瀧野由美子 / 田中美久 / 土生瑞穂 / 福岡聖菜 / 矢作萌夏 / 山内瑞葵 / 山下美月 / 与田祐希 / 渡邉美穂

※センターは山下美月。

「必然性」IZ4648

梅澤美波 / 岡田奈々 / 小栗有以 / 柏木由紀 / クォン・ウンビ / 小池美波 / 小林由依 / 齋藤飛鳥 / 指原莉乃 / 白石麻衣 / 菅井友香 / 須田亜香里 / チャン・ウォニョン / チョ・ユリ / 長濱ねる / 西野七瀬 / 土生瑞穂 / 堀未央奈 / 本田仁美 / 宮脇咲良 / 矢吹奈子 / 山下美月 / 横山由依 / 渡邉理佐

※チャン・ウォニョンと宮脇咲良のダブルセンター。

「屋上から叫ぶ」Sucheese(すちーず)

石田千穂 / 梅山恋和 / 小熊倫実 / 久保怜音 / 末永桜花 / 矢作萌夏 / 渡部愛加里

※センターは矢作萌夏。

AKB48(エーケービーフォーティエイト)
AKB48
秋元康プロデュースのもと、2005年に始動したアイドルグループ。劇場に足を運べばメンバーに会える「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、秋葉原にある専用劇場(AKB48劇場)で公演を行っている。楽曲の作詞はすべて秋元康が担当。2006年2月にシングル「桜の花びらたち」をインディーズからリリースし、オリコンウィークリーチャートでトップ10入りを果たす。同年10月にはシングル「会いたかった」でメジャーデビュー。2007年春には初の全国ツアーも開催されたほか、同年末の「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たすなど、着実に知名度を上げていった。2011年3月に20thシングル「桜の木になろう」をリリース。以降、5月に「Everyday、カチューシャ」、8月に「フライングゲット」、10月に「風は吹いている」とミリオンセールスを連発。2011年オリコン年間シングルチャートで1位から5位をAKB48が独占する結果となり、“国民的アイドル”と呼ばれる地位を確立した。2018年6月に10回目の「選抜総選挙」となる「AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙」を開催し、松井珠理奈が1位を獲得。宮脇咲良、矢吹奈子、本田仁美の3名が日韓合同アイドルIZ*ONE専任メンバーとなり、10月末に韓国でデビュー。2019年3月に「選抜総選挙」3連覇の偉業を成し遂げた指原莉乃の卒業シングル「ジワるDAYS」をリリースする。

2019年3月29日更新